「公金還流」疑惑で“逆ギレ”維新・藤田共同代表「身を切る改革」は崩壊寸前…人気の高市首相に頭が上がらず、定数削減も後退か
「公金還流」疑惑で“逆ギレ”維新・藤田共同代表「身を切る改革」は崩壊寸前…人気の高市首相に頭が上がらず、定数削減も後退か

発足直後から米国のトランプ大統領との首脳会談に臨み、各社の世論調査の支持率も70~80%台となる好調な滑り出しとなった高市政権。そうしたなか、新たに連立政権のパートナーとなった日本維新の会・藤田文武共同代表が、主に公金が原資となる2000万円を自身の秘書が代表を務める会社に支出していたことが発覚。

 

藤田氏は4日に会見を開き、適法との認識を示したが、「身を切る改革」を掲げながら、自身の身内が「おいしい」思いをしていたことが明らかになった形だ。自維政権の始動直後に発覚した、維新共同代表の重大疑惑。維新の今後の戦略や政権の行方にも影響を与えそうだ。

維新内からも「あそこまでやる必要は…」のあきれ声

4日、与党としての代表質問で「まずは『隗より始めよ』の姿勢が必要不可欠。その1つが、衆院議員定数の1割削減だ」と訴えた藤田氏。立憲民主党の野田佳彦代表や国民民主党の玉木雄一郎代表にも、定数削減への協力を呼びかけた。

ただ、議場からは冷ややかな視線が。立憲議員からは「自分が政治とカネに関する疑惑が持たれているのに、『身を切る改革』を訴えても、なんの説得力もない」との声が漏れる。

藤田氏が直面しているのは、共産党の機関紙「しんぶん赤旗 日曜版」が、主に公金が原資となる2000万円を、ビラの印刷代などの名目で藤田氏の秘書が代表を務める会社に支出していた、との報道だ。

維新の「生みの親」である橋下徹氏が「権力者としてあかん」と藤田氏を批判するなど、騒動は収まっていない。

当の藤田氏は、報道直後から適法だと主張。4日の記者会見でも「『李下に冠を正さず』で今後は発注しない」としたものの、「一般的な商慣習に照らして道義的に問題ない」との認識を示した。

さらに赤旗記者の名刺をX(旧Twitter)で公開し、「記事は恣意的に作られた」と、赤旗側を批判。

赤旗記者の名刺は携帯電話番号やメールアドレスの一部にモザイクがかけられていたものの、維新内からも「余計に騒ぎが大きくなってしまった。与党幹部という立場になったことも考えると、あそこまでやる必要はなかった」とあきれ声が上がっている。

自民は「あくまで目指すだけ」 定数削減の議論も後退?

藤田氏に関する一連の報道は、維新が強く求めてきた衆院の議員定数削減の議論にも影響を与えそうだ。

「定数削減にはもともと自民内で反発の声が多く、鈴木俊一幹事長も『あくまで目指すだけ』と落選中の前議員たちに語り、『実現はさせない』とのニュアンスをにじませている。そこに来て、共同代表に『政治とカネ』がらみでの疑惑がもたれ、続投させている維新が定数削減を求めても、説得力に欠けることになる。

『定数削減』を大義に高市首相が解散を決断し、『身を切る改革』に慎重な立憲などとの差別化を図って過半数獲得を目指すとの観測もあったが、高市首相にとっては、不祥事が多い維新を連立政権内に抱えたことのリスクにさっそくさらされた」(全国紙政治部記者)

藤田氏の疑惑が報じられたのと前後して永田町では「日本維新の会 不祥事マップ」と題した文書が出回った。日本地図とともに、各地の維新議員による、収支報告書の記載漏れ、飲酒ひき逃げ事件、セクハラ、差別発言などがまとめられたものだ。

「藤田氏を含め、維新は不祥事が相次いでいる。永田町で維新の旗色は決して良くはなく、強気に定数削減を実現させるほどの力はないのでは」(同)

ますます進む維新の「高市依存」?

こうした状況のなか、進むのではとみられているのが維新の「高市依存」だ。

読売新聞が高市政権発足直後に実施した世論調査では、維新の支持率は前回の2%から5%に急上昇。これまでは「年収の壁」引き上げなどで支持を拡大してきた国民民主の陰に隠れ、国民民主の後塵を拝す調査が多かったが、国民民主を逆転する調査が多くなっている。

そのため自民党内からは「維新は、歴代内閣の中でも高支持率の高市首相に頭が上がらず、高市自民とは簡単に離れられなくなってしまったのでは」(自民党関係者)とささやかれる。

藤田氏が「(定数削減の)法案提出までに至らなかったら完全にご破算だ」と述べていることからも、「法案提出はできても、少数与党ということもあり、今国会で成立させることは難しい。

維新は藤田氏の問題で高市首相に迷惑をかけて『借り』を作ってしまったし、今国会での成立を無理に目指さず、法案提出でお茶を濁し、悲願の大阪都構想実現のためにも高市政権にはしばらく抱きつくことになるのでは」(自民関係者)との見方が広まっている。

藤田氏と維新は高市自民への依存を深め、「身を切る改革」は中途半端に終わってしまうのか。批判をはねのけ、維新が大阪で支持を集めた原点ともいえる、議員削減を実現することができるのか。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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