2025年の年末、例年以上に“大型バラエティ戦争”が激しい。地上波ではお馴染みの特番が並ぶ一方で、ネット配信はさらにトガり、さらに自由で、さらに“芸人らしさ”の濃度を上げてきている。
ファンからも「気持ち悪い」と声のあがった実験企画
12月10日より『DOWNTOWN+』(ダウンタウンプラス)で始まった超実験型バラエティー『ZONE05』は、まさにネット配信バラエティーを象徴する番組だった。密室に閉じ込められた芸人5人が追い詰められ、試され、思いも寄らない方向へ転がり始める……。
狂気的なお笑い、いわば“MADお笑い”の申し子のような企画で、地上波ではコンプラの観点から絶対にできないし、たとえ放送しても視聴率をとるとはとても思えない内容だ。
しかし、松本人志自身が「これで海外行く」と語るほどの怪作。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』の企画「ええ子コンテスト」を極限までエグくし、ゲーム性を加えたようなフォーマットで、確かにプロデューサー松本の本領発揮ともいえそうなものだった。
参加者の一人、鬼越トマホーク・良ちゃんはXでこう言う。
「DT+面白いけど過激じゃないじゃん 地上波で出来そうじゃんなんてシャバ蔵みたいな事言ってる皆さん…初月から過激にするわけないだろ!!!!! 地獄はここからだよ…『松ちゃんにサブスク』あの人、全部出し切って世界に行く気だぞ…」
つまり『ZONE05』は、『DOWNTOWN+』がここからMADお笑いを仕掛けていく“開幕戦”の意味も持つのだろう。SNSを見ても、「発想が天才的だと思う」「流石に気持ち悪いなあ。面白さももちろんあるんだけど」と、ファンが中心のはずのプラットフォームにもかかわらず賛否が分かれている点が、逆に企画の“濃度の高さ”を示している。
この空気は、他のプラットフォームにも波及している。11月から年末に向け、一斉に“濃度の高い芸人企画”が出そろった。
U-NEXT『芸人キャノンボール2025』
Amazon Prime Video『THE ゴールデンコンビ 2025』
FOD『めちゃ×2メチャってるッ!』
どれも“芸人が芸人として暴れられる場所”を、配信サービス側が意図的に用意し始めた作品だ。
『THE ゴールデンコンビ 2025』は、芸人16人が即席コンビを組み、即興コントだけでぶつかり合うという、ストイックさと狂気が混ざった番組。芸人が究極に“お笑い能力”を求められるステージで、出演した大久保佳代子は自身のラジオ番組で、収録はヘトヘトになるほど濃密であり、即席コンビにも絆が生まれほどの“戦い”があったと語っていた。
大型バラエティー番組が“ネット限定”で続々と
『芸人キャノンボール』は、16人のお笑い芸人が4チームに分かれて車で各地を駆け巡り、与えられたお題にぴったりの人物を探しながらゴールを目指す、いわゆる“借り物競争”を超巨大化した企画。お笑いのセンスはもちろん、交渉術、瞬発力、人間力が試される、藤井健太郎プロデュースらしさ全開の予測不能の旅番組である。
予算規模、ロケの自由度、編集の暴れ方……どれをとっても、地上波では到底成立しない。
『めちゃ×2メチャってるッ!』では、岡村隆史の“484日密着”という、これまた地上波では不可能な長尺ドキュメントが実現。1年以上の密着を数時間にまとめる異様なまでの濃度となり、いまや地上波の予算感では実現しえない番組作りが行なわれている。
こうした動きから、今年のネット配信はついに明確に「芸人の濃度で勝負する」領域へ舵を切ったと言える。地上波バラエティーのように枠を埋める、長く続けられる企画ではなく、濃縮し、一本の“作品”へと仕上げる狙いがはっきりしている。
では、地上波はダメなのかといえば、そうではない。むしろ地上波は、ネットとは真逆の方向でその強みを際立たせている。年末のバラエティー特番の主な顔ぶれは以下の通り。
『水曜日のダウンタウン』内の『名探偵津田』スペシャル
『芸人総選挙2025』
『クイズ☆正解は一年後』
『ウンナン極限ネタバトル!ザ・イロモネア 笑わせたら100万円』
『M-1グランプリ2025』
地上波の最大の武器は、視聴者が“ずっと意識を集中しなくていい”点にある。
『M-1グランプリ』も例外ではない。ネタを見るためには集中力がいるように感じるが、実際の“ネタ披露時間”は3時間半以上の放送尺のうち、わずか60分ほど。残りは、紹介VTR、審査員のコメント、進行、点数発表といった“呼吸できる時間”で構成されている
バラエティー番組はお金を払って見る時代に
つまり地上波は、「視聴者が常に集中しなくても観られる番組設計」を徹底している。これは、芸人の濃度に全振りしたネット配信とは対極の価値だ。
こうして並べてみると、2025年の年末ほど“芸人の濃度で住み分けが明確になった”年はない。地上波は“みんなで観る笑い”。配信は“濃度で殴る笑い”。濃い笑いを求める視聴者が有料配信へ流れ、各配信サービスはその期待に応えて芸人の本能をむき出しにできる場を広げていく。
これは単なる嗜好の問題ではなく、“タイパの時代”の価値観とも噛み合っている。限られた時間をどう使うかが問われるいま、“お金を払ってでも、濃い1本をしっかり観たい”という視聴行動が確実に増えているのではないだろうか。
『DOWNTOWN+』の会員数が50万人を突破したいま、もはやバラエティーは無料で見るものではなくなってきている。来年、日本のバラエティーはさらなる変貌を遂げていくだろう。
文/ライター神山

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