静岡県伊東市議会は10月31日、市長の田久保眞紀氏(55)に対する不信任決議案を賛成19、反対1で可決し、田久保氏市長の強制失職が決まった。同日付で失職する。
19人の賛成で可決されついに失職
「学歴詐称という個人的な不祥事について説明責任を果たすどころか追及されるたびに論点をすり替え市民を欺き続ける態度……。暴君の所業と言っても過言ではない」
31日正午すぎ、市議会本会議場で四宮和彦市議が読み上げた不信任決議案には田久保市長を徹底的に糾弾する文句が続いた。
議案には、10月18日の出直し市議選でただ一人「田久保市長支持」を明言して当選した新人の片桐基至市議(45)が「不信任決議で市長を解任することは市民による直接民主主義の成果が覆されることだ」と反対討論をしたが、採決で反対したのも片桐氏一人だけだった。
市長は6月の学歴詐称疑惑発覚後、世論の非難を浴び、市議会から不信任決議案を全会一致で可決された。しかし、その議会を解散する力技を繰り出して辞職を拒んだ。
その抵抗むなしく、出直し市議選の当選者で構成された市議会から2回目の不信任決議案を議決され、ついに市長職を明け渡すことになったのだ。
「市議選では、田久保氏への支持を隠した“ステルス候補”も含め田久保派の立候補者は7人いたとの見方があります。
全員当選していれば2回目の不信任議決を阻止できましたが、結局勝ち上がったのは幸福実現党公認で新潟県阿賀野市議に当選した経験がある片桐氏だけでした。
7候補を合わせれば3~4人を議会に送り込めるだけの得票があったのに戦術が稚拙で、片桐氏に票が集まりすぎ、他は全員が落選したとの分析もあります。
10月29日に開かれた議会の代表者会議で、片桐議員を除く19人の賛成で市議会臨時会初日の31日に不信任案を採決することが決まっていたので、可決は既定路線でした」(地元記者)
田久保氏の目がだんだんうるみ始め…
議場から市議が去った後、ひな壇に並ぶ市幹部職員と傍聴席に向かって深々と頭を下げ退場した田久保市長。市議会の中島弘道議長から「失職通知」を渡された後、記者団の前に姿を見せた。
どれだけ批判が強くなっても騒動の節目ごとにメディアの前に現れて強気な態度を見せた「囲み会見」に、最後まで応じた形だ。
そこで田久保氏は冒頭、不信任案可決へ受け止めを聞かれると、同日の議会で補正予算や人事案件が処理されたことを挙げて「無事解決できて、むしろそちらの方がホッとしております」と言い出した。
再度不信任案可決をどう思うのかと詰められるが、「議会の決定として粛々と受け止めさせていただきたいと思っております」と自分の思いは口にしない。
そして市民が最も知りたい、出直し市長選に出馬するかどうかについても「進退はご支援いただいてる皆さんとよく話し合いながら自身も向き合って決めていきたい」と返答。
不信任決議で指摘された「論点のすり替え」と先送りで乗り切るつもりなのかとの空気も漂い始めたが、メディアは同時に“異変”にも気づいた。田久保氏の目がだんだんうるみ始め、ついには涙がこぼれ落ちないように上を向いたりし始めたのだ。
そして、就任してからの5か月間を振り返り胸に去来する思いは何か、と問われた時、ついに声を詰まらせ「慣れない仕事の中でほんとに職員の…、ごめんなさい、職員の皆さんにはほんとに色々とサポートしていただいてありがとうございました。限られた時間だったんですけれども良いお仕事ができたと、そのように思っております」と言って涙があふれさせたのだ。
「市長として中退ではなく除籍でしょうか」
田久保市長は7月に一度表明した辞意を撤回した会見で、「わたしに与えられた使命を全身全霊を傾けて実現してまいりたい」と上ずった声で続投の決意を強調したことがあるが、その時とは涙の量が明らかに違う。あたりにはたちまちカメラのシャッター音が響き、フラッシュが光る。
田久保市長は、騒動で迷惑をかけた職員だけでなく、自分に好意的な市民との出会いを思い出しても泣いた。
「市民の皆さんが話しかけてきていただいて、声援送ってくださって『頑張ってください』『負けないでください』って(言って)いただいて、嬉しかったです。
さっきも(不信任決議の文面で)『平然としてる』とか『図々しい』とかありましたけれども、実は決してそういうわけではなくてですね、街中や食事してる時も知らない方が声かけていただいて、ちょっと思い出すと泣けてきちゃうんですけども…」
そう言って顔を覆う田久保市長。これまで頑なに隠していた感情が一気にあふれ出たかのようだ。
見かねた秘書広報課の職員がティッシュの箱を差し出すと、受け取った紙ではなをかみ、また市長は話し続けた。
そんな中、TBSサンデージャポンの名物レポーターがいつものように「市長を務めたことの卒業証書は欲しいですか」とツッコミを入れる。
これに田久保市長は「私の市長としての卒業証書は市民の皆さんからもすでに頂いてると思っております」と優等生的な答えを返す。
しかし在任5カ月での卒業は早すぎる。サンジャポがさらに「任期を務められなかったことでの中退では?」と切り込むと、市長はムッとすることもなく「そうですね。私からの申し出ではなく今日は議会の決定を受けてのことですので、除籍ということなのかなという風に思っております」と返答したのだ。
東洋大から除籍されながら怪しげな“卒業証書”を見せて大卒と名乗ったのが騒動の原点となる学歴詐称疑惑だ。ここでまた除籍という言葉を使う自虐ネタには報道陣も虚を突かれてずっこける。感情が高ぶっても会見の主導権はメディアに渡さないという田久保市長流の発信術かもしれない。
中島議長は「退学だと思いますよ!」と怒り
いっぽうで会見のさなか、田久保市長は何度も「今後は立場が変わる」と口にした。「やり切ったという思いでいっぱいです」とも述べ、出直し長選に出ることをあきらめたかのようにも見える。
そこで集英社オンラインの記者は念のため「次の市長選にはもう出ない?」と確認してみた。
ところがこれには田久保市長は「進退については、例えば市長選に出るとか出ないとかを申し上げる時点ではないと考えています。(支持者の)皆さんと一緒に考えていきたい」と繰り返し、未定だと強調するのだ。
肝心の疑惑についても、「卒業証書」とされるものの公表や説明を求める声には「刑事告発を受けて捜査の対象になっており、公式の場で発言できないので(答えないことを)ご容赦いただきたいと」とこれまで通りのゼロ回答。疑惑解消に役立つ発信はなかったのが実態だ。
田久保市長の囲み取材が終わった後、次に記者に囲まれた中島弘道議長は、市長が仕事を「やり切った」と言ったと聞かされると「私たちから見れば、何も本当にやってない状況ですので、本当にこの4カ月 、満足のいく姿勢ではなかったと思っております」と憤った。
記者からは中島議長にも、田久保市長は市長職を除籍されたか中退したか、それとも卒業したか、との質問が出た。これに中島議長は「退学だと思いますよ!」と怒りを込めて言い放った。
退学も除籍も途中で辞めるという点では変わらないが、田久保氏は“再入学”を試みて選挙に出るのか。騒動は簡単には終わらない。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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