浜田雅功のいない『ダウンタウンプラス』、松本人志のいない『ガキ使』――揃わないコンビでの活動…日テレ“最長寿バラエティ”打ち切りの可能性を考える
浜田雅功のいない『ダウンタウンプラス』、松本人志のいない『ガキ使』――揃わないコンビでの活動…日テレ“最長寿バラエティ”打ち切りの可能性を考える

テレビはまだまだ落ち着かない。心に“ひっかかった”番組を語るリレー連載「今週のトガりテレビ」。

今回はライター神山が、最近立て続けに届いた“長寿番組の終了ニュース”を横目に、異様な静けさをまとったまま続いている日本テレビの最長寿バラエティ番組――『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』 に目を向ける。

終了ラッシュの中で“形式の違う長寿番組”が並んだ

ここ最近、長く続いてきた番組の終了が続けて報じられた。まずは、50年の歴史を持つテレビ朝日系の「スーパー戦隊シリーズ」。

1975年の『秘密戦隊ゴレンジャー』から始まり、「色分けされた戦士たちが巨大ロボットで戦う」というフォーマットを守り続けてきたが、ついに終わりのときが来た。現在放送中の『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』が、地上波では最後の作品となる見通しだ。

次に、日曜昼の顔として40年以上続いたTBS系ワイドショー『アッコにおまかせ!』。1985年のスタート以来、MCはずっと和田アキ子。生放送のスタジオトークで時事ネタを伝えるスタイルはそのままに、“MCを変えずに走り続けた番組”として独自の地位を築いてきた。番組は40周年を走り切った2026年3月で終了が決まっている。

そして、長寿番組というほどではないが、2021年にスタートしたフジテレビ系バラエティー番組『酒のツマミになる話』。前身となる松本人志冠番組『人志松本の酒のツマミになる話』として始まり、その後は名前を変えて千鳥・大悟がMCを引き継いだ。

「酒の席で話すような本音トークをテレビでやる」――その肩の力の抜け方が魅力だったが、“松本人志コスプレ騒動”をきっかけに内部で混乱が生じ、番組は放送終了を発表。大悟がVTRで「やめまーす」と自ら番組終了を告げる挨拶を行なった。

スーパー戦隊は、毎年キャストが変わりながら続いた番組。
アッコにおまかせ!は、MCを変えずに続いた番組。
酒のツマミは、MCを受け継ぎながら続いた番組。

形式も背景も異なる有名番組が、奇しくも同じ時期に終わりを迎えようとしている。

そんな中で、今も不思議な均衡を保ったまま放送を続けているのが、1989年から続く日本テレビ系『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』だ。

松本人志が地上波出演を控えている現在も、番組のオープニング映像では“いつも通り”松本の姿が流れ続ける。本編にはいないのに、番組の象徴だけはそこにいる。松本の肖像画を外し、名前を消し、それでも番組を続けてきた『酒のツマミになる話』とは、対照的な光景だ。

「ダウンタウン」という冠名なのにそれぞれソロで出演…

11月9日放送の企画は「ヒッチハイクで耳寄り情報ゲットドライブ2」。浜田雅功、ココリコ、月亭方正のレギュラー4人がゲストを車に乗せてトークする構成。松本不在になってからは、このようにゲストを招いたり、過去の人気企画の続編を行なうことが多くなった。

そして番組の終盤にはこれまたお決まりのように、テロップで「企画構成・松本人志」というクレジットが流れる。ダウンタウン二人のオープニング映像で始まり、最後に松本の名前が流れる――このスタンスは変わらない。

番組内でも松本を腫れ物扱いすることはなく、自然に話題に上る。いつ戻ってきても大丈夫なように、まるで形を保ったまま主人の帰りを待っている番組のようだ。

そんな中、インターネット配信サービス『DOWNTOWN+』が11月1日からスタートした。松本人志の活動再開の場として、彼がプロデュースした企画を次々と展開。さらに、「ガキ使」の“オープニングトーク”など、過去の出演番組のアーカイブ映像もここで配信されている。

オリジナル企画「7:3トーク」「芯くったら負け!実のない話トーナメント」「Money is Time」などは、ファンから「ガキ使みたい」とも言われている。『DOWNTOWN+』の企画も、『ガキ使』の企画も松本が考えている以上、それは当然のことだろう。

つまり現在の構図はこうだ。

・松本が企画したのに本人が不在の『ガキ使』
・松本が企画して出演しているが浜田が不在の『DOWNTOWN+』

“ダウンタウン”という名前が、左右に割れたまま別々に動いている。

『DOWNTOWN+』の初動は好調だが、サブスクの難しさは“継続”にあり、ユーザーの関心を引くブーストを定期的に行なう必要がある。最初のブーストはもちろん、「松本人志が戻ってきた」という事実そのものだった。

そして次のブーストとして考えられるのが、浜田雅功だ。

当初、『DOWNTOWN+』がダウンタウンの新たな活動拠点になると誰もが予想していたが、現状では新規企画の中に浜田の姿はない。これは、意図的な温存とも見える。もし約2年ぶりの二人の共演が実現すれば、間違いなく話題は再燃し、サブスクとしての勢いも加速するだろう。

存在価値が揺らぐ「ガキの使い」

だがしかしその瞬間、「ガキ使」の存在が揺らぐことになる。二人が初めて揃う場所がDOWNTOWN+になった時点で、松本不在のまま続いてきた「ガキ使」の立ち位置が完全に宙に浮くからだ。

『ダウンタウンDX』が終わり、『酒のツマミになる話』が終わり、地上波で松本が戻る可能性として最有力だったのは「ガキ使」だった。しかしDOWNTOWN+が“松本の新たなガキ使”として機能し始めたことで、その未来図が一気に変わってしまった。

松本の創作の場が『DOWNTOWN+』へ、浜田との共演がそこに加わったとき――「ガキ使」の役割とは何なのか。「ガキ使」は、松本が“お笑いの実験”を続けるための唯一の地上波だった。しかし今、その実験場がオンラインへ移行しつつある。

「戦隊シリーズ」が終わり、「アッコにおまかせ」が終わり、「酒のツマミになる話」が終わる中で、「ガキ使」が終わらない理由とはなんなのか。それは、テレビと松本人志をつなぐ、最後の絆なのかもしれない。

文/ライター神山

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