子グマとの死闘を繰り広げた青森県三戸町内のラーメン店で働くAさん(50代・男性)は右目付近を10針も縫う大ケガをしたものの、子グマを見事に追い払うことに成功した。男性を襲った子グマはいま、警戒されている「はぐれ子グマ」の可能性があり、危険性が高いという。
“レジェンド”とか持ち上げられるけど…「笑えないですよ」
11月9日、青森県三戸町内のラーメン店に勤務するAさんがクマに襲われたものの、反撃しボコボコに殴り、最後には投げ飛ばしたことを集英社オンラインは報じた。男性によると、襲ってきたクマは体長1メートルほどで、子グマだったという。男性は右目付近に裂傷を負ったものの、子グマは男性を襲うのを止め、近くの山へ逃げていった。
このことは全国的なニュースとして取り上げられ、男性を“レジェンド”と持ち上げる記事まで出たが、Aさんの内心は異なる。
「ケンカなんて若い頃はしたことがあるけれど、もうクマが一番強かった。勇敢だ!すごい!とかいわれているけれど、本音は死ぬかと思って必死だった。笑えないですよ。本当に。『ダメだこりゃ』と思って。『逃げようが隠れようがどうしようもねえ』と思って、向かって戦った」
状況を整理しよう。
男性は9日午前5時、朝ラーメンの仕込みをするために「麺工房てんや三戸店」に出勤した。当時の気温は0.9度と低く、雨は降らなかったものの寒さが肌に沁みる日だった。
店裏に出てガス栓を開けようとすると、黒くて大きい物体が動いており、男性は当時「大きい犬かと思った」と語る。ところが正体は子グマで、急に襲いかかってきたという。
「俺の顔を目掛けて、バーンと爪のある手で襲ってきた。避けきれなくて、爪で右目付近を引っ掻かれてしまった。逃げたら殺される。死ぬなと思って抵抗した。左手で子グマの顔面を殴ったが全然効かない。何度も殴ってもさ、全然びくともしない。とにかく手が痛かった。クマの体は硬い筋肉というか、鉄板みたいな毛皮に覆われている感じ。
戦い方を変えて、クマの懐に入る感じで脚を引っかけたら、ゴロンと後ろに転がった。それで助かった感じですね。
男性はその後、救急車で搬送され、右目付近を10針縫う大ケガをした。また、右脇腹を骨折していた。
店は休業、補助金も入らず…
Aさんを襲ったのは子グマだったが、子グマといえど爪や牙が鋭く、力も強いため危険とされている。特に母グマから離れてしまった子グマは「はぐれ子グマ」と称され、パニックになって攻撃的になり人を襲う可能性があるとされている。
そんなはぐれ子グマは現在、秋田県や北海道から岐阜県まで全国各地で出没している。直近では12日、いわて花巻空港の駐車場で子グマ1頭が滑走路を横断したことで、発着便に遅れが出たことは記憶に新しい。
ラーメン店に勤務するほかの女性従業員がこう不安を吐露した。
「Aさんが襲われたところはいつも従業員が出入りしているところです。女性従業員のなかで、もし私たちが襲われていたらどうしよう、死んでいたのではと不安の声が上がっています。今回は(被害に遭ったのが)男性で相手が子グマだったらか何とか生きれたものの、もし私たちが襲われていたらと考えると、ゾワっとします」
Aさんが襲われたことにより、店はその日に臨時休業の選択肢を取った。現在ものれんは店内にしまったままだ。
「(お店で提供しているのは)自家製麺なので、店の裏に麺を仕込む小屋があるんです。営業前は従業員がみんな通るところでもある。そこで子グマに襲われた。もしかしたら他の従業員が襲われていたかもしれない。小柄な女性が襲われていたらどうなっていたことか。このあたりはクマを見ることがあっても、いままで人が襲われることは一度もなかったんだ。
現在、クマ対策用の柵を設置しようとしており、数十万円のお金がかかる。店を休業したことにより、売り上げも入ってこない。商工会に聞いたら補助金はないって。従業員を守るために必要なことで、仕方ないと割り切っているが、クマ被害が全国では多発しているんだから、なにか制度があってもいいんじゃねえか」(オーナー・佐々木さん)
Aさんもいち早くの社会復帰を望んでいるという。佐々木さんが続ける。
「(Aさんは)透析の専門病院に長年勤めていたが、どうしても好きなラーメンの仕事をしたかったと聞いている。もともと中学校時代からのお互いを知っていて、同じ学年で他校同士だったものの野球仲間ということで顔なじみだった。ある日、急に電話がかかってきて、『働かせてほしい』と頼みこまれた。
医療系とは畑違いの仕事でもあるから、向いていないかもと思って断っていたけど、熱量に負けて去年7月頃から働いてもらっていた。仕事は真面目だし、責任感があるまじめな男だよ。仕込みも覚えて、“やれてるな”って思ってたところでこの事故だった」
Aさんはいまも周囲に「自分が休んでしまったことで、迷惑をかけてしまっている」「早く仕事に戻りたい」と漏らしているという。
クマは間も無く冬眠期に入るが、冬眠が遅れることも懸念されており、今年いっぱい警戒が続く。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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