「娘だからという理由で入社するのはスタッフの方にも失礼」井口綾子が父の経営する美容室と一線を引いてきた深い理由
「娘だからという理由で入社するのはスタッフの方にも失礼」井口綾子が父の経営する美容室と一線を引いてきた深い理由

子宮頸がんの前段階である「子宮頸部高度異形成」と診断され、円錐切除手術を受けたことを報告し注目を集めたタレントの井口綾子さん。現在はタレント活動をしながら、父が経営する「EXCEL美容室」の運営にも携わっている。

異色の経歴の背景を聞いた。(前後編の後編)

娘だからという理由で入社するのはスタッフの方にも失礼

──「EXCEL美容室」は井口さんの祖父母が創業し、お父さまが経営を引き継いだ美容室だそうですね。現在は東京と神奈川を中心に21店舗を運営されています。

井口綾子(以下同じ) うちの父は美容師ではなく、東京大学を卒業してニューヨークでMBAを取得しました。美容師の方が経営されることが多い美容室で、他とは違う特色があると思います。4人きょうだいの真ん中の兄が家業を手伝っているのですが、私も以前から父に「いつか美容室を手伝ってほしい」と言われていました。

でも自分が役に立てるビジョンがまったく見えなかったですし、娘だからという理由で入社するのはスタッフの方にも失礼だと思い、ずっと保留にしていたんです。

美容室の経営については未経験ですが、「芸能活動をしている私だからこそできることがあるかもしれない」と思えるようになったことで、2024年1月から本格的に携わるようになりました。

──現在は、どんな業務を任されていますか?

EXCEL美容室は、長年通い続けてくださる多くのお客さまに支えられています。お客様と紡いできた信頼の積み重ねを大切にしながら、私がEXCELに入ったことによってより多くの方にその魅力や、ここで働く美容師一人ひとりの想いや技術を知っていただくための発信にも取り組んでいます。

あとは採用です。EXCELが大切にしているのは、最高の技術と最高のハートです。EXCELらしい技術とハートを持った美容師を一から育てていくため、採用は新卒の学生に限定しています。

サロンには幅広い年齢層のお客さまが来店され、海外から足を運んでくださる方も少なくありません。髪質やコンディションもさまざまなので、その一人ひとりをより綺麗にするために向き合う経験は、美容師として高い技術力と対応力を身につけるうえで、大きな財産になるのではないかと思っています。

また、最近ではサロンワークだけでなく、ヘアメイクや表現の世界に憧れて美容師を目指す若い世代も増えています。

私の知識と経験、人脈を活かして、ヘアメイク講習を開催したりもしました。講師は、実際に私を担当してくださっていたヘアメイクさん。世界大会で3回優勝したことがあるほどの方を招くことができたのは、芸能の経験が役立ったと思います。

大規模なファッションショーのバックステージでヘアメイクを担当させていただいたり、ビジュアル撮影で雑誌クオリティのカメラマンさんに依頼できたり。自分の経験を活用しながら、美容師さんに「EXCELだからできる」と思ってもらえることを増やしていきたいです。

美容師の待遇改善にも取り組みたい

──現在の肩書は?

エグゼクティブマネージャーと、自社ブランドのヘアケア用品「amino rich」のブランドマネージャーです。

──実際に美容室の運営に携わってみての感想は?

めちゃくちゃ楽しいです! 美容師さんって本当に職人ですし、お客さまの人生に寄り添う愛情深さと素晴らしさを、より一層感じる日々です。美容師の仕事は3K(きつい・帰れない・給料が安い)と言われることもありますが、もっと幸せにできる環境づくりをしていきたい。お給料もそうですし、経験や社会的地位も上げていけるようにしたいです。

──芸能活動も精力的にされていますね。

EXCEL美容室の仕事に携わるようになったことで、事業を継承された社長の方たちのお話を聞くラジオ「井口綾子 will run」(ニッポン放送)がスタートしたり、経営者の方をゲストにお迎えするYouTube番組「B.R.CHANNEL THE INTUITION」も始まりました。仕事をしながら勉強させていただくことが増えたので、これからも力を入れていきたいですね。

今はありがたいことに男性ファンの方に支えられていますが、これからは大好きな美容やヘアケアの大切さも広げていきたい。女性向けのお仕事もできたら嬉しいです。

取材・文/松山梢
撮影/石田壮一

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