高市早苗首相の台湾絡みの発言に怒る中国政府が自国民に日本への渡航自粛を求めるなか、11月22日から24日までの3連休に行楽地では中国人観光客が少なくなったという声が聞かれた。グループのツアー客が減り、店先で廉価な食べ物を売る店は影響を感じている反面、高級店では売上げは落ちていないという。
東京・築地では「ここ1週間で中国語がほぼ聞こえなくなりました」
中国は高市首相発言を撤回するよう連日要求を続けている。駐日中国大使館は11月21日にはXで、国連憲章には第二次世界大戦で連合国の敵だった日本などが侵略に向けた動きを見せれば、中国を含む国連創設国は安全保障理事会の許可なく直接軍事行動をとることができるとの「敵国条項」がある、と主張した。
これに対し、日本外務省は23日に反論をXに投稿。中国が指す国連憲章の記述を“旧敵国条項”と呼びながら、「1995年(平成7年)の国連総会において、時代遅れとなり、既に死文化したとの認識を規定した決議が、圧倒的多数の賛成により採択され、中国自身も賛成票を投じています」と指摘。
「死文化した規定が未だ有効であるかのような発信は、国連において既に行われた判断と相容れない」と主張している。
こうした応酬について全国紙外報部記者は
「国連憲章を条文通り読むなら、創設国の一員として書かれている中国は中華人民共和国ではなく『中華民国』(台湾)じゃないかという反論もSNSで飛んでいます。
いっぽうで中国外交部の報道官は24日には、日本が南西諸島の防衛力強化を図っていることを『地域の緊張を意図的に作り、軍事対立を引き起こすものだ』と述べ、高市首相発言とも絡め非難の対象を拡大しています」と指摘する。
ただこの数日、中国側から新たな“制裁”は顕在化しておらず、言葉のジャブを繰り出して緊張を維持しつつ既に出した措置の効果を見ている気配だ。
「この中で、観光業への打撃を狙った訪日自粛要請に絡んでは、政府が発表した翌日の15日から18日までの間に日本行きチケット予約の32%に相当する約49万1000件の航空便のキャンセルが出たとの航空アナリストの話を香港紙が報じました。
また中国国際航空(エアチャイナ)が日本発着便を11月末から大幅に減らすとも伝えられています。中国の旅行会社は当局の自粛要請を聞いてすぐにツアーの取り消しを始め、航空会社もすぐにその意向を汲んだということでしょう」(前出・外報部記者)
その影響は11月22日から24日の3連休にどうあらわれたのか。
東京・築地で、インバウンド客の「食べ歩き」を狙って、路上に中国語の看板を掲げる飲食店の男性店長Aさんは、いつもと違った現状を嘆く。
「ここ1週間で中国語がほぼ聞こえなくなりました。やっぱり高市さんの影響だと思います。ただ、もともと今はオフシーズンで中国の方は多くない時期なので、売上げにはそこまで影響していません。ですが、来年のオンシーズンになると、話は変わってくるのかなと思います」
いっぽう、浅草で人力車を引く男性Bさんも「この1週間でツアー客は確実に減っています。明らかに中国人観光客だと思う声の大きい集団がこれまでいましたが、さっぱり見なくなりました」と連休中の客層の変化を話した。
客単価が1万円以上の高級飲食店は「売上げはまったく減ってないです」
ただ、こうした影響は飲食店の価格帯によっても異なる現状があると前出のAさんはいう。
「食べ歩きの店とか入りやすい飲食店は中国人観光客が減っているいっぽうで、予約制の高級店とかはまったく変わらないと聞いています」
その言葉通り、築地で客単価が1万円以上の高級飲食店店長のCさんは「売上げはまったく減ってないです。うちは団体の予約はお断りで、個人のお客さんが多いから。中国人のお客さんが多いけれども、普通に今週もいるし、今日も来ているよ」と話した。
さらに価格が中堅クラスの飲食店の店長Dさんも同調する。
「うちはお客さんの7、8割は中国人ですが、正直まったく変動はありません。オンシーズンでないことと、ツアーではなく個人旅行で来ているお客さんが多いからではないかと思います。
ただ、このままオンシーズンとなった場合、正直怖いです。12月末までとされる渡航自粛要請が延長される可能性もありますし、今対策を考えています」
11月のこの時期はオフシーズンで来客に占める中国人の比率が高くないため今は大きな影響は出ていないものの、ツアーの団体客が増える春節などを規制が直撃すれば大変なことになると心配する声は目立った。
浅草の鰻店の女性店員Eさんもそのひとりだ。
「うちはお客様の6、7割が外国人観光客で欧米と中国が半々といった印象です。この1週間、確かにお客さんは減りました。実際には中国の方は半減したのではないのでしょうか。
とはいえ、今は他の外国人観光客の方もお金をいっぱい使ってくれているので大きいダメージではないです。これはオフシーズンだから大丈夫なわけで、オンシーズンの場合には対応策を考えなければなりませんね」
日本経済に打撃を与えたい中国政府や影響を少しでも和らげたい日本政府、やきもきする観光業界とは違う目でこの事態を見ている人もいる。
インバウンドの増加がもたらすオーバーツーリズムに悩む観光地の地元住民だ。
京都市の主婦Fさんは「このまま中国から観光客が来なくなってもいいと思います」と話す。
「京都はコロナ前から大きな荷物を持ってバスに乗る外国人が増え、住民が乗れないんです。
中国と揉め始めてからも大して状況は変わりません。有名観光地ではライトアップもしているので、夜は特にバスに乗れません。アジア系の観光客の比率がちょっと減った気もしますが、気のせいかもしれず、相変わらず多いです。
だいたい観光客が増えても潤うのはごく一部の観光業界だけで、住民にいいことはなんにもありません」(Fさん)
ただ、中国が経済交流を締め付けてくれば影響は観光業界だけではすまなくなる。南アフリカで開かれたG20ヨハネスブルグ・サミットには高市首相と中国の李強首相が出席したが談判の場はなく、打開の見通しはない。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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