国産車を好む富裕層が多いという意外な事実「外車ありき」「ステータス」ではなく、合理的判断の延長の先にある車の選択肢
国産車を好む富裕層が多いという意外な事実「外車ありき」「ステータス」ではなく、合理的判断の延長の先にある車の選択肢

富裕層の領収書を1000万枚見てきた税理士である森田貴子氏が見てきた富裕層にはいくつか共通点があるという。SNSとの距離、アウトドア好き、そして車を選ぶ時の視点も…。



森田氏の書籍『億万長者になるお金の使い方』より一部を抜粋・再構成し、富裕層のSNSとの距離感、自然としている合理的な判断基準について考える。

SNSと距離を置く習慣

一部の起業家にとってはSNSも重要なビジネスツールですが、私の周囲ではむしろ意識的に距離を置いている方が多い印象です。

理由はシンプルです。

SNSは絶え間なく他者の情報が流れ込み、思考を分断し、「今この瞬間」への集中を奪います。気が散るだけでなく、無意識のうちに心と頭を疲弊させてしまうのです。

だからこそ、最初から深く関わらないという選択をしているのでしょう。

これは単なる苦手意識ではなく、明確な休養の戦略とも言えます。SNSから距離を置くことで自然にデジタルデトックスになり、

・家族との会話に没頭できる
・自然の中で五感を取り戻せる
・スポーツや芸術に集中できる

といった「今」に集中する時間が生まれます。それは思考の質や直感の冴えを取り戻す時間にもなっているのです。

富裕層は、休養ひとつとっても偶然に任せず、自分で「どう休むか」を選んでいます。SNSから距離を置くことは、だらだら過ごすのではなく、脳の創造性を回復させ、次の動きのために自分を整える――そんな知的な空白を意識的につくる習慣なのです。

「発信しない」というリスクマネジメント

富裕層の中には、SNSを意識的に使わない、投稿はしないという方が少なくありません。その背景には、単なる習慣や好みを超えた情報管理の意識の高さがあります。資産やビジネス、人間関係に影響力を持つ立場にあるほど、「何を発信し、何を見せるか」という選択自体がリスクマネジメントになるのです。



実際、近年の税務調査ではSNSへの投稿が証拠として扱われることも珍しくありません。帳簿上は業務出張となっていても、SNSに「家族旅行」の写真が載っていれば整合性を疑われます。写真の日付と経費の記録が合っているかどうか――こうした意図しない投稿が課税リスクを生むことさえあります。

さらに、富裕層は交友関係が広く深いものです。誰とどこで会ったか、何を食べたかといった何気ない投稿が、本人が意図しなくても第三者の情報やプライバシー、あるいは契約や投資案件に関わる事実を示唆してしまう場合もあります。

だからこそ、彼らは「見せない」という選択をとります。発信する以上は責任が伴う――その前提があるから、「無防備に発信するくらいなら最初から関わらない」という姿勢になるのです。

派手に見せるのではなく、あえて「SNSで発信しない」ことが、富裕層にとっての自己防衛なのです。

すべてをやめる必要はありません。けれど「見せない自由」を一部でも選んでみると、意外なほど心が軽くなり、集中力も戻ってきます。

富裕層にはアウトドア好きが多い

富裕層にはアウトドア好きが多くいます。アウトドアは、アメリカの調査会社「Wealth-X」が、3000万米ドル以上の資産を持つ超富裕層を対象にした「世界の超富裕層の趣味・関心事」の6位にランクインしています。

実際、領収書を見るとゲストハウスを自然豊かな場所に所有し、旅先でリフレッシュをしています。



高級リゾートやラグジュアリーホテルを好むのも、自然の中に身を置き、風や光を五感で感じる時間を大切にしているからです。彼らにとってのバカンスは、アクティブに出歩くのではなく、泳いだり、読書をしたりしながら自然の中で「自分を整える」時間です。

富裕層がアウトドアを好むのは、それを単なるレジャーではなく、「自然とつながることで本来の感覚を取り戻す手段」だと理解しているからです。

都市の喧騒や情報過多のビジネス環境に身を置く彼らにとって、自然に戻る時間は「リセット」の機会です。奪われつつある本来の身体性を取り戻そうとするかのように、時に山に入ったり、自然の中を歩いたりして、研ぎ澄まされた感覚や直感を再び呼び覚ますための時間でもあります。

たとえば、キャンプや登山、セーリング、乗馬、スキーといったアクティビティは、一見優雅に見えるかもしれませんが、実際には「自然の摂理に身を委ねること」や「不自由さを楽しむ力」が求められます。その不自由さの中でこそ、五感が研ぎ澄まされ、判断力や集中力が戻り、自分の内側にある人間らしさが立ち上がってくるのです。

そうした感覚を大切にしているからこそ、子どもにもスポーツやアウトドア体験を積極的にさせる家庭が多く見られます。富裕層にとってのアウトドアとは、ただの娯楽ではありません。

それは「自分を整え、人間としての身体性や感覚を取り戻すための投資」なのです。

高級車に乗る合理的な理由がある

高級外車に乗っている富裕層は、確かに多く見かけます。ただし、その理由は「ブランド好きだから」でも「ステータスのため」でもない場合もあります。

たとえばポルシェやランドローバー、アウディ、マセラティといった高級外車を選ぶ一番の理由は、安全性。

用途別に複数台を使い分ける人もいます。万が一の事故のときに自分や家族を守るため、結果として高級外車を選んだにすぎません。「外車ありき」ではなく、合理的な判断の延長なのです。

一方で、国産車を好む富裕層も少なくありません。信頼性の高さや維持のしやすさ、あるいは長年乗り慣れた安心感から、レクサスやトヨタのハイグレード車を選ぶ方も多いです。つまり、彼らにとって重要なのは「外車か国産車か」ではなく、自分や家族にとって最適な選択かどうか。その基準に合理性があるのです。

実際、ブランドやステータスが基準ではないので、アウトドアが趣味で家族とよく出かける方が、マツダのSUVを選んでいるケースもあります。これは「アウトドアに最適な車」を追求した結果であり、外車を安全性から選ぶ人と発想は変わりません。

要するに、「何を守りたいのか」「何に価値を置くのか」を基準に選んでいるのです。決して、ブランド志向が理由ではありません。

そしてこれは、車に限らず誰にでも応用できる考え方です。
ブランドや価格ではなく、「自分にとって一番合理的な選択は何か」を問い直してみる――それが、日々の支出を投資に変える第一歩になるのです。

億万長者になるお金の使い方 富裕層の領収書1000万枚見てきた税理士が教える

森田貴子
国産車を好む富裕層が多いという意外な事実「外車ありき」「ステータス」ではなく、合理的判断の延長の先にある車の選択肢
億万長者になるお金の使い方 富裕層の領収書1000万枚見てきた税理士が教える
2025/10/311,760円(税込)296ページISBN: 978-4815630539

富裕層でいつづける人の領収書には、たくさんの共通点があった!

富裕層専門税理士である著者は、長年、富裕層の栄枯盛衰に伴走し、これまで1000万枚もの富裕層の領収書を見てきました。
そんななかで、あることに気が付きます。

――富裕層でいつづける人の領収書には、たくさんの共通点がある!

領収書は「何にお金を使っているのか」を教えてくれるだけではありません。
お金の使い方は、その人の価値観を面白いくらいに反映しています。
生活習慣やなにに投資しているか、優先していることも手に取るようにわかるのです。
そして、富裕層の多くは、なににお金を投じるか、一つひとつ真剣に考えることを積み重ねた結果、お金持ちになっている、と著者は言います。

そこで本書では、富裕層のなかでも、一代で事業を立ち上げ、ゼロから富を築いた「起業家富裕層」の領収書の共通点を探っていきます。
「どうせお金がないから真似できない」と嘆くのは早計です。
サラリーマンでも学びになる話を中心にまとめています。
お金持ちになる準備が整い、お金持ちに一歩近づくことができる、そんな一冊です。

はじめに 富裕層専門税理士という仕事
第1章 1000万枚の領収書からわかった「本物の成功法則」
第2章 富裕層の支出哲学を支える「思考と習慣」
第3章 「継続的に学ぶ人」ほど富が拡大する
第4章 「健やかな心と体」こそ最大の資本
第5章 「つながり」という財産が人生の質を決める
第6章 富裕層の「資産をつくる」お金の使い方
第7章 富裕層に学ぶフローの支出哲学
おわりに

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