上白石萌歌「ここ数年で一番面白い脚本」『ロマンティック・キラー』実写で“恋をしたくない主人公”に新境地 主演メンバーとの撮影ウラ話
上白石萌歌「ここ数年で一番面白い脚本」『ロマンティック・キラー』実写で“恋をしたくない主人公”に新境地 主演メンバーとの撮影ウラ話

2026年に芸能活動15周年を迎える俳優・上白石萌歌が、新境地となる役柄に挑んだ。12月12日公開の漫画原作・実写映画『ロマンティック・キラー』で演じるのは、恋愛にまったく興味のない“干物女子高生”・星野杏子(あんず)。

「恋なんて、絶対にしない」――そう思っていたはずの杏子が、人間の恋愛エネルギーを糧にする魔法使いの出現によって、強制的にロマンティックな展開へと巻き込まれていく。 コメディにアクション、そして恋愛。目まぐるしく変化する物語の中で、上白石はこの異色の主人公をどう演じ切ったのか。挑戦の裏側と本音に迫る。(前後編の後編)

「一番かっこよくハンサムでいて」、原作者の想い胸に

「第1回LINEマンガ大賞」銀賞と「第2回ジャンプ縦スクロール漫画賞」大賞に輝き、Netflixでアニメ化された百世渡原作の漫画『ロマンティック・キラー』が上白石萌歌を主演の一人に迎え、映画化される。

――今回、出演オファーを受けたとき、率直にどんなお気持ちでしたか?

上白石萌歌(以下、同) お話をいただいたときは「自分に務まるのだろうか」という不安もありました。でも脚本が、ここ数年読んだ中で一番面白くて。ページをめくりながらずっと笑ってしまったんです。

原作の面白さはもちろん、英(はなぶさ)監督の手にかかると、さらにコメディ要素が増幅していて、「この世界にとにかく飛び込んでみたい」という気持ちになりました。

――「絶対恋なんてしない」と断言する主人公・杏子のキャラクターはどのように受け止めて演じられましたか。

杏子は「ゲームとチョコと猫さえあれば生きていける」という、すごく潔くて魅力的な女の子です。自分が心血を注げるものに没頭して、それで自分を満たしている――そんな彼女が魔法使い・リリと出会うことで、どんどん自分の世界を広げていくという世界観が魅力的に感じました。

原作者の百世さんと初めてお会いした際に「イケメンがたくさんいる中でも、杏子が一番しなやかでハンサムであってほしい」と言っていただいて、精神的な面でもかっこいい存在でいられたらいいなと思って演じました。

原作ありきの作品を演じることの「怖さ」と向き合い方

上白石はこれまでも、『子供はわかってあげない』(2021年公開)や『パリピ孔明 THE MOVIE』(2025年公開)など漫画原作の実写映画作品に多数出演してきた。すでに多くのファンに愛されている原作キャラクターの実写版を演じることは、どのようなプレッシャーがあるのか。

――原作のある作品を演じるときと、オリジナル作品を演じるときとでは、役との向き合い方に違いはありますか?

原作がある作品に挑むことは、怖さもある半面、材料がたくさんある状態でもあります。私は結構、“妄想癖”があって、原作のない作品だと「この役はどういう人が好きなのだろう」「普段どんな服を着ているのだろう」と、自分の中で役の世界を広げることができる。

でも、原作がある場合は、そのキャラクターのルックスや身に着けているもの、どんな環境で生きているかといった情報がすでにそろっているので、役作りをしやすい一方、すでにある型の中でどう自分らしさを出すか、という難しさも感じています。

だから、原作やアニメを何度も見返す中で、「とにかく自分がその作品を愛すること」が一番大事だと思うようになりました。自分自身が一番のファンになれたら、きっと役としても成立するし、その役を全うできる。そう信じることが、自分なりの作品との向き合い方ですね。

――今作の原作である漫画やアニメもご覧になりましたか。

見ました。何日かに分けて見る予定でしたが、あまりの面白さに一晩で一気見してしまいました。今作は自分にとっても新境地になるので、脚本と照らし合わせながら見ていきました。

満身創痍のアクションシーンと、高橋恭平に「運命的なものを感じた」わけ

――今作には激しいアクションシーンもありましたが、苦労された部分はありましたか。



今までアクション経験がほとんどなかったので、7分にも及ぶアクションパートを演じることが最初はすごく恐ろしくて、「できるわけない……」って思っていました。

でもスタッフさんの丁寧な指導のもと、撮影後や、家に帰ってからも練習を重ねました。毎日全身筋肉痛の状態で、まさに満身創痍で臨みました(笑)。

1週間に及ぶアクションシーンを撮り終えた瞬間は、やり切った……という達成感がありました。

一日一日の撮影を乗り越えるために、目の前にあることをどんどんなぎ倒していくような日々でした。大変ではあったのですが、すごく充実した毎日でもありました。

――同じくクアトロ主演を務める高橋恭平さん(なにわ男子)、木村柾哉さん(INI)、中島颯太さん(FANTASTICS)とは撮影中、どのようなコミュニケーションを取られていたんですか。

まず高橋さんとは生年月日が全く一緒なのですが、性格は私と真逆で、一見クールに見えてとても盛り上げ上手。現場のムードメーカーでもありました。中島さんもノリツッコミが面白くて、2人を基軸に現場はずっと盛り上がっている状態でした。

なぞなぞを出し合ったり、SNSで流行っていた空中ウォークにみんなでひたすら挑戦したりしてましたね。

――『賭ケグルイ』シリーズや『ぐらんぶる』など原作の面白さを損なわない数々の実写化作品に定評のある英監督の現場での魅力を聞かせてください。


英監督はとにかく太陽みたいな存在なので、現場の空気が重い日が一日もなく、毎日がとてもクリエイティブで楽しい現場でした。英監督はあまり粘って撮るタイプではなく、基本的に「一発OK」みたいなタイプなので、みんなその1テイクに命をかける、瞬間的に生まれる強さを求める日々でした。

――英監督作品には映画『3D彼女 リアルガール』(2018年)以来の出演かと思いますが、緊張はされましたか。

緊張は全くなかったです(笑)。初めてお会いしたときは10代のときでしたが、そのときから全くお変わりなく、芝居中も豪快に笑っていました。英監督が笑ってくれるとうれしいですし、たくさん寄りかかる気持ちで、最後まで英監督の感覚を信じて走り切ることができました。

約10年ぶりに英勉監督と上白石萌歌が再タッグを組んで挑んだ本作。ふたりの進化と信頼が織りなす、新たな科学反応に注目してほしい。

前編「〈芸能活動15周年〉上白石萌歌、30代の展望語る」はこちら

取材・文/木下未希 撮影/矢島泰輔
上白石萌歌さんスタッフ:ヘアメイク/恩田希(資生堂)、スタイリスト/道端亜未

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