〈前橋・ラブホ通いすぎた前市長〉「相手は停職くらって辞めますけど私はもう一回市長やります」小川前市長は「田久保前伊東市長とは違います」「ケチョンケチョンでも何とも思わない」
〈前橋・ラブホ通いすぎた前市長〉「相手は停職くらって辞めますけど私はもう一回市長やります」小川前市長は「田久保前伊東市長とは違います」「ケチョンケチョンでも何とも思わない」

知人女性から性暴力を受けたと訴えられ(のちに和解)、最後は汚職で逮捕・起訴された大阪府岸和田市の永野耕平前市長。学歴詐称疑惑に怪しげな“卒業証書”のチラ見せで抵抗したが、結局失職し出直し市長選で惨敗した静岡県伊東市の田久保眞紀前市長…。

今年はトンデモ首長が次々と没落する年になったが、再起をあきらめない人もいる。部下職員とラブホテルに通った前橋市の小川晶前市長(43)は、自分が起こした混乱による市民の分断を「解消するために」年明けの出直し市長選で必ず勝つと気合いを入れているのだ。

「私の⼈⽣をかけて次の市⻑選挙に再びチャレンジすることを決意しました」

9月のラブホ通い発覚後、妻のいる職員A氏(54)との不倫を否定しながら「市民生活を支える行政を止めることはできない」と辞職を拒んでいた小川氏は、11月下旬に市議会で不信任決議案の可決が確実になると一転して「一度立ち止まる」と言葉を変え辞職した。

それから約3週間後の12月17日、地元記者だけに質問を許す記者会見を開いた小川氏は、

「政治家である以上、皆様への責任を果たすにはもう⼀度ここから⽴ち上がって、やり残した公約を実現するしかない。どんなに逆⾵でもどんなに苦しくても、もう⼀度皆さんと⼀緒にこの前橋を変えていくんだ。そのために私の⼈⽣をかけて次の市⻑選挙に再びチャレンジすることを決意しました」

と1月の出直し市長選への立候補を表明した。

辞意を表明した時から出馬意向があることがうかがえる発信をしていたので意外性はないが、立候補は悩んだと訴えたりもした。地元記者が解説する。

「小川氏は12月14日に支援者集会で立候補要請を受けるとその日のうちに出馬表明へ向けた調整が始まっていました。しかし会見では立候補を決めたのは前夜だとし、会見前からYouTubeにアップされた出馬を表明する動画も前夜に撮影したと主張しました」(記者)

小川氏は会見で、1年9カ月の市長在職中に給食費の無償化を実現させたことなどを実績だと強調し、まだ公約で実現できていないものを進めていくとアピール。

「市⺠の皆さんにもう⼀度信頼を預けてもらえるかどうかということが私の争点」「分断を解消するために⼀度辞職をして出直し選挙をするということになっております」と述べ、選挙で勝てばみそぎは済むとの考えをうかがわせた。

いっぽう小川氏は市長在任中は「優秀で頼りになる職員と⼀緒に働けることは私にとっても誇りでした」と述べたが、一緒にホテルへ行き最も頼りにしたはずのA氏は停職6カ⽉の懲戒処分を受け、12⽉末で依願退職する。

共にホテルに行った職員に対し「なんで辞めるのか分からない」

A氏に話が及ぶと小川氏は「重い処分だなと率直に感じております。私も⼼配をしております」と言いながら、続けて「お世話になった⽅々に報いるためにもこれからいい政治を作っていくしかない」と、いきなり自分の再選の必要性を訴え始める。

会見後半では「どういう理由で(A氏が)退職をするのかということについてもちょっとわかりかねます」とも発言。ホテルへ共に通った相手がいたたまれなくなり仕事を辞めるのに、「なんで辞めるのか分からない」と言いながら自分はまた市長をやりたいと訴える会見になった。

 来年1月12日の出直し市長選には自民党系の2つの市議会会派が推す弁護士の丸山彬氏(39)と共産党元市議の店橋世津子氏(64)がすでに立候補を表明している。

群馬県では自民党内に故福⽥赳夫元⾸相と故中曽根康弘元⾸相の流れをくむ2つのグループがあり前橋市議会でも並び立ってきたが、今回その両グループがそろって丸山氏を推すため同氏が優位のようにも見えるが、事情はそう簡単でもない。

「去年2月の市長選では、4期目を狙った山本龍元市⻑が属す福田元首相系との対立が激化した中曽根元首相系の市議や県議らが、小川氏につきました。これが小川氏当選の大きな力になったのです。

しかし今回両グループは『小川再選阻止』を合言葉に、復活に色気を見せた山本氏ではまとまれないとみて山本氏を排除し、若い丸山氏をそろって推すことを決めました」(前橋市議)

田久保前市長の落選報道は「みていないです」

それでも小川氏は勝てると判断して立候補を表明したとの見方は強い。小川氏が群馬県議時代に所属した立憲民主党の関係者で、今は小川氏を冷ややかにみるB氏はその背景を解説する。

「群馬では、県庁所在地の前橋市より隣の高崎市の方が経済活動ははるかに活発で、市の財政状況もいいんです。でも高崎の経済活動は官民一体というか市役所が商工会をグリップする形で展開しています。

対照的に前橋は市の財政が弱いこともありますが、新興企業が駅前の開発を主導するなど自由で新しい企業活動がしやすいというイメージが強いんです。

その中で丸山さんは、ポンと出馬した経緯や若いことから、自民党や地元商工会の意向が強く働き、市長になれば前橋の自由な空気が変わるのでは、という見方があるんです。

この空気が優位に働くと小川さん側はみているようです」(B氏)

さらに市長時代の実績が支持されているとの自信を小川氏は持っているという。

会見3日前には、伊東市の田久保前市長が出直し市長選で落選していた。これをどうみるかと会見で聞かれた小川氏は「みていないです。前橋のことは前橋の市⺠の皆さんに判断をしていただくものだと思っておりますので、他市の状況等については私の⽅では特段考慮しておりません」と即答している。

「市民の中にはラブホ通いは個人的な問題だと言って問題視しない声も結構あります。逆に給食を無償化したことは大きく、小川さんが目に見える結果を出していることは事実で、そこは(市長就任直後に学歴詐称疑惑が出た)田久保さんとは違います。

まあ、小川さんには田久保さんとは違った図太さがあり、どんなにケチョンケチョンに言われても何とも思わないみたいです。今回の選挙はガチの“忠誠心”があるというかコアな支持者だけで固めて運動をやるみたいで、結果がどうなるかは何ともわかりません」(B氏)

問題首長退場の流れは続くのか。それとも小川氏が流れを断ち切るのか。年明けの前橋市長選から目が離せない。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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