「論破してみろよ」モームリの社長は皆の前でパワハラ、社員のミスを集計して共有…元従業員は「もう無理!」と悲鳴…社長からの“圧迫LINE”の中身
「論破してみろよ」モームリの社長は皆の前でパワハラ、社員のミスを集計して共有…元従業員は「もう無理!」と悲鳴…社長からの“圧迫LINE”の中身

退職代行サービスを行う「モームリ」の運営会社・アルバトロスや都内の法律事務所などに警視庁は22日、弁護士法違反の疑いで家宅捜索に入った。退職希望者から依頼を受け、勤務先に退職の意思を代わりに告げるサービスを2022年に開始して以来、累計利用者数は4万人を超える。

急成長を遂げ業界トップのシェアを誇っていた同社は、一体どのような企業だったのか。元従業員のA氏に「モームリ」の実態について取材した。

グループLINEは涙マークでリアクション

退職代行の仕事を弁護士にあっせんし、紹介料として報酬を受け取っていた疑いで、22日、警視庁が「モームリ」の運営会社・アルバトロスと関係先に一斉捜索を行なった。

元従業員のA氏はこの件を受けてたしかに会社の業務として退職希望者を弁護士に紹介し報酬を受け取っていたと♯1で語ってくれたが、「モームリ」が抱えている問題は弁護士法違反の疑いだけではないという。

「アルバトロス」の企業体質については今年4月16日に週刊文春が報じており、谷本社長の“パワハラ体質”についても触れられている。「集英社オンライン」は、別の元従業員A氏を取材。A氏も社内の違和感”を訴えた。

「われわれ従業員は日々の仕事などを日報として提出するのですが、その日報に谷本社長や部長に就いている谷本社長の奥さんなどから定期的にコメントが書き込まれます。そのコメントが辛辣で、谷本社長は日報を書いた従業員に対し『○○くん居たの?』などというコメントを書き込んだりしていました。

また、従業員の名前を羅列しそれぞれミスの回数と内容を書き込んだ“ミスのPDF”がありグループチャットに送信されてきます。PDFはミスの回数をまとめたものでミスが多い人は赤字になって目立つようになっています。こんなにミスあるのヤバくない?という感じでさらされるので、みなそれに恐怖感を覚え萎縮していました。PDFに関しては2週間に一度更新されていく感じでしたね。

PDFとともに谷本社長が一言LINEを送ってくるのですがきつい言葉が多く、みんなLINEの涙マークでリアクションしていました」

部下が「モームリ」のライバル会社を使って退職

こうした企業体質に嫌気がさしたのか、“同業他社”の退職代行サービスを使って「アルバトロス」を退職する従業員が続出したという。

「退職代行を使って辞めた方は5名いましたが、初めて退職代行を使われたとき、谷本社長は『ネタにしよう』と言ってYouTubeで動画にしていました。しかし批判が殺到し、その後は触れなくなりました。1名の方はSNSで度々うちを批判してた退職代行に頼んでいたようです。相当会社を憎んでいたのだと思います」

A氏は、谷本社長をはじめ谷本社長の側近に事あるごとに「圧力をかけられた」と話す。A氏はその背景をこう分析する。

「もともと谷本社長はカラオケ店で働いていたのですが『そこがブラック企業でそうじゃない会社を作りたい』と言っていました。ですがカラオケ店でやられたことと同じことをやってしまっているんだと思います。しかも、谷本社長は社員同士を競わせためにわざと辛らつなことを言うというよりは、ただ気分でやっているように感じました。

わざわざみんなが見ている前で『ほんとどうしてくれるの?』とミスをした社員を問い詰めたり、『論破してみろよ』と詰問していることもありました。谷本社長はXに『結論ファーストで話さない人は仕事ができない』とか、読む人が読めばどの社員のことを言っているかわかる形で書き込んだりもしますから。だから『これ私のことかも』と、それを見て傷つく社員もいました。社員からは『お前のところこそブラックで退職代行使われるべきだろ』ってけっこうツッコまれていました」

裏スローガンは「退職代行のなくなる世の中になってほしい」

A氏が勤めていたころのアルバトロスは、純粋に「誰かの助けになりたい」という使命感を持つ社員が多かったそうだ。

自身では退職を告げられず、「モームリ」を利用した退職者が「今度は誰かを助けてあげたい」とアルバトロスで働くケースもあったという。

「今回の弁護士法違反についてですが、現場の従業員と会社の上層部との思いの間には乖離があったと思います。会社の上は(退職代行のサービスについて)お金のための新たなビジネスチャンスと捉えていたフシがありますが、現場の従業員の中にはただ相談者の助けになりたいという思いの人もいたはずです。

実は『退職代行のなくなる世の中になってほしい』というのが会社の願いでもあります。誰もが言いたいことを言える世の中になってほしいという意味ですが、それならまず自分たちの会社が『モームリ』と言われないようになっていってほしいですね」

捜査関係者によると「モームリ」について残業代の請求などの非弁行為も把握しており、違法性のある業務が他にないかを含め今後捜査する方針だ。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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