配達員が気遣いに感動「涙いいっすか」 客からの “差し入れとメッセージ”に大反響「日本人も捨てたもんじゃない」「裏がありそうで怖い」
配達員が気遣いに感動「涙いいっすか」 客からの “差し入れとメッセージ”に大反響「日本人も捨てたもんじゃない」「裏がありそうで怖い」

配達先で見つけた小さな差し入れがSNSで大反響。善意の行為に感動が広がる一方、「見知らぬ人からもらう飲食物は不安」と警戒する声も上がった。

賛否が分かれるなか、当事者の配達員が明かした本音とは──。

「涙いいっすか」配達員が感動したメッセージ

投稿したのは男性配達員・しょうたんさん。ある家に荷物を届けた際、宅配ボックス近くに置かれていたのは、手書きのメッセージカードとともに用意された発泡スチロールの箱だった。

〈配達員の方へ いつも配達ありがとうございます!! 寒くなってきましたね あたたか~い飲み物はご用意できませんが、休けいのお供に是非1本お持ち下さい コーヒー 紅茶 お茶 などございます♡〉

箱の中には、コーヒー・紅茶・お茶・水といった飲み物が並べられていたという。

この写真を添えて、「自分 涙いいっすか」としょうたんさんがXに投稿すると瞬く間に拡散され、大きな反響を呼んだ。

心温まるカードに、同業者も共感、SNSでは多くのポジティブな声が寄せられた。

「こういう暖かい言葉が 人を幸せにしますね とてもほっこりさせてもらいました」

「インターンで組合の配達やった時にもこういう聖人が30~40件に2件くらい居た。まだまだ日本人も捨てたもんじゃない」

「無茶苦茶わかりみ深いです…… 稀にお届け先の方から貰った際嬉し過ぎてしばらく記念に取っておいたりとかしちゃいますもん…」

「これはまじで 飴玉やチョコ一粒でも涙出ます」

配達という仕事のなかで、直接感謝を伝えられる機会は限られている。そんな中での想定外の心遣いに、同業者とみられる人たちからは共感と感謝の声が相次いだ。しょうたんさん自身も、当時の心境をこう振り返る。

「配達の仕事は最近始めたばかりで、そのころちょうど、初めての大きなミスをして傷心していました。こうして感謝の意を伝えてくださったことに、とても救われた気持ちでした。 タイミングも相まって堪えてなかったら涙が流れてましたね」

普段は置き配が中心のため、対面で感謝を伝えられる機会はほぼないという。

「『いつもご苦労様です』などの張り紙を目にすることはたまにありますが、飲み物まで用意されているのは初めてでした」

「変な人だと思われそうでちょっと気が引ける」善意を躊躇する人たち

一方で、SNSのコメント欄にはこんな声も少なくなかった。

「これしたいけど、逆に変な人だと思われそうでちょっと気が引けるんだよね。やっていいのかな?」

「疑り深い私は素直に頂いて帰れない…。何か裏があるんじゃないか?とか怪しくて怖くて無理」

「私も、気持ち悪がられるかと思ってしたいけど、したことない 感謝を物にしてお伝えしたいけど、こんなご時世だから、変なもの混ぜてんじゃねーか!ババア!みたいに思われたら悲しいな、って…」

現代社会に根づく警戒心。善意を送りたい人も、受け取る配達員も、双方が「心遣いの裏」を気にしてしまうというジレンマが浮き彫りになった。

しょうたんさんはこれについて、率直な意見を語ってくれた。

「今回の投稿に対して、毒物が入ってるかもしれないから、受け取れないなどのリプライがあり、たしかにそう思う方がいるだろうなと思いました。しかし、僕は善意は疑わず受け取ってしまうタイプなのでありがたく頂戴しました。

私個人としては今回のような形で飲み物を用意してくださっているのはとても感動しましたが、受け取り手を選ばない、万人に喜ばれる差し入れは、やはりチップ(現金)になると思います。ただ、すでにお客様からは感謝の意を配達料という形でいただいていますので、何も要りませんが」

日本の物流量は年々増加している。国土交通省の調査によると、宅配便の年間取扱個数は1980年代には約6億個だったが、2024年度(令和6年度)には約50億個に達し、この40年ほどで一気に膨れ上がった(国交省調べ)。

ネット通販の普及やEC市場でブラックフライデーなどセールの定着によって配送量はさらに増えており、増加傾向はいまだ止まっていない。

そしてまもなく、物流量が年間で最も増える時期、11月28日からブラックフライデーが始まる。

「これから最も忙しくなるタイミングで、受け取る側にお願いしたいことは?」としょうたんさんに尋ねると、こんな答えが返ってきた。

ブラックフライデーで配達員を助けるには…

「安全運転で、誤配のないように仕事ができたらいいなと思います。プライバシーの問題などもあると思いますが、表札やメールボックスにお名前を表記していただけると、確認の手間が省けるのでとっても助かります」

配送の最終工程で起きる「ラストワンマイル問題」を支える人と、荷物を待つ人。ほんのわずかな配慮が、過酷な現場で働く人の支えになるときもある。物流の課題は、業界の問題であると同時に、荷物を受け取る私たちすべてに向けられた問いでもある。

取材・文/集英社オンライン編集部

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