「一生受からないと思った」山本モナ49歳、3度目の挑戦でつかんだ弁護士への道…目指したキッカケは「社会の一員として存在していないことに気づいた」
「一生受からないと思った」山本モナ49歳、3度目の挑戦でつかんだ弁護士への道…目指したキッカケは「社会の一員として存在していないことに気づいた」

2011年、結婚を機に芸能活動を休止していた山本モナさん(49歳)。その後、3人の子供の出産や育児、自身が通うワインスクールに関することを中心にブログなどで綴っていた。

そして今年11月13日に突如として自身のSNSで「司法試験の合格」を発表し話題を呼んだ。司法の道を進もうと決めた思いや女性としての人生について聞いた。

「3人目を産んだ後、ふと将来のことを考えた」

芸能界引退以降はメディア露出はしていなかった山本モナさん。そんななか、2014年から始めていたInstagramの11月13日の投稿で〈40代からの新しい挑戦が実りました〉と司法試験に合格したことを明かしたのだ。

取材場所の会議室に現れた山本モナさんは、白のセットアップのスーツを着こなし、2011年に芸能活動を休止した当時と変わらないエレガンスなたたずまいだった。

なぜ司法試験を目指したのか。ほとんど公の場に出てこなかったここ数年。どんな日々を過ごしていたのか。山ほどある聞きたいことをぶつけてみた。

まず、司法の道に進もうと思ったきっかけは「3人目を産んだ後の2019年に、将来のことを考え、もう一度何かに挑戦したい」という思いが芽生えたからだという。

「3人の子どもを産み育てる日々はそれはもう忙しかったし、子ども中心の生活でした。家事はもちろん、幼稚園やお稽古の送迎など育児に関することはシッターさんの手もお借りしながらなんとかやってきました。

でもふと、社会の一員として存在していないことに気づき、経済社会の構成員として、もう一度立ちたい思いが芽生えたんです。

『それはなんだろう?』と考えた時、親戚に法曹の仕事をしていた方がおり、幼少期からある印象的な言葉を聞いていて、それで弁護士を目指そうという方向性はわりとすぐに決まりました」

その印象的な言葉とは。

「広島の実家の母方の親戚で、元検察官の弁護士の方がいたんです。その方は『弁護士は8時間3年だぞ』といつも言っていました。

1日8時間の勉強を3年間続ければ弁護士になれるんだと。だから幼い頃の私の将来の目標は検察官か弁護士だと思っていたほどでした。それでも新聞社で働いていた母の影響もあり、メディアへの気持ちが強まって結局はテレビ局に勤めることになるんですけれど」

弁護士を目指す目標が決まり、同じ元アナウンサーで現在は弁護士として活躍する菊間千乃(53歳)さんだった。

「菊間さんとは同じワインスクールの講師としてご一緒になる機会が多かったので、相談したら『勉強なんて本1冊買えば始められるんだから、まず買って始めればいいの』と言われ、すぐに司法試験入門書を3冊ほどAmazonで買いました。それを2、3日で読んだら『面白い!』と思えて。『これなら続けられそう』と思えたことが大きかったです」

「『私はバカで一生受からない』という心理状態になりました」

その後、伊藤真弁護士による司法試験塾『伊藤塾』に入り、7つの基本法律科目のオンライン授業をスキマ時間を見つけてはコツコツ受け始めたのだという。3人の子どもを育てる中でスキマ時間はどのように作ったのか。

「ちょうど子どもが小学校受験のタイミングでもあったので、塾の待ち時間の3時間は貴重でした。その時間にスタバで勉強したり、1時間とか短いお稽古中の送迎の合間に、車内、図書館、あらゆる場所を利用していました」

2022年4月に早稲田大学のロースクールに入学し、通学での授業が増えてからは、勉強のためにさらに睡眠時間を削るようになった。

「家事や育児は疎かにできないので、早い時は朝4時に起きて早朝に勉強し、子どもの幼稚園の見送りをしてから大学へ。夕方まで授業を受けて、帰りが遅い時はお弁当を買って帰って食べさせたこともありました。子どもを寝かしつけた後は深夜2時まで勉強して、睡眠時間が3、4時間になることもありました」

今回の司法試験の合格は1度目ではなかった。

「3回目でやっとの合格でした。昨年2回目の挑戦で落ちた時は本当にショックで『私はバカで一生受からない』という気持ちになりました」

そんな厳しい心理状態の中においても3度目の合格を勝ち取ったモナさん。今後は1年間の「司法修習」を経て、通称「二回試験」という最終試験も受けなければいけない。しかしすでに就職先の法律事務所の内定はもらっているのだという。

「弁護士の就活は司法試験の合否がわからない状態でも始められるのです。それで私は企業法務を専門とした事務所に内定をいただきました」

聞けば弁護士登録の名前は結婚後の姓ではなく「山本モナ」で登録するそうだ。

「今までのキャリアで成功も失敗もあるけれど、私の山本モナとしてのキャリアは、すべて糧になっている、その糧を活かしてやるためにも山本姓でやろうと思いました」

今度の正月は久しぶりにゆっくり過ごせそうだと笑う。

「もちろんまだ勉強はしないといけないのですが、久しぶりに勉強を休んで過ごせるお正月です。家族とゆっくりと自宅で過ごそうと思います」

「二回試験(司法修習生考試)」を受けて合格すれば、再来年の4月からは晴れて内定している法律事務所で働くことになる。

颯爽と法廷に向かう姿が、今から想像できるほどだ。モナさんの今後の活躍にエールを送りたい。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班 撮影/村上庄吾

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