「あっぱれさんま大先生」への出演をきっかけに人気子役として活躍した内山信二さん。現在はタレントとして活動しながら、プライベートでは妻・琴さんと共に、長女の絃(いと)ちゃん、次女の謡(うた)ちゃんを育てている。
そんな内山さんに、2人の子どもが大人になった時に読んでもらいたい、今の素直な気持ちを語ってもらった。(前後編の後編)
「お小遣い制で、正直、めちゃめちゃ大変だけど…」
2022年1月に長女、2024年3月に次女が誕生した内山さん。自身は幼少期に人気子役として活躍し、派手な生活を送っていた。
「僕は兄貴の2人兄弟でしたが、母親は大変だっただろうなと思います。父親は鮮魚店を営んでいたんですけど、仕事が終わって家でご飯を食べたら、スナックに飲みに行くような“昭和のお父さん”でした。いろんなとこに連れて行ってはくれましたけど、子育て担当は母親、みたいな。
ただ僕が何か悪いことすると、母親がことづけして、親父によく叱られていました。その経験があるから、僕の中にも“お父さんは怖いもの”というのがあったかな。子どもが生まれた直後に持っていた“父親としてこうあるべき”という理想は、どこかで自分の父親を重ねていたんでしょうね」
結婚する前の内山さんは浪費家で貯金は1円もなかった。しかし結婚後は奥さん、そして子どもの存在が、お財布事情にも大きな変化をもたらした。
「例えば、毎月50万円を稼ぐとします。結婚する前は50万円すべてを自分だけで使えていたわけです。ただ結婚して家族ができるとそうもいかない。
娘には習い事をさせていますが、例えば自分がタバコをやめたら“月にこれだけのお金が浮いて子どもに習い事をさせてあげられる”と葛藤している方は、たくさんいらっしゃるんじゃないかな。そして辛いけど子どものためにタバコをやめる…お金がすべてとは言わないけれど、これもひとつの愛情表現だと思うんです。
僕も結婚してからはお小遣い制で、正直、めちゃめちゃ大変です。自販機で購入するものひとつに対しても、奥さんに逐一説明しなきゃいけない(笑)。ただ結婚してから、貯金もできるようになったので、本当に家族という存在が僕を変えてくれたと思います」
娘たちを笑かすことに関しては自信があります
現代では、「経済的余裕のなさ」を理由に一人っ子を希望する親もいる。一方で内山家では長女が生まれた2年後に、次女が誕生している。2人目を持つという選択は家庭内ですんなり決まったのだろうか。
「うちの場合は体外受精でしたけど、できるだけ早いうちにとは考えていました。奥さんが長女を産んだのは34歳。35歳以上は高齢出産と言われていますから。
例えば、下の子が中学に入学した時、長女は高校に入学します。そうなると制服も同じタイミングで揃えないといけません。出費が重なるといろんなことを我慢しなくてはならなくなるので。そんな中でも『子どもは最低2人欲しいね』と奥さんと話していたので、授かりものではありますが、両親が願った通り、2年後に産まれてきてくれました」
“母は強し”という言葉があるが、内山さんは子どもが生まれてから奥さんの凄みをまざまざと感じたという。
「全部を器用にこなしていて、1人目の時は、離乳食を毎日何を何グラム食べて、食物繊維やビタミンBがどれぐらいなどと紙にメモしていました。1か月の献立表も作っていましたね。僕としては『何でいきなりそんな風にできるの?』みたいな。もうすでに2人くらい育てたことがあるんじゃないかなって疑ったこともありますよ(笑)」
内山さんは子育てをする上で、奥さんにこれだけは負けない部分はあるのだろうか。
「完敗です。戦う気も起きません。
1番気になるのは笑って過ごしているかどうか
内山さんの愛娘も、いつしか思春期を迎え、そして成人する。そんな中で、内山さんはこれからどんな人生を歩んで欲しいと考えているのだろうか。
「2人とも今はおてんば娘ですけど、そのまま元気に成長して、勉強やスポーツなど、興味のあること何にでもチャレンジして欲しいです。いつまで僕が生きているかはわかりませんが、せめて2人が成人するまでは、父親としてサポートしていきたいですね」
娘を持つ男親としては、彼氏ができたり、結婚相手を連れてくることにショックを受けるというのもよくある話……内山さんにその点について聞くと、一気に表情が険しくなった。
「複雑ですね。長女の絃ちゃんが2歳の頃、ほっぺにチューしてきた男の子がいたんですけど、すでにイラッとしちゃいましたから(笑)。
ただ、恋愛は傷つくこともあると思うんですけども、人生を豊かにしてくれるものだと思います。何もないよりは、大切な人に出会えた方が良いですよね。ある日、街中でばったりと娘と彼氏が歩いているところを目撃するよりは、紹介してもらった方が安心はできますね(笑)」
最後に愛する我が子に将来読んで欲しい、内山さんからのメッセージを残してもらった。
「内山家に生まれてきて楽しかったと思ってくれたらうれしいですね。
僕ら両親ができることは、彼女たちが生きやすいように、いろんなことを整理してあげること。それ以外は、自分たちの力でたくさんのものを築いていって欲しいです。少しの足しになるぐらいのお金は、残してあげたいと思っていますが。
大変なこともいろいろあるけれど、人生は自分自身で切り開いていかないといけない。僕に似て欲しい点はメンタルの強さですね。似て欲しくないところはめんどくさがりなところ。家事の能力は奥さんに似て欲しいと切に思っています。
けど、本当に父親として1番気になるのは将来、子どもたちが笑って過ごしているかどうかです。辛い時、人が1番最初に失うのは笑顔ですから。でも僕は生きる上で1番大切なのは笑っていることだと思っています。
〈前編はこちらから『「父親も一緒に成長中です」内山信二(44)が“イクメン幻想”を捨てた理由』〉
取材・文/中山洋平 撮影/藤木裕之

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