〈ブーム再び〉たまごっちが買えない子ども続出! 父親たちが奔走も「10店舗電話しても買えない」“超進化版”の高額転売が相次ぎ、バンダイも「転売や買い占めは不本意です」
〈ブーム再び〉たまごっちが買えない子ども続出! 父親たちが奔走も「10店舗電話しても買えない」“超進化版”の高額転売が相次ぎ、バンダイも「転売や買い占めは不本意です」

バンダイより今年7月に発売された「Tamagotchi paradise(たまごっちパラダイス)」の人気が止まらない。平成に一世を風靡した「たまごっち」の“超”進化版ともいえる同商品は、「転売ヤー」によって高値で取引されるなど、手に入りにくい状況が続いている。

その人気の秘密に迫った。

全世界で累計1億個を出荷

今年7月にバンダイより発売された「たまごっちパラダイス」。50以上の育成遊び や5万種以上ものたまごっちの育成ができ、さらにはデバイス同士での通信も可能と、遊び方のバリエーションが大幅に広がり、発売前から大きな話題を呼んだ。

初代「たまごっち」の発売は1996年。たまご型のデバイスの中で「たまごっち」という不思議な生物を飼育するというおもちゃは、女子高生を中心に大ブームを巻き起こした。

たまごっちにごはんをあげたり、トイレの世話などを行なったりして飼育し、うまく育てられないと死んでしまう――かわいい見た目と育成の難しさの絶妙なバランスに虜になった人も多いのではないだろうか。

その後も、さまざまな機能や遊びを追加しながら多様なシリーズが展開され続け、これまでに全世界で累計1億個を出荷しているという(2025年7月時点)。11月22日にも新商品が発売されるが、「お1人様1点まで」「抽選販売」などとする販売店が多く、その人気ぶりがうかがえる。

小学1年生の娘を持つ都内在住の40代の父親は次のように話す。

「9月末に、うちの娘が急に『11月の誕生日プレゼントに欲しい』と言い出したので、近くのおもちゃ屋に下見に行ったんです。そしたら置いてなくて。その後も秋頃にかけて、タイミングを見ては大手家電量販店をはじめ10店舗以上に電話をして在庫を探しました。でも一切見つからなかった。

Amazonとかメルカリで定価よりも高値で売られていることは知ってたけど、やっぱり転売ヤーからは買いたくないですし、会社の同僚は3か月探したと話してましたね」

この男性の“たまごっち探し”の旅は意外な結末を迎えたという。

「結局、Amazonで買っちゃいました(笑)。値段が高かったし、出荷元と販売元が個人になってたけど、娘のためと思って……。娘からは早速お世話を頼まれて、朝から在宅仕事の合間にご飯のお世話や『あっちむいてほい』をして遊んだり、トイレのお世話をしたりしています。

妻も本物のペットを飼うのは嫌がるし、子どもの『お世話したい欲』が満たせるのはいいですね。そういえば僕も昔、初代たまごっちが出たときは、モテたい一心でレアだった“白のたまごっち”を手に入れようと必死だったな…」

「アナログ感のある『おもちゃ』としての楽しさを追求しました」

大手家電量販店「ビックカメラ」の担当者は、今も入手困難な状況が続く「たまごっちパラダイス」の発売当初の様子について次のように話した。

「前作(「Tamagotchi Uni たまごっちユニ」)でご好評をいただいた『有楽町店発売イベント』におきましても、非常に多くのお客様にご来店いただき、計画を上回る販売実績となりました。

お子様だけでなく、20~30代の女性や親子、さらにインバウンドでのご購入も多く見られました。商品軸では、本体以外の周辺商品や雑貨の販売も堅調であり、キャラクターIPの持つ力がますます高まっていると感じております」

幅広い世代から支持されているという同商品の人気の秘密はどこにあるのか。発売元であるバンダイの担当者に話を聞いた。

「来年、初代『たまごっち』から30周年を迎えるということで、原点回帰しアナログ感のある『おもちゃ』としての楽しさを追求しました。また、1996年当時から『へんてこな生き物を育てる、お世話しないと死んでしまう』というたまごっちの根幹を見つめなおし、『本当に“生きてる”ようなたまごっちを目指そう』と2023年より企画が開始しました」

企画から発売まで2年をかけたという「たまごっちパラダイス」では、「手間がかかる」部分を大事にしたという。

「最終的に『ラボ』というコンセプトが決まり、それを再現するため『ズームダイヤル』に行き着きました。あえてズームダイヤルで4階層も作って、行ったり来たりしながら忙しくお世話をしなきゃいけないようにし、ちょっと手間がかかる、まさに“本当に生きているからこそ手がかかる”という部分を大事にしています」

入手困難な状況が続き、転売などが行なわれている状況については、次のように説明した。

「『たまごっちパラダイス』の想定を上回るご好評を受け、店舗などで品薄の状況が続いておりますことに関して、お客様ならびにお取引先様に対し、心よりお詫び申し上げます。安定供給の実現に向け、鋭意生産を行なっております。

転売や買い占めで、購入されたい方が買えない、買いづらい状況は、不本意であり、ユーザーの声を真摯に受け止めて生産体制の整備・強化に取り組んでおります」

2025年新語・流行語大賞にもノミネートされた「平成女児」。そんなブームの顔とも言える「たまごっちパラダイス」が、クリスマスまでに多くの子どもの手に届く体制になってほしいところだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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