ハリウッドで実写映画化もされたライトノベル『All You Need Is Kill』が、2026年1月9日に初アニメ化を果たす。独創的な作風で知られるアニメーション会社・STUDIO4℃が制作を手掛ける。
主人公・リタ役に抜擢されたのは、映画『国宝』や大河ドラマ『光る君へ』など、近年の話題作に数多く出演している俳優・見上愛。そしてもう1人のメインキャラクター・ケイジは、『鬼滅の刃』の竈門炭治郎役でお馴染みの声優・花江夏樹が演じる。
見上愛がアニメ声優に初挑戦! 見違えるほどの成長に花江夏樹も驚き
――今作は主人公・リタとケイジの成長を軸とした物語で、おふたりの演技を堪能できる作品になっています。どんなことを意識して演じましたか?
見上愛(以下、見上) 何を意識すればいいのかすら分からなかったので、とにかく飛び込もうという気持ちでした。
花江夏樹(以下、花江) STUDIO4℃さんの作る映像は独特じゃないですか。その唯一無二の雰囲気を極力壊さないお芝居の作り方をしたいなと思いました。
──見上さんは初めてのアニメ出演となりましたが、花江さんと一緒にお芝居して吸収できたことがあれば教えてください。
見上 1日目は1人で収録して、2日目に花江さんとご一緒したのですが、3日目の収録で「1日目とは比べものにならないくらい良くなったね」とみなさんに言われました。それで、3日目に1人のシーンを全部録り直したんです。それくらい大きな影響を与えていただきました。
──花江さんは、見上さんとのお芝居はいかがでしたか。
花江 すごく素敵だなと思いました。最初から、声の質感が素晴らしいなと思っていたので。
リタはループから脱出しようと必死にあがくじゃないですか。その姿と心境的にリンクしたんだろうなと思うくらい、見上さんは役に入り込んでいました。あと、一日の始まりと終わりで演技が見違えるほど変化していて、その成長ぶりに本当に感動しました。
──当初は心を閉ざしていたリタが、どんどん心を開いていく難しい役柄ですが、どんなふうに演じましたか?
見上 監督からは技術ではなく、感情面での指示をいただきました。多分「こういう声を出してください」と伝えてもできないのが分かっているから、「こういう感情にしてください」と指示されたんじゃないでしょうか。だから普段お芝居している感覚で、リタの心境に寄り添っていきました。
──本作は原作とは違った視点で描かれていますが、どんな印象を受けましたか?
花江 本作のリタとケイジはそんなに強くないので、より成長を感じられる展開だと思いました。また2人が自分の弱さを伝えるシーンもほかの『All You Need Is Kill』とは違って、より繊細な印象でしたね。
見上 原作とは違う方向で、生きる希望を見出せる作品になっていると思います。花江さんもおっしゃったように、弱い2人だからこそ感情移入しやすいですよね。自分もこういう状況になるかもと思える瞬間がたくさんあったので、そこも魅力じゃないでしょうか。
──本作はキャラクターデザインも独特ですね。
花江 マンガ版を読んでいたので、最初ケイジはちょっと頼りない気がしました(笑)。でもこの物語としてはそれが味になっていると思いますし、だんだん成長していって、かっこいいと思いました。
見上愛の好きなアニメは? 「プロの声優」を熱烈にリスペクト
──見上さんにお聞きしたいのですが、初めてアニメの収録現場を体験した感想はいかがですか。
見上 とても緊張しました(笑)。ずっとブースに1人きりな感じも孤独感があって、ガラス越しにスタッフさんたちが何かを喋っているのは見えるのですが、聞こえなくて……。「今から何を言われるんだろう」というドキドキがありました。
──収録中に花江さんとお話されましたか?
見上 他愛のない質問をたくさんしました。その頃は風邪が流行っている季節で、喉のケアをどうしたらいいのか聞いたんです。そしたら「最初の頃はすごくケアしていましたけど、やり過ぎもよくない」とおっしゃっていて……。
花江 言いましたね。「過保護にしすぎ」みたいな。
見上 あ、そうなんだと思って。それを胸にここまでやってきています(笑)。
──逆に花江さんは今回の共演で何が印象的でしたか?
花江 見上さんとの共演は勉強になったし、「こういうまっさらな状態に戻りたいな」と感じて、勝手にへこんで帰りました(笑)。どうしてもセリフを読もうとするとき、ちゃんと発声しようとしてしまうんですよね。この作品ではそれを極力削ぎ落としたかったので、無意識でできる状態なのがいいなあと思いました。
──監督からはどんな演技プランを示されたのでしょうか。
花江 僕はですね……あんまりなかったです(笑)。
見上 パッと録ってパッと帰られた印象があります(笑)。
花江 ある意味監督に任せてもらえたのかなと。でも作品としての雰囲気を壊さないようにしたいと思っていたので、そこは気をつけましたね。
──ところで見上さんはアニメがお好きとのことですが、どういった作品を観るんですか?
見上 え、いっぱい観る……(笑)。最近だと『SPY×FAMILY』も観ていますし、『怪獣8号』も観ていますけど、アニメだからこそできる表現には特有の魅力があると思っているので、アニメオリジナルの作品が好きです。『輪るピングドラム』や『少女革命ウテナ』など、アニメの表現の自由度を感じられる作品がすごく好きですね。
──今後もアニメの仕事をしていきたいと思いましたか?
見上 以前のような気持ちで「やってみたい」とは言えなくなってしまいました。
演技の注目ポイントは……見上愛は「泣きの演技」に苦戦
──花江さんは本作で「この演技に注目してほしい」という部分はありますか。
花江 ケイジはちょっと頼りない印象ですが、それだけを押し出すと、視聴者が不安になってしまいます。だから「実は頼りになるんじゃないか」と安心感を与える要素を入れたいと思っていました。
──ケイジの目線からすると、ボーイミーツガール的な要素もあると思うのですが、それを踏まえてどんな風に演技をしましたか?
花江 やっぱり若さですよね(笑)。自分の学生時代を思い返しながら、この年代の子はどうやって喋るんだろうと。あと言葉にあまり意味を持たせすぎないということも気をつけました。若い子って反射で喋るじゃないですか。とくに意味ないけど、ポンポン喋るような、そういう若者らしさがあったらいいなということですね。
──見上さんは今回、演じていて難しかった部分はありましたか?
見上 声優さんは涙を流さなくても、泣いているように聞こえる声を出す技術があると思いますが、私は本当に泣かないと出せないんです。そういうところは大変でしたが、その分やりがいがありました。
──本作で1番の見どころはどこですか?
花江 普段からゲームをやるので、ループする展開がそもそもワクワクしました。「ここで失敗したから今度はこうしてみよう」というのを積み重ねていくのは、ゲーム的な達成感がありますね。いつ終わるのか分からない絶望感もあって、食い入って観てしまいました。
見上 音も絵も迫力がすごくて、小説を読んで思い描いていたものを超えてきました。また、すごく孤独で孤立していた2人が出会うことで、少しずつ生きたいと思える、世界の見方が変わっていくという話なので、そういうところを楽しんでいただけたらなと思います。
取材・文/ハララ書房

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