「お前を殺して私も死ぬ」母からの絶叫電話…“クズ芸人”と話題のガッポリ建設・小堀敏夫、『ザ・ノンフィクション』放送後の残酷な現実
「お前を殺して私も死ぬ」母からの絶叫電話…“クズ芸人”と話題のガッポリ建設・小堀敏夫、『ザ・ノンフィクション』放送後の残酷な現実

2025年1月5日放送のフジテレビ系ドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション」で特集されたお笑いコンビガッポリ建設の小堀敏夫(58)。“クズ芸人”としてのリアルな姿はSNSで反響を呼んだ。

放送から間もなく1年が経とうとしているが、現在、小堀はどのような暮らしをしているのか。同番組に出演したことで訪れた生活の変化、そして今後の目標についてなどを聞いた。(前後編の前編)

中華料理屋の円卓テーブルで行われた婦人会

「ザ・ノンフィクション」で特集された時の小堀の年齢は57歳。老後の金銭の不安をなくすために、お金持ちの女性をターゲットに絞った婚活をする姿が描かれた。

婚活は上手くいかず、そこから人生を変えようと、ラーメン店の開業を決意。地元のお店で修行を考えるも、初日に寝坊してその話はおじゃんに。

「現世には向いてない」と普通に生きることを諦め、各所に人脈がある相方・室田稔に土下座し、寺へ出家するも2日目の昼に脱走……小堀の生きざまを受け、放送後のXでは「クズ芸人」がトレンド入りした。

「反響は大きかったですよ。芸人仲間や後輩から『面白かった』とか『お兄さんスゴかったです!』なんて連絡がジャンジャンきましたから。寺を逃げ出して相方の室田には怒られたけど、その後、名古屋にある病院の精神科に連れて行かれてさ。俺は病気じゃないっつーの。

逃げ出した寺の和尚さんも、遅刻して呆れられたラーメン屋の店主さんも怒ってはいなかった。あの後、ラーメン屋に菓子折りを持って謝りに行ったけど、店内は満席だったよ。

『ザ・ノンフィクション』の後、売り上げが好調みたいでさ。お礼なのかわからないけど、店主さんはラーメンを無料で食べさせてくれた(笑)」

放送直後は小堀にも「ザ・ノンフィクション」バブルが訪れ、1、2月はギャラ飲みだけで合計90万円を稼いだという。

「今は通常運行に戻りつつあるんだけどさ。ただ年末はギャラ飲みの繁忙期だから今は忙しい(取材は11月下旬に実施)。けれど、最近、ギャラ飲みの依頼内容も変わってきてるんだよ。婦人会に呼ばれたりね。

中華料理屋で円卓のテーブルに座って、1人1人が俺に『お母さんを泣かしちゃいけませんよ』などと説教してくるんだ。俺は大丈夫だけど、メンタルが弱いやつだったら耐えられないよ。

俺はアプリゲーム『プロ野球スピリッツA(エース)』を無茶苦茶やりこんでいるんだけど、企業の社長もこのゲームをやってたりするから、『講習会をしてくれ』なんてオファーもあった。

“これギャラ飲みなのか”と思ったりもしたけど、会社に行ってホワイトボードでゲームについて説明した。昔はギャラ飲みでは酷い扱いを受けたこともあったけど、最近は待遇がよくなってきているんだよね」

番組での姿が反響を呼んだことで、小堀の弊害となっているのは、パチンコ店で顔をさされるようになったことだ。

「巨人のキャップを被っているのもあって、パチンコ屋で目立つんだよ。

パチンコライターと遭遇して、握手を求められることもあった。でさ、そのライターが打っている俺の方をチラチラ見てくるわけ。

2万円負けたから帰ろうと思ったけど、見られている手前、帰れないじゃん。だから課金が止まらない。気がついたら7万円負けてたよ。今年5月の話だ」

母親からの電話「お前を殺して私も死ぬ」

小堀が「ザ・ノンフィクション」に初めて出演したのは2020年4月。当時、小堀は52歳で遅刻などを繰り返し、所属するワハハ本舗をクビに。最後はニューハーフとしてゲイバーで勤務する姿が描かれた。

「あの放送を見た母ちゃんが泣きながら『お前を殺して私も死ぬ』と言ってきたんだよ。今年の放送では好きだった同級生の女の子から『お寺から逃げちゃだめ』と連絡がきた。地上波ってすごいなって思ったね(笑)。

結婚相談所の(コンサルタント)山本早織さんにも『あの放送を見て小堀さんと結婚する女性は誰もいません』とサジを投げられた。あれから婚活はしていないけど、お金持っている人と結婚したいって気持ちは未だにありますよ。

心配がなくなるからね」

そんな小堀に今後の目標について聞くと「ロックンローラーとして音楽をやりたい」という答えが返ってきた。

「音楽ってカッコいいんですよ。俺はザ・ビートルズのジョン・レノン、ガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズが好きだからさ。いつかは“小堀といえばこの曲”という代表曲を作って、全国ツアーに出たいね。人生で1度くらい『今、ツアーで札幌にいるんだよ』って言いたいじゃない。

音楽は、一瞬だけど金のことを忘れさせてくれますよ。お笑いでステージに呼ばれたら絶対にギャラは欲しいって思うけど、音楽はやる側の気持ちをピュアにさせてくれる。ロックにはそういう力があるよ」

コメディアンより音楽家の方が位が高く見えた

相方の室田がこれを聞いたら、「お前はアクセル・ローズでもねぇし、ジョン・レノンでもねぇし、小堀だろ!」と怒りそうだが……。

「室田は怒るでしょうね。人生舐めてるって。ただ俺の青春時代にスターだった美空ひばりさん、石原裕次郎さんも歌っていたじゃん。俺の世代だとコメディアンより音楽家の方が位が高く見えたというかさ。

昔、お笑い番組の収録していた時、楽屋に雑誌の取材が来たことがあったんだけど、みんなは目標の人についてビートたけしさん、ダウンタウンとんねるずの名前を挙げていた。でも俺はジョン・レノンと言ったんだ。『ボケで言っているんですか?』って聞かれたけど、俺は大真面目だったからさ。

芸人としての今後の野望はあるのかって? ……ないね」

〈後編へつづく『「俺は2度寝するために、1度寝ている」ガッポリ建設・小堀敏夫が語る“クズの定義”』

取材・文/中山洋平 撮影/集英社オンライン編集部

編集部おすすめ