クリスマスプレゼントが“地雷”に…ママ友たちの仁義なき「マウンティング地獄」のリアル
クリスマスプレゼントが“地雷”に…ママ友たちの仁義なき「マウンティング地獄」のリアル

クリスマスが近づくと、街はイルミネーションに包まれ、子どもたちは「サンタさんに何をお願いしよう」と胸を躍らせる。だがその一方で、母親たちの間では静かな“戦い”が始まっている——それが、クリスマスプレゼントをめぐるママ友バトルだ。

クリスマスに「絵本をあげる」と言ったら「おもちゃ高いもんね」とチクリ

12月のビッグイベント・クリスマス。子どものいる家庭では「自分の子どもに何をあげるか」は、それぞれの価値観で決めるもの。しかしそこに、年収、親族関係、家の広さ、そして“母親としての格付け”までもが持ち込まれたとき、空気は一変する。

当事者たちの証言から、クリスマス前のママ友コミュニティに潜むリアルを追った——。

「片親=貧困に繋げないでほしい…」と、なんとも言えない表情で話してくれたのは、岩田由美香さん(38歳・仮名)。彼女は2年前に離婚し、4歳の男の子を女手ひとつで育てているシングルマザーだ。

「先日、保育園のママ友の集まりがあって『子どものクリスマスプレゼントはどうする?』という話題で盛り上がったんです。私の息子は最近、おもちゃをあまり欲しがらなくて、外出先でも絵本をよく読んでいるんです。家にある同じ絵本ばかりでは飽きちゃうかな?と思って、『新しい絵本をあげるよ』とママ友会では答えたんですが…」

すると、同じく4歳の男の子のママであるAさん(リーダー格)が「あ…おもちゃ高いもんね」と言い出したそうだ。

「絵本をあげるということしか言わなかったからか、彼女は“お金がないからおもちゃを買えない”と思ったみたい。私がシングルだからそう思ったのか、おもちゃが高いからそう思ったのか……。子どもがすごく本が好きだからと思ってそう話したんですけど、“安いから”選んだって受け取られちゃったのかもしれませんね(苦笑)。絵本を数冊プレゼントする予定だったのですが…」

とはいえ「反論するのも面倒くさいことになりそう」と思い、何も言わなかった岩田さんだが、何を思ったのかAさんは「うちの使わないおもちゃあげようか?」と、追撃してきたのだ。

「これにはびっくりして、一瞬思考が止まって絶句しちゃいましたよ(笑)。一応『お気持ちだけいただくね』とは答えましたが、同学年のママ友に『お下がりいる?』なんて言われたのは初めてです。よっぽど我が家の家計が苦しいと思われているんだなぁと思いました。結構モヤモヤしますよね…」

すると会の終わりに、他のママが岩田さんに駆け寄ってきて「Aさんの言い方はさすがにないよね」と耳打ちをしてきたんだとか。

「そのママは『息子くん、お迎えの時もいつも絵本読んでるもんね! 本が好きなだけでしょ?』と声をかけてくれました。わかってくれている人がいたことで救われました」

ボスママが鼻息荒く登場も

同じく「ボスママに目をつけられてしまいどうしていいのかわかりません」と話してくれたのは、3歳の女の子を持つ斎藤栞さん(29歳・仮名)だ。彼女もクリスマスプレゼントの件でママ友の反応に困っているようだ。

「よその家が子どもに何あげようか興味はないのですが、幼稚園のお迎えでボスママに聞かれたので『おもちゃのピアノをあげるよ』と答えました」

するとボスママは鼻息荒く「我が家は本格的な電子ピアノだよ!」と満面の笑みだった。そして今後ピアノ教室に通わせる予定であることや、発表会ではハイブランドの服を着せる予定であることも話してきたそうだ。

「一応『いいですね』とは答えましたが……。実は、私の家は歩いて行ける距離に母が住んでいて、ピアノ教室の先生なんです。だから本物のピアノには触れさせているし、防音のマンションが見つかったら母がピアノを買うと言っているので、あえておもちゃにしてピアノの楽しさを感じてもらおうと思っていて」

だが、前出の岩田さん同様言い返すつもりもなく、むしろ「今後の身の振り方に困る」と話す。

「これから子どもがもっと話すようになったら、どう対処したらいいのかなって…。

私の母がピアノの先生だということや、ピアノを買ってもらえる話をもし娘がした時に『なんで黙ってたの?』とか言われたら厄介だなぁ。うっかり同じ教室に通うことになったりしても気まずいです」

と肩を落とした斎藤さん。対抗してきたと思われるのも、黙っていたと思われるのもどちらも角が立ちそうで不安な様子だ。

ママ友マウンティングの影響は子どもにも

仕切りたがりのボスママには、他の保護者も手を焼いているようだが、それでも誰も何も言わず「下手にでています」と斎藤さんは言う。

「結局、それが楽なんです。ママ友って子どもを介した関係なので、友達というよりは職場の人に近い。だから、できるだけ目立たず、ボスに気に入られなくても嫌われない立ち位置でいることが必要だな、と思います。

なかには本当に“支え合えるママ友”になれるパターンもあるけど、少ないんじゃないかなぁ…」

そんなママ友マウンティングに対して、斎藤さんが一番懸念していること。それは子どもへの矢印だ。

「以前、ボスママに無意識でマウントを取ってしまったママ友がいたんですが、そのママはそれ以降、ご飯会にも呼ばれず、ボスママの子どもの誕生日会にも親子揃って呼ばれなかった。子ども同士は仲良かったのに、親の空気感を感じたのか、いつのまにかその子は違うグループの子たちと仲良くするようになってました。

母親がママ友グループから除外される分にはまだいいけど、子どもの交友関係にまで影響が出るかもしれない…そう考えると恐いですよね。

なので子どもへのプレゼント選びは結構神経を使います」

斎藤さんはそう言いながらため息を漏らすと続けて先々の不安を吐露した。

「クリスマスプレゼントのマウントはまだ一時期のことなのでいいのですが、これから小学校受験、中学校受験、高校…。環境が変わっても、マウントをとりたがりのママはきっとどこにでも存在しますよね。

ランドセルひとつとっても、どこのブランドのものだとか色がどうのとか。制服のある学校ならいいですけど、私服の学校だと子どもの服一つでケチつけてきそう。一生つきまとってくるんだろうなぁと想像するだけで胃が痛くなりますね…」

クリスマスプレゼントは、子どもの喜ぶものを贈りたい――と思うのが親心というもの。しかし、ママ友地獄の中ではその想いよりもボスママの地雷を踏まないようにと神経をすり減らす。ママがサンタに願うこと、それは「ママ友との穏便な関係」ということかもしれない。

 

取材・文/吉沢さりぃ

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