もう中学生「喫茶店で涙がポタポタ落ちた」――闘病中のLUNA SEA真矢への想い、ダウンタウンへの憧れ、そしてファンへの感謝
もう中学生「喫茶店で涙がポタポタ落ちた」――闘病中のLUNA SEA真矢への想い、ダウンタウンへの憧れ、そしてファンへの感謝

ロックバンド・LUNA SEAのドラマー真矢が、2025年9月8日に自身のSNSを通じて、脳腫瘍を患っていることを初めて公表した。あわせて、2020年にステージ4の大腸がんになり、これまで7度の手術や抗がん剤・放射線治療を受けながら活動を続けていたことも初めて明かした。

多くのメッセージが寄せられる中で、お笑い芸人・もう中学生もSNSで声を送った。(前後編の後編)

「涙が止まらなくなった」もう中学生が明かす想い

多くのミュージシャンが励ましの言葉を寄せる中で、ひときわ注目を集めたのが、お笑い芸人・もう中学生の投稿だった。真矢へのリプライとして、こう綴った。

「真矢さんのmelodyで何度も救われて、何度もあの日に戻れたり、未来への希望も、何度も何度もいただいております。真矢さんにこの大地で、のびのび健康に、笑って毎日過ごしていただけますよう、いっぱい願っております…☆真矢さん、ぜ~ったいぜ~ったい、大丈夫でございます!!!」

真摯で温かいそのメッセージは大きな反響を呼び、LUNA SEAファンや音楽ファンの間で拡散された。本人に、あのときの心境を改めて尋ねた。

もう中学生 あのときは喫茶店でネタを書いてたんです。ちょうど発表が13時で、「真矢さんの発表があります」という言葉を見て、なんだろうと思ってタップしたら、そのニュースでした。ノートを広げていたんですけど、気づいたらポタポタって涙が落ちてきて、ノートが濡れちゃって。

いままでどんな思いでステージに立ってこられたんだろう、って思ったんです。ご自身がつらいときも、人を幸せにしたり、立ち上がれない人の背中を押したり。

日本中の病院や病棟にも、LUNA SEAを聴いて励まされてる人がいると思うんです。本当は休むべきときに、全身全霊で人に元気や夢を与え続けてくださっていた。

そのことを思ったら、もう涙が止まらなくなってしまいました。

だから、どうしても言葉を送りたくなったんです。今までSNSで誰かにリプライを送るなんて、ほとんどしたことがなかったんですけど、もし見ていただけなくてもいいから、せめて想いを届けたいと思って。

喫茶店を出て、空に手を合わせてお願いしました。「どうか神様、どうか真矢さんがまた復活して、素晴らしいライブパフォーマンスを、素敵なライブを、ドラムソロをしてくださいますように」って。

僕、多分LUNA SEAさんがいなかったら、この人生じゃなかったと思います。きっとお笑いもやってなかった。自分を形成してくれた、大切な存在です。

ダウンタウンに憧れてお笑いの世界に

――もう中学生さんのあの投稿は、ご本人はもちろん、ファンたちも改めて、LUNA SEAが音楽業界だけでなく、日本全体に与えてくれた影響の大きさを感じるものだったと思います。LUNA SEAに大きく影響を受けたとのことですが、お笑いの面での原点はなんでしょうか?

もう中学生 やっぱりダウンタウンさんです。漫才もそうですし、『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)のコントも、ビデオで何度も観ていました。小学生の頃にお笑い芸人に憧れましたね。

で、高校を卒業してもうすぐ大人になるっていう頃、LUNA SEAさんやダウンタウンさんのように、自分はこんなふうに人に感情を与えられるような人になれるのかな、と考えました。でもそのときは、お笑い芸人になるなんて思っていなかった。そんなこと、自分にはできないと思ってました。

それが気づいたら、上京してお笑いの世界に入っていましたね。

――そしてついにダウンタウンさんとも共演を果たしましたね。私的には、2009年に『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)でオンエアされた「怒り王グランプリ」に出ていた姿が印象的でした。

もう中学生 でもあれは自分ではまだ見返せていないんです(笑)。怖くて……。やっぱり、ダウンタウンさんは特別なんですよ。共演するときはいつも一番緊張します。

――2022年には『ガキ使』の名物企画「24時間ロングインタビュー」にも出演されていましたよね。あれは番組に認められた方しか呼ばれない、かなり特別な回だと思います。

ちなみに、11月から始まるダウンタウンの配信サービス「DOWNTOWN+」も話題ですが、オファーなどはあったりしますか?

もう中学生 いえ、それは特にお話は聞いていないというか……。はい。でも、すごく楽しみにしております。どんな番組になるんだろう、ってワクワクしてますね。

ファンの子どもにヘッドロックされて…

――LUNA SEAやダウンタウンから影響を受けてきたとのことですが、今では、もう中学生さんご自身が、人に夢や希望を与える立場になられていますよね。その点についてはどう感じられますか?

もう中学生 いや、とんでもないです。むしろ、今もいっぱい元気をもらう側です。たとえば、気持ちがちょっと壊れてしまったり、停滞してしまうこともあって。20日、30日、2ヶ月、3ヶ月ぐらい、ずっとどよんとしてしまうこともあります。

でもそんなときにネタをやらせてもらって、帰りに「今日見に行ったよ、ありがとうね」って声をかけてもらったり、事務所から届いたお手紙を読んだりして、心が回復していくんです。“お笑いをやること”が、自分が元気で健康でいる理由のひとつにもなっていると思います。

――ファンの言葉の中で、特にうれしかったものはどんな言葉でしょう?

もう中学生 「続けてくれてありがとう」「存在してくれてありがとう」とかですね。

何度か本気でやめようと思ったことがあるんです。「自分には面白さがない」「みんなについていけない」「舞台に立つ資格がない」って。

でも“いてくれてよかった”って言葉をもらうと、ああ、まだ必要としてくれる人がいるんだなって思えて、また立ち止まれるんです。

――ファンとの交流の中で、印象的に残っていることはありますか?

もう中学生 たくさんあります。先日も、車いすに乗られたお子さんが、写真を撮るときに僕の首をぎゅっとヘッドロックするようにつかんでくれたことがあったんですけど、その瞬間は涙が出ちゃうくらい嬉しかった。

お言葉というより、そのアクションがうれしかったんです。その“ぎゅっ”の中に、全部が詰まってる感じでした。「ちゃんとお笑いでお返ししよう」って、心から思いました。

――ファンの言葉や行動は、応援している相手も動かすってことですね。真矢さんが元気になるように、私も祈りたいと思います。

取材・文/ライター神山 撮影/井上たろう

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