懐かしさに浸るためではなく、むしろ“新しさ”を感じるために昭和へ飛び込んだ24歳の阪田マリン。レコードから短冊CDまで、とにかく「好き」という感覚だけを頼りに集め続けてきた昭和アイテムの数々は、今や部屋いっぱいに広がる“時空を越えた空間”を形づくっている。
先日もXで、「怖いか???24歳独身。子ども部屋おばさんの部屋が。」とコレクションを紹介してバズったばかり――その世界の奥行きを、あらためて聞いた。(前後編の後編)
ミラーボールにピンクの電話… 昭和アイテムコレクション
――まずは、これまで買ったアイテムの中で「特に気に入っているもの」から教えてください。
阪田マリン(以下、同)一番は、ピンクの電話ですね。昔、喫茶店とかに置いてあったような、公衆電話の“ピンクのやつ”。あれはヤフオクで見つけて、一目惚れでした。たしか3万円くらいだったと思います。
――他に“部屋の顔”になっているものはありますか?
最近のお気に入りは、駄菓子屋さんに置いてあるお菓子の箱です。単品じゃなくて“箱で置く”と、一気にタイムスリップ感が出るんですよ。部屋の空気がガラッと変わって、インテリアとしてすごく良いんです。
あとは、レコードプレイヤーとレコードのコレクション。存在感がすごいです。
――ミラーボールが部屋にあるのはインパクトがありますね。どんな経緯で手に入れたのでしょうか。
お仕事の撮影で使っていたミラーボールがすごく綺麗で、「絶対終わったら買い取ろう」と思って撮影後にお願いしました。そしたら「あげるよ! 送るよ」と言ってくださって。いただいちゃいました。
――天井から吊るしているのかと思いましたが、そうではないんですね。
それが、重すぎて無理なんです(笑)。多分、ボウリングの球くらいあります。だから吊るすのは親が絶対許してくれないです。今は床置きです。
――10月のX投稿では、車のハンドルのようなものも映っていました。
あれは、「obaハンドル」ですね。昭和の車がすごく好きで、学生の頃、毎週金曜日の夜に開催される昭和車のミーティングに通ってたんです。そこでオーナーさんたちと仲良くなって、「いつか昭和の車に乗りたいんです」と言ってたら、「じゃあ、乗れた時はこれ使えよ」と“obaハンドル”をくださって。
ウッドのハンドルで、本当に大事なものです。乗れる日まで部屋に飾っています。
――そのミーティングにはどれくらい通っていたんですか?
大学2~3年の頃ですね。年に1回の鈴鹿サーキットのレトロカーイベントにも行きました。
チェッカーズ本人からもらった超お宝グッズも
――さらに驚いたエピソードですが、元チェッカーズの鶴久政治さんから帽子をいただいたとか。
はい。私が「チェッカーズがきっかけで昭和が好きになりました」と話した記事を見た事務所の方から、「ぜひ会ってください」と連絡をいただいて、鶴久さんと対談することになったんです。
その終わりに、「これ、チェッカーズの“さよならコンサート”で僕が被ってた帽子なんだ」って、プレゼントしてくださったんです。本当にこれは、空気感ごと詰まってるような、大切な宝物です。
――ファンの方からも、「これ、あげるよ」というアイテムを受け取ることもあるんですか?
結構ありますね。特に“マッチ箱”をよくいただきます。持ち運びができるので、イベントの差し入れで渡してくださる方が多くて。昭和ものが好きなファンの方が本当に多いです。
――部屋を昭和仕様にすることについて、親御さんはどう受け止めているのでしょう。
かなり怒られます(笑)。「わざわざお金払って昔のもの買う意味がわからない」「私が昔、当たり前のように触っていたものを買う意味がわからない」とか。
――確かに親御さんの世代からすると、日常の一部だったものを“買い直す”という感覚は、不思議に映るのかもしれませんね。いつから昭和アイテムを集めているのですか?
中学2年生からなので、もう10年以上前です。今も「いいな」と思ったら増やす感じで。
――長年の収集となると、総額も気になります。
よく聞かれるんですけど、高額な昭和アイテムってそんなに多くないんです。
――一番高価なものは?
レコードプレイヤーです。スピーカーやアンプも含めて、ずっと使えるものを選んだので20万円ほど。Audio-Technica(オーディオテクニカ)のものです。
今、一番欲しいものは40万円の……
――そんな部屋の中で、特に“ここが好き”と言える場所はありますか。
うーん、全部です(笑)。
――過ごし方でいうと、どんな時間が一番しっくりくるのでしょう。
音楽を聴いて、昭和漫画を読む時間ですね。藤子・F・不二雄、手塚治虫、楳図かずお、紡木たく……。昭和の漫画ってコンプラが今より緩い分、ギャグも攻めてて、それが面白いんです。
――友人を部屋に招いたことはありますか?
あります。「博物館に来たん?」って絶対言われます。入ってすぐ「これ触ったらだめよね?」「写真撮っていい?」って(笑)。SNSに載せてくれるのも嬉しいですね。自分のコレクションは、子どもみたいなものなので。
――特に「これ何!?」と驚かれやすいアイテムはありますか。
やっぱりピンクの電話、あとはレコード、それに短冊CDも。縦長のパッケージで、みんな「こんなんあったん!?」と驚きます。
――コレクションは触られると心配になりそうですが、その点はどうでしょう。
一応大丈夫です。ただ、目を光らせてます(笑)。
――では最後に、今後この部屋をどんな空間にしていきたいか教えてください
もっと増やしたいですね。
――今、一番ほしいものは?
ジュークボックスです。ピアノくらい大きいやつ。40万円前後で、状態も良くて、中のレコードも付いてるんです。でもそれが実家に届いたらもう大変なので……今は胸にしまってます。
#前編 阪田マリンをレトロ沼にハメたきっかけ 昭和を代表するアイドルの衝撃レコードとは?
取材・文/ライター神山

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