〈高市内閣始動〉「男女半々のはずが一転…女性閣僚は2人」キーマンは“怒りっぽくてお騒がせ”“恐竜番付”常連だった片山さつき氏(65)選出の理由
〈高市内閣始動〉「男女半々のはずが一転…女性閣僚は2人」キーマンは“怒りっぽくてお騒がせ”“恐竜番付”常連だった片山さつき氏(65)選出の理由

高市内閣が10月21日に発足した。当初、高市早苗総理(64)は、女性閣僚を多数起用する意向を示していた。

しかし、蓋を開けてみれば、18人の閣僚のうち女性は2人にとどまった。その中で、ひときわ気合いが入っているのが、片山さつき財務相(66)である。

女性閣僚は2人、松島みどり元法相は総理補佐官に…

「北欧の国々に比べても劣らないほど多くの女性に活躍していただく」

自民党総裁選でそう語っていた高市総理。男女比が半々とされる北欧並みに女性閣僚を起用する意向を示していた。ところが、実際に登用されたのは片山さつき財務相(66)と小野田紀美経済安保相(42)の2人だけだった。

当初、高市選対の女性議員だった松島みどり元法相(69)も閣内で処遇されるとの報道も出ていた。しかし、結局、外国人政策担当の総理補佐官というかたちで、閣外で処遇された。組閣を巡る高市氏の“前言撤回”は、これだけではなかった。

「高市総理はかねてより、“裏金議員”であったとしても、『特に人事に影響はない。しっかり働いてもらう』と語っていました。しかし、旧安倍派幹部の萩生田光一幹事長代行の登用が波紋を拡げたことで、高市総理は『(裏金議員を)大臣にするのは難しいわね……』と周囲に漏らすようになっていた」(自民党の参院中堅)

結局、副大臣や政務官の人事では、裏金事件に関与のあった議員7人を登用したものの、閣僚では裏金議員はゼロだった。

二つの“前言撤回”があった今回の人事だが、とりわけ気合いがはいっている閣僚もいる。

〈このたび、片山さつきは、財務大臣・金融担当大臣・租税特別措置・補助金見直し担当大臣を拝命しました(中略)国民の皆様の期待と信頼に応えるべく、責任ある積極財政の考え方に基づいて、経済財政運営を行います。

10月22日、片山事務所の関係者に一斉メールが届いた。〈まずは今の国民の暮らしを守る物価高対策を早急に!全力で取り組んで参ります〉と決意が書かれた、片山氏本人からのメールだった。

片山氏が総裁選で高市氏を支援した経緯

片山氏は東大法学部卒業後、大蔵省(現・財務省)に入省。国家予算案を査定する主計官を女性で初めて務めるなど活躍した。国際局開発機関課長を最後に退官し、2005年の小泉純一郎総理(当時)の郵政民営化の是非を問う衆院解散の際に、“刺客”として送り込まれ、注目された。

片山氏は落下傘候補として静岡7区から出馬し、初当選。ちなみに、この衆院選で激しく戦ったのが、高市政権の同僚となった城内実成長戦略担当相(60)である。城内氏は郵政民営化関連法案の採決で反対票を投じ、自民党を離党していた。

民主党への政権交代が起きた2009年の衆院選でも、静岡7区から出馬したが、保守系無所属候補として出馬していた城内氏に惨敗し、落選した。その後、片山氏は2010年の参院選で、比例区から出馬し、国会に戻った。安倍政権時代の2018年には内閣府特命相を務めた。

そんな片山氏が、総裁選で高市氏を支援したのはなぜだったのか。

「片山氏は当初、『誰の推薦人になるつもりはない』と周囲に言っていましたが、その後、『清和会(旧安倍派)から頼まれた』として、高市さんの推薦人になったと聞いています」(旧安倍派関係者)

もともと片山氏は旧二階派の所属だったが、2022年に脱退。

その後、旧安倍派に入った経緯がある。こうした経緯があったため、派閥パーティを巡る裏金事件とは無関係だった。そのため、高市側としても、推薦人として名前を出してほしかった面があったのだろう。

とはいえ、片山氏といえば、財務官僚時代、若手官僚が怒りっぽい上司をランク付けした怪文書「恐竜番付」の常連として知られた人物でもある。参院外交防衛委員会の委員長時代には、2度遅刻するなど、何かと“お騒がせ”な面もある。

「片山さんは激しい人ですから、議員になってからも、秘書の入れ替わりが激しいことで有名。ごく短期間でやめる秘書もいた。彼女はいろいろな議連を掛け持ちしており、片山事務所はとにかく仕事量が異常に多い。

片山さんが秘書を厳しく叱責するのを見かねた知人が『ちゃんと説明しないと、秘書さんもわからないよ』と助言すると、片山さんは『忙しいから、1から10まで説明してられない。全部言わなくても、わかってくれなきゃ』という感じだった」(自民党関係者)

最近になり片山氏にも変化が…

しかし、片山氏に近しい関係者によれば、最近になって、変化を感じるようになったという。

「もともと仕事熱心な人ですから、地方議員からの評判は悪くない。自民党のとある女性閣僚経験者は、街宣車にのぼるのを嫌がることで知られていますが、片山さんはそんなこと気にせずにやってくれる。

繁華街を練り歩く通称“桃太郎”も、積極的にやってくれる。

最近は子育て中の女性秘書のために、国会事務所にベビーベッドを置くなど、丸くなってきていると思います。周囲の人に諫言されても、『●●ちゃんが言うなら仕方ないわね』と聞く耳を持つようになっています」(片山氏と近しい関係者)

この関係者は、“責任ある積極財政”を掲げている高市政権において、片山氏の役割は重要だと指摘する。

「片山さんは石破政権の時代から『私に任せてもらえれば、ガソリンの暫定税率廃止や、年収103万円の壁問題を解決するために、必要な財源を財務省に作らせるから。総理に言っておいて!』と石破茂前総理(68)の周辺に言っていた。

やはり財務官僚出身だけあって、財務省の痛いところ、痒いところをよく知っている。自分が財務省に言えば、財源を作れるという自信があるのでしょう。高市政権で彼女の知見が生きるのではないかと期待しています」(同前)

果たして、財務省で恐れられた片山氏は、高市政権のキーパーソンとなり得るのか。それとも、また週刊誌をにぎわせるのか....…。

取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班

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