東京都議会は17日の定例会で「東京都雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例」案を可決した。女性特有の健康課題への配慮を事業者へ定めたこの条例をめぐっては、会議の中で松本明子副知事が「今後、男性管理職を対象とした生理痛の体験会などの具体的な事例を指針で示すなど、事業者の取組みを促していく」と答弁。
「男性管理職の生理痛体験」をめぐってSNSでは賛否両論
都議会で可決された「東京都雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例」。2026年7月1日より施行されるこの条例では、企業に女性特有の健康課題への対応を求めており、具体的な取組みの一例として「男性管理職を対象とした生理痛体験会」が都議会の質疑の中で挙げられた。
これに対して、SNSでは「生理痛体験、男性に体験してもらっても良いと思う」「痛みだけじゃないよ、生理のしんどさは」「この条例ありえない」など、賛否両論が巻き起こっている。
そもそも、生理痛の疑似体験ができる装置とは、いったいどのようなものなのだろうか?
生理痛体験装置「ピリオノイド」を用いた生理痛体験研修や、女性の健康に関する研修の提供などを行なう、予防医療テックスタートアップの株式会社リンケージに話を聞いた。
「もともとは甲南大学と奈良女子大学の研究の中からプロダクトの開発が始まりました。それを大阪大学発のベンチャーである大阪ヒートクールが商品化し、2023年4月に企業団体向けに生理痛体験研修の提供を始めました。企業から反響や要望が多く、我々が昨年8月より研修事業を引き継いで提供させていただいています」
同社の担当者によると、今年度に実施した研修の数は昨年度比で3倍に増え、これまでに累計300社以上への提供実績があるという。
「2023年に研修の提供が始まったきっかけは企業からのオファーでした。『生理痛を疑似体験できるプロダクトがある』ということは対外的にも発信していましたが、フェムケアに関わる企業などから研修の相談を受けるようになりました。そうしたところから少しずつ反響が広がっていき、現在さまざまな企業からお問い合わせをいただいています」
「仕組みとしては整骨院などで使われるような低周波治療器と同じです」
多くの企業で研修が実施されているという生理痛体験。その仕組みは整骨院などで使われる低周波治療器と同じだという。
「体験は痛みを伴うため、あくまでも希望者にのみ実施いただきます。体験する際は、体験者本人の意志でいつでも体験を終了できるよう設計されていますので、安心してご体験いただけます。
まず、おへそよりも下に電極パッドを縦に2枚貼っていただきます。そこに微弱な電流を流すことによって、生理期間中の内側から絞り込まれるような鈍痛を『弱・中・強』の3段階で疑似的に再現するというプロダクトになっています。仕組みとしては整骨院などで使われるような低周波治療器と同じで、人に対して安全な微弱な電流であっても痛みを再現できるよう検証を重ねました。
いっぽうで、この装置で体験できるのは、あくまでも生理期間中の下腹部痛だけです。生理中はホルモンバランスの影響で、腰痛や頭痛、倦怠感や気分の浮き沈み等に悩まれる方も多く、不調の種類も人によって様々です。男性のみならず、同性である女性も体験いただくことで、人によって異なる生理痛の重さを客観的に捉え直すきかっけにもなります」
体験者からは、「もともと生理痛という言葉は知っていたが、知っているのと体験するのとはまったく違う」といった声が多く聞かれるという。また、ごく一部には、普段からシックスパッド等でEMSの刺激に慣れている人の場合、痛みを感じづらいケースもあるという。
「その際には、女性でも生理期間中に普段と同じように元気に働ける女性もいれば、ソファーに寝込んでいないと耐えられないほどの女性もいるという実態をお伝えするようにしています。自分にとっては大丈夫な痛みでも人によってはつらいと感じることもあります。自分が感じたもの・見えているものだけに囚われず、目に見えないものを想像し、互いに想い合うきっかけにしていただければ」
と担当者は話した。
同社が研修を提供した企業の一つに山梨中央銀行がある。今年8月に支店長を対象に生理痛体験研修を実施した同行の担当者は、実施した経緯について次のように話した。
「健康経営を推進していく中で、女性が毎月つらい思いをしている生理痛についての共有体験を通じて、いろいろな方が働きやすい環境を整えるためのきっかけになれば、というところで研修を開始しました」
「参加を希望しない人に対して無理やり参加させると、違法性を帯びる可能性があります」
従業員の男女比はおよそ半々という同行が実施した8月の研修には80人が参加。事前に同意を得た参加者にのみ実施したという。
「参加者からは同意書で同意を得た上で実証しております。例えば体調不良があるとか高血圧があるなど、なにか持病があって気になるということで何名か辞退された方もいらっしゃいます」
研修終了後、男性の参加者からは「落ち着いて座っていられないような痛みを感じた。継続すれば相当なストレスだと思う」「非常に大変だと理解できたので、寄り添っていきたい」などの感想が、また女性からは「今回の生理痛体験はあくまで一例で、人それぞれ痛みが違うと思うので、理解する姿勢が大切だと思った」などの感想が聞かれたという。
年明けの1月には、一般行員に向けてイベント型の研修を実施する予定だと担当者は話した。
企業での研修が少しずつ広がっている生理痛体験をめぐっては、「強要したら暴行罪などにあたるのでは?」といった声もSNS等で聞かれる。
民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける古藤由佳弁護士(弁護士法人・響)は次のように説明する。
「男性管理職の生理痛体験は、具体的には下腹部にEMS(筋電気刺激)パッドを装着し、電流を流すことで子宮収縮のような痛みを人工的に再現するものとされており、人の身体に対する不法な有形力の行使として、客観的には暴行罪(刑法208条)に該当する行為です。
ただし、参加者が、当該体験の趣旨・目的を理解し、自ら参加するのであれば、被害者による保護法益の放棄(傷害罪の保護法益は、人の身体の安全)があったとして、初めて行為の違法性がないものと判断されることになります。
男性管理職に生理痛体験をさせることの趣旨は、生理痛に悩む女性社員への理解を深めることですが、これは、究極的には女性社員から体験談を聞くなど別の方法でも達成できることです。したがって、参加を希望しない人に無理やり参加させると、違法性を帯びる可能性があります」
果たして企業での実施はどの程度広がっていくのか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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