川崎市川崎区でストーカー被害に遭っていた岡崎彩咲陽(あさひ)さん(20)が殺害され同区の無職・白井秀征被告(28)が殺人罪などで起訴された事件は、彩咲陽さんの失踪から間もなく1年が経つ。神奈川県警は対応に問題があったことを認めたが、その説明も遺族は「うそばかり」として納得していない。
失踪するまでに計9回、川崎臨港署に電話をかけた彩咲陽さん
彩咲陽さんの遺体は4月30日夜、ストーカー規制法違反で県警が家宅捜索した白井被告の自宅で、その一部が見つかった。米国に逃亡していた白井被告が家族の説得で5月3日に帰国すると県警はまず死体遺棄容疑で逮捕し、後に殺人罪も立件・起訴した。
その過程で、彩咲陽さんの家族からの捜査を求める声に地元の川崎臨港署が取り合わなかったことが、家族の証言で明らかになった。
「彩咲陽さんは白井被告と交際していた時期があり、昨年6月以降、殴られたり家から連れ出されたりするトラブルがありました。その時は家族と共に川崎臨港署に相談し、被害届を出しています。
その後、昨年12月上旬には2人は別れたのですが、白井被告が一方的に付きまとう状況になったようです。昨年12月9日から彩咲陽さんが失踪した20日朝までの間に、彼女は計9回、白井被告について相談しようと川崎臨港署に電話をかけ、白井被告が近所をうろついて怖いなどと訴えていました」(地元記者)
そして昨年12月20日、彩咲陽さんは祖母が経営する飲食店のアルバイトを終え、祖母宅に早朝に戻った直後に姿を消した。店で彩咲陽さんと一緒にいた、祖母の姉・岡崎幸子さん(76)が当時のことを振り返る。
「彩咲陽は家で友達とLINEのやり取りをしていたそうです。その友達によると朝8時ごろに急に既読がつかなくなり、このころに異変があったと思います。
休んでいた私の妹(彩咲陽さんの祖母)が11時ごろに彩咲陽がいないのに気づきLINEを送ると、『友達とコンタクトを買いに行く』と返信がありました。
彩咲陽は白井におびき出されたと疑いましたが、友だちの家にいるかもとも思いました。何度LINEを送っても既読がつかず、22日に『警察に届けるよ』と送った途端、『疲れただけ』という返信が来ました。そして直後に白井から私に電話が来たんです。
白井は『彩咲陽ちゃんから電話があって“居場所がない”って言ってます』と言いました。私が『あんたが連れ出したんだろ』と詰めると電話は切られ、その後つながらなくなりました」(幸子さん)
その直後、家の1階の窓ガラスが割れているのを祖母が見つける。彩咲陽さんはおびき出されたのではなく拉致、誘拐されたと確信した家族が110番すると、川崎臨港署員4人が現場に到着。家族は、彩咲陽さんが2日前に失踪したこと、最近も近所をうろついていた白井被告が連れ去ったに違いないと思うことを伝え、捜査を求めた。
彩咲陽さんは失踪前日に警察官の携帯に直接電話をかけていた
ところが署員は「室内側から窓ガラスが割れている可能性がある。被害者(彩咲陽さん)自身が割った可能性がある」と言い、指紋の採取や撮影もしなかった。これは県警が9月に公表した「検証結果等報告書」にも記載されている。
だが同報告書には、その場でガラスが割られたことについての被害届を出すかどうかを聞かれた祖母が「今は提出しない」と答えたと書かれている。当時現場にいた幸子さんはこれに憤る。
「うそです。そんなこと聞かれていません。警察官は『事件性がない』と言うだけで何もしなかったんです。聞かれたら(被害届を)出すに決まってます。だって、捜査してくれって言うために110番しているんですよ」(幸子さん)
報告書は全体として対応の不備を認めているが、遺族が不信感を持つ内容は他にもある。
その一つが携帯電話を巡る、報告書にはない疑問だ。前出の通り彩咲陽さんは昨年12月9~20日に計9回、川崎臨港署に電話をかけ、白井の付きまとい行為を訴えようとしていた。だがこの9回の電話の存在自体、家族が自ら調べて県警に突き付けたものだ。
「彩咲陽の携帯は白井が持ち歩いているはずだから調べてって言っても、川崎臨港署は『自分たちでやってください』と言ったんです。それで携帯の名義人の妹(彩咲陽さんの祖母)が通信会社に頼み、彩咲陽の携帯からの発信記録をもらいました。その中に川崎臨港署に9回かけた記録があったんです」(幸子さん)
こうして今年3月25日に発信履歴を入手した幸子さんは手掛かりをつかもうと、記録されている番号の全てに電話をした。そこで思いもかけないことに行き当たった。
「失踪前日の(昨年12月)19日午後3時すぎに掛けた『070-』で始まる番号に電話をすると、相手が『臨港署の●●』ですと名乗ったんです。私も慌ててしまって詳しくただすことができずに電話は終わってしまいましたが、彩咲陽は警察官の携帯に直接電話をかけていたのだと思います」(幸子さん)
遺体の一部は白井被告の家族のジャンパーにくるまれて見つかりました
県警の検証報告書には、彩咲陽さんから警察への昨年12月中の連絡については、川崎臨港警察署の代表電話に掛けた9回のことしか書かれていない。集英社オンラインがこの携帯番号にかけると「電波の届かない場所にあるか電源が入っていないためかかりません」とのメッセージが流れ通じない状態になっている。
検証だけでなく捜査もとうてい終わったとは言えない状況だ。
「白井被告は彩咲陽さんが失踪した昨年12月20日に殺害したと認めましたが、他は黙秘していると報じられています。殺害したという時期に『殺してしまった』というメッセージを知人に送っていることを県警がつかんだとの情報があり、これで殺害だけは認めた可能性があります。
焼かれた遺体の一部は白井被告の家族のジャンパーにくるまれて自宅の床下から見つかりましたが、この家族が知っていたのかどうかも含め、殺害や遺体損壊の場所や方法は何もわかっていません」(関係者)
その結果、彩咲陽さんの遺体は見つかっていない部分も多い。白井被告の供述通りなら今月20日が彩咲陽さんの命日になる。
一周忌を前に幸子さんは「早く体の全部が見つかってほしい。そして、ずさんな対応をした川崎臨港署の警察官を私は一生許さない」と怒りを込めて語った。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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