〈赤坂・超高級サウナ2人死亡〉「ドアを叩き石を投げ…それでも助けは来ず」死因は不明、問われるずさんな管理体制「話しやすくフラットな」経営者たちの横顔
〈赤坂・超高級サウナ2人死亡〉「ドアを叩き石を投げ…それでも助けは来ず」死因は不明、問われるずさんな管理体制「話しやすくフラットな」経営者たちの横顔

東京・赤坂の個室サウナ店で15日、サウナ室内に閉じ込められた夫婦が死亡する火災が起きた。同店のオーナーは警視庁の聞き取りに対して、非常用ボタンの電源を2年前から入れていないと話しており、管理のずさんさが見えてきた。

オーナーの横顔に迫った。

サウナ室のドアには叩いたとみられる跡が

15日午後0時25分ごろ、プライベートサウナを提供する「サウナタイガー」の3階にある個室で火災が発生した。美容室経営の松田政也さん(36)と妻でネイリストの陽子さん(37)、2人の死亡が確認された。

「2人は夫婦で、妻を守るかのように夫の政也さんが覆いかぶさる形で倒れていました。ドアの取っ手が取れたことで、2人はサウナ室に閉じ込められ、室内に設置された非常ボタンは押された形跡がありましたが……。

オーナーは警視庁の聞き取りに対して、非常用の電源を2年前から入れたことがないと話しているのです。

17日に2人の司法解剖が行われたものの、一酸化炭素中毒なのか、サウナ室に閉じ込められたことによる高体温症なのか、死因の特定はできませんでした。ただ、夫の政也さんの両手には皮下出血があり、サウナ室のドアには叩いたとみられる跡があることから、助けを求めていたことがうかがえます」(社会部記者)

月に最大39万円のプランがあることから、高級個室サウナと呼ばれる「サウナタイガー」。運営するのは「SAUNA&Co」で、商業登記簿によると2021年7月に会社が設立されている。同社は高級個室サウナ事業のほか、都内に2店舗の飲食店を経営しているという。

この飲食店の関係者は、

「火災があったことはニュースで知りました。確かに経営会社は一緒ですが、会社から何も連絡がきておりません。代表者(=オーナー)は厳しいときもあれば優しさもあるという至って普通の人です。

給料が安いとかそういった不満はありません。これだけでいいでしょうか。これ以上は話せません」

と口を閉ざした。

求人情報サイトの関係者によると、サウナタイガーは10月16日ごろから受付や接客業務の求人募集をしていたという。

「出火当時は店内に従業員などが3人いたことが、現場検証で判明しています。また非常ボタンの受信盤がある事務所には人はいなかったことも明らかになっている。求人募集の人数をみると人手不足だった可能性もある」(社会部記者)

「ジローラモ氏は運営に関与していたわけではございません」

「サウナタイガー」はイタリア人タレントのパンツェッタ・ジローラモ氏を“監修役”とホームページなどで宣伝していたが、17日に更新した同サイトでは、

「パンツェッタ・ジローラモ氏による『監修』との表記をしておりましたが、これは、オープン当初の2022年9月から2024年2月までの期間、ジローラモ氏よりサウナタイガーのPRのご支援をいただき、その後も掲載が継続していたものです。なお、ジローラモ氏は店舗の運営管理に関与していたわけではございません」

と火災事故との関与を否定した。

とばっちりを受けたのはジローラモ氏だけでない。同店はオープン当初からPRに力を入れており、特にSNSでは女性インフルエンサーなどを起用し、インフルエンサーたちがたびたび投稿を行なってきた。

サウナタイガーがオープンした2022年ごろに運営に関わっていたという元スタッフはこう証言する。

「開業当初に2~3カ月ほどPR支援として関わっていました。当時の内部スタッフはアルバイトも含め、20人は超えていた印象です。

当時は創業者であるA氏の指示をもらっていましたが、その創業者A氏は2024年12月に代表取締役社長を退き、昔からのビジネスパートナーだったB氏が社長に就任しました。A氏は仕事のレスは早いとは言い切れないものの、トラブルは特段なく、どこにでもいるような経営者という感じです」

また、B氏のもとで働いたことがあるというある男性は「Bも悪い人って感じはまるでなかった」と言う。

「部下への面倒見も良さそうで、話しやすくフラットな感じでした。見た目のまんまの方というか、刺青を入れたりもしていませんし不良っぽい雰囲気もなく、普通のいい人でした。

サウナに関しては、何度か私も知人に『こういうサウナがある』と紹介をしたこともありますが、私自身は入ったことがないので何もわかりません。現段階では憶測で話すことはできませんし、あくまで自分が見たり少し話したりした印象でしかありませんので……」

ただ、♯2でも報じたとおりA氏が代表取締役社長を務め、B氏が社長室長を務める宝石などの訪問買い取り業者C社は今年11月、強引な買い取りをしたとして消費者庁から9カ月の業務停止命令を受けている。

業務上過失致死の疑いも…

「サウナタイガー」では2年前から非常用ボタンの受信盤の電源を入れていなかった。つまり創業者でもあるA氏のころから、管理体制がずさんだった可能性がある。

そんな“高級サウナ”で松田さん夫妻は命を落とした。松田さん夫妻を知る人は、

「夫の政也さんは美容師の業界で知名度が高い人でした。脱白髪染めという独自のスタイルを築き上げた人で、SNSのフォロワーも3万人を超えています。

サウナがとても好きで、仕事を成功させるにはサウナが必要不可欠と話していました。

2022年に事業を法人化して、国内にも数店舗を構えるほどの美容室グループのトップとなり、その時期に結婚もされてお子さんも生まれたばかりです。残されたお子さんのことを思うと残念な気持ちばかりで……」

高級サウナで“ととのう”はずが、ドアの取っ手は取れ警報機は鳴らず、ドアを叩き石をぶつけても松田夫妻は放置された。灼熱のなか夫婦は何を思ったのだろう。

警視庁は業務上過失致死の疑いもあるとみて捜査をしている。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

 

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