「無理に部下と飲みに行く必要はない」元スタバのCEOが実践していた飲まずに部下の本音を聞き出す方法
「無理に部下と飲みに行く必要はない」元スタバのCEOが実践していた飲まずに部下の本音を聞き出す方法

「飲みニケーション」という言葉がある。職場や取引先などとの人間関係を円滑にするために、飲み会で関係を深める手法だ。

だが、スターバックスやザボディショップでCEOを務めた岩田松雄さんは上司と部下の関係においては、「無理に飲みに行くような必要はない」と言う。では、岩田さんが部下に対して実践してきた具体策とは? 

『新版「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けする。

部下に関心を持つことから始めなさい

組織のリーダーとして部下を持つときには、まず何より大切なことがあります。それは、部下に関心を持つことです。

逆に何よりいけないのが、関心を持たないこと。関心を持たれていないのが、部下としては一番辛いことです。

難しいことではありません。いつも気にかけてあげる。なんとなく寂しそうにしていたり、元気がなかったりしたら、「どうしたの?」と声をかける。逆に明るい雰囲気だったり、ゴキゲンだったりするとき、「いいねえ、何か良いことあった?」などと聞いてみる。それだけでも部下には「あ、関心を持ってもらっているんだな」とわかります。

思えば日産自動車時代から、私はどういうわけだか、受付の女性やアシスタント職の女性と仲良くしてもらっていました。コピー室で、コピーを取っていたりする女性がいると、必ず話しかけていたからだと思います。



後に退職するとき、職場でもらった寄せ書きに「岩田さんが何気なくかけてくれた一言で救われました」という言葉をいくつも見つけたことを覚えています。

部下の部下にまで気を配る

そもそも顔を見れば、相手の状況はなんとなくわかるものです。疲れた顔をしていれば、やっぱり声をかけてあげたくなりますし、新入社員であれば、「大丈夫ですか、慣れましたか?」と言ってあげたくなります。

ポジションが上がっていけば上がっていくほど、こうした姿勢は重要になります。例えば部長になったとき、部下の課長ばかりを見ているのは、問題だと私は思います。部下の部下となる、課長の部下についても関心を持たないといけません。

ひとつ下のポジションには気を配れるけれど、さらに下のポジションには関心を向けていないというリーダーが多くいます。

部下の部下にまで関心を持ち、コミュニケーションを取ることで、直属の部下が下からどう思われているか、なんとなくわかるものです。また、部下の部下の状況を知っておくことで、それだけ現場により近くなるわけですから、現場感も持ちやすくなります。

社長になっても同じです。現場のスタッフにまで、どのくらい関心を持てるか、気を配れるか。その意識が問われてきます。

社長はちゃんと見てくれている。

自分たちのことに関心を向けてくれている。それを感じるだけで、スタッフのモチベーションも圧倒的に変わってきます。

そして同時にこれは、いろいろな情報収集の場にもなります。どんな企業でも、社長の耳には入れたくないことがあるものです。また、業績を悪化させたり、社員のやる気をなくすような原因が現場で生まれていたりする。

そんなときでも、社長が現場まで行って、関心を持っていることを直接伝えていれば、何か問題が起こった場合に、気軽に教えてもらえるようになります。私は「岩田さん、こんなことご存じですか?」というメールを受け取り、大きな問題になる前に手を打ったことが何度もあります。

飲みに行かなくても本音が聞ける関係を作る

関心を持っているよ、ちゃんと見ているよ、というメッセージは、悪い情報をいち早く見つけるための「ホットライン」にもなりうるのです。

部下との関係を円滑にするために、お酒を飲みに行くことが大切だ、と思っているリーダーも少なくないようです。お酒の場であれば、くだけて、リラックスして話ができて、本音も聞くことができるのではないか、と。

でも、私はそれで本当にいいのかなと思います。大切な内容だからこそ、お酒の場ではなく、しらふの場でしっかり話し合うべきです。もっといえば、お酒など飲まなくても、本音が聞けるような関係を作ることこそが大切です。


 
だから、無理に部下と飲みに行くような必要はないと私は考えます。

ましてや大勢の部下を引き連れて飲み歩くなど、ありえないことでした。仕事の場は仕事の場、プライベートの場はプライベートの場なのですから。

会社を出れば、ポジションはもう関係ないのです。偉いも何もない。一対一の、ただの人間関係があるだけなのです。

個人的に飲みに行くことはたまにありましたが、それは仕事や会社の延長ではありませんでした。あくまで個人として飲みに行ったのです。

そして同様に、飲みに連れて行かれるときも、個人として飲みに連れて行ってもらえることがうれしかった。だからこそ、安居酒屋だけれど、さりげなくポケットマネーで奢ってくれた取引先の社長さんが、かっこいいと思えたのです。

上司になったら、部下と飲みに行かなければいけないんじゃないか、などと思っているなら、むしろそれは逆です。飲みに行かなくてもいいような関係を日頃から作っておく努力こそが求められるのです。

お酒に逃げては、いけないのです。

何名かでランチに行くのはありだと思います。その際、特定の人だけではなく、いろいろな人に声をかけて万遍なく行くことが大切です。
 
お酒を飲みに行かなくても、部下に「ついていきたい」と思われるリーダーはいます。むしろ、お酒に頼らない人間関係を作ろうとする意識こそ、必要だと私は思います。

新版「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方

岩田 松雄
「無理に部下と飲みに行く必要はない」元スタバのCEOが実践していた飲まずに部下の本音を聞き出す方法
新版「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方
2025/11/281,650円(税込)272ページISBN: 978-4763142696

スターバックスでCEOを務めた著者が語る、
まわりに推されてリーダーになる方法。


「リーダー」と聞いてあなたは、どんな姿を想像するでしょうか?
生まれつき、強いリーダーシップを持ち、プレゼンテーションも見事で、とにかくオレについてこい、というカリスマ的な雰囲気を漂わせているのがリーダーなのではないか。でも、自分はとてもそんなふうにはなれない……と悩んでいる方もいるかもしれません。

著者の岩田さんは、誰でもリーダーになれる、と断言します。
本書は、華麗な経歴を持ちながらも、「普通のおじさん」と自認する著者が教える、「まわりに推されてリーダーになる方法」を51項目にまとめたものです。

管理職や経営者の方はもちろん、新しくチームリーダーになった方、初めて後輩ができた方、などあらゆるリーダーに役立つ情報が満載の一冊です!

【目次より】
第1章 リーダーは、かっこいいとは限らない
第2章 リーダーは、饒舌でなくてもかまわない
第3章 リーダーは、部下と飲みに行かない
第4章 リーダーは、人のすることは信じてはいけない
第5章 リーダーは、立ち止まらなければいけない
第6章 リーダーは、多読家である必要はない
第7章 リーダーは、弱くてもかまわない

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