〈嵐の中のハロウィン渋谷2025〉「日本人いねー」と叫ぶ若者「金ないしコスプレしない、見るだけ」と大学生…いっぽう外国人観光客は「渋谷はアドベンチャー」大雨でもノリノリ
〈嵐の中のハロウィン渋谷2025〉「日本人いねー」と叫ぶ若者「金ないしコスプレしない、見るだけ」と大学生…いっぽう外国人観光客は「渋谷はアドベンチャー」大雨でもノリノリ

東京・渋谷に多くの仮装した人が集まる10月31日。警察官が多数出動し、ナンパ、喧嘩、飲酒…カオスの場として恒例となっている「渋谷ハロウィン」では、大雨の影響もあり、例年とは違う姿を見せていた。

「2025年渋谷ハロウィン」の夜を詳報する。

「Hey! Bro!(やあ、兄弟)」

発達中の低気圧の影響により、本降りの雨となった東京・渋谷では、仮装をする外国人で溢れており、外国語が至るところで飛び交っていた。

センター街の入り口には「禁止だよ!迷惑ハロウィン」と書かれた横断幕が掲げられている。

東京都内から渋谷にバニーガールのコスプレで訪れた18歳の大学生2人はこうため息をつく。

「せっかくの機会で、若いうちしかコスプレができないので、雨だけど、今日は来ちゃいました。都内に住んでいます。今渋谷に来たばかりで、終電で帰れればなとは思っていますが、思った以上にコスプレをしている人が少なく驚いています。今年が2回目のハロウィンで、去年と比べて、人がかなり少ないように感じます。」

警察官はこの日、約125人体制で警戒に当たったようだ。JR渋谷駅のハチ公像前では、人が集まらないよう「鉄柵」が用意された。また、渋谷区は路上での飲酒禁止を呼びかけており、センター街などのコンビニでは酒類販売が自粛された。

渋谷駅前スクランブル交差点に面したファッションビル「渋谷109」前では、350mlの缶チューハイを手に持った50代と見られる男性が、「なんで(横断歩道を)すぐ渡れないの?遅くない?」「早くしてよ」など警察官と押し問答をしていた。

「声をかけられた40人のうち、日本人は3~4人」

センター街に入ると、人通りはあるものの毎年のような“人で混みすぎて道を歩けない”などの現象はなかった。

「今日は自分の好きな女性キャラで参加してみました」と言う20代女子大生は、

「コスプレが好きで、ハロウィンは参加したいと言う気持ちが強かった。去年と比べて人通りは半分くらいでしょう。

今年が2回目で、去年はシスターの格好していました。今年はなんだか寂しいですが、言い換えれば、平和ってことなんじゃないかなって。

都心部から電車で来て、電車の中ではすでにコスプレに着替えている状態です。もちろん上には何か羽織ってます。渋谷について数時間経過していますが、今年は声かけられることも少ないですし、ほんのちょっと寂しいなと思う感じはあります」

と明かす。

毎年渋谷で必ず見かける韓国発で世界中の人気を集めたNetflixのドラマ「イカゲーム」のコスプレをしてきた男子大学生らは、センター街の交番付近で「ヤッフー!」「盛り上がろう!」と大声を出す。

「今日は調布と八王子から来ました。去年はお互いの予定が合わなくて、ハロウィンへの参加が叶いませんでした。渋谷ハロウィンには一度は行ってみたいと思っていて。せっかくなので盛り上げていきたいなと思ったのですが、人通りが少なくシャバイ(さえない)なと思っています」

一方で、渋谷ハロウィンに来た後ろめたさもあるという。

「コスプレで仮面をつけているのは、ハロウィンに来ていることがもし親にばれたら怒られてしまうからです。5時に渋谷に来て4時間経ちましたが、写真を撮ろうと声をかけられたのは40人程度のうち、日本人は3~4人です。

圧倒的に外国人が多い!」

中国からおよそ半年前に留学生として来日している10代の学生2人は、

「日本の学校に通っています。今年は1回目のハロウィン!雨だけど最高!日本の渋谷ハロウィンが世界的に有名だから来た。ガイドマップとかにも絶対行くべき場所として書かれています。中国の漢字で好きな文字がこの服の文字です」

「日本の渋谷はアドベンチャーみたい」「外国人も多くて楽しい!」

日本人の姿が消える中、外国人のコスプレが目立った今年の渋谷ハロウィン。悪天候なこともあり、屋根の下には多くの外国人コスプレイヤーが集まっていた。

またも中国から来たという20代の女性は、

「中国から日本に来て私は1年。こちらは4ヶ月です。日本のアニメが好きでそんなコスプレを見たく今日はやってきました。雨なのは少し残念です。
でも日本のハロウィンは中国でとても有名なんです。私の好きな作品のキャラクターが見れて幸せです」

「写真はやめて」と撮影の許可が降りなかったものの、韓国から来たという女性は、

「配信者として活動しています。意外とフォロワーがいるんですよ。可愛いっていうことで有名なんです。

日本の渋谷はアドベンチャーみたい!今年初めての参加で、旅行中です。韓国ドラマのコスプレもあるし、外国人も多くて楽しい!」

と言う。

大学生は「コスプレは金かかるんでできないっすよ」

一方でコスプレをせずに、参加する人も少なくない。都内の大学へ通う20代男性2人は、「雰囲気だけでも楽しめれば」と語る。

「ハロウィンに来るのは初めてのこと。去年は友達2人の予定が合わなかったので、ハロウィンの参加を断念しました。今年はたまたま予定が合ったので、参加しようとなったんです。でも、コスプレは別にいいかな。雨でもあるし。日本人のコスプレ、こんなに少ないんだと驚きました。ハロウィンに初めて参加してみて、外国人がこんな多いんだってびっくりしました。外国人はやっぱり、アニメのコスプレをしていますよね」

別の20代大学生は、「コスプレは金かかるんでできないっすよ。

ただ一緒にブチあげたいっていうのもあって、来ちゃいました。やっぱ雨で人少なく外国人が多いですね」と、テンションを下げながらクラブ街へ消えていった。

渋谷区のセンター街の交番には、毎年多くの相談者が訪れたものの、もぬけの殻ともなっていた。近くでゴミ収集を行っている清掃スタッフによれば、

「ゴミステーションを開設しており、ゴミをここでは受け付けています。去年と比べて、ゴミの量が半分以下です。まだ昨日の方がゴミはありましたね。今日は12時の時点でまだ2つしかありません。

雨の影響が大きいと思いますが、人通りもやっぱり去年と比べて少ないです。ゴミもそこまでひどく落ちているわけではなく、ポイ捨ても少ない印象。きれいな渋谷なのかなとは思いますね」

渋谷区で警備に当たっていた警察官はこう明かす。

「12時を超える現在では、スクランブル交差点で警察官が女性に蹴られたという話だけ聞いています。外国人観光客同士のトラブルや、日本人と外国人が揉めたなどは聞いていません。

いつもこんな平和だったらいいんですけどね…」

去年であれば石破茂元首相のコスプレなど当時の世相を表すものもあったが、今年は異なり、あまり見られなかった。外国人がほとんどだったせいもあるだろう。

24時、雨が小降りとなり終電でナンパに渋谷に訪れていた埼玉建在住の30代のほろ酔い男性は「日本人いないじゃん、どこの国かと思ったわ!乗っ取られちゃったの?(笑)」と寂しそうにスマホをいじっていた。

例年とは違う顔をみせた渋谷のハロウィン、来年は果たして…。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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