〈解散でどうなる?〉「あの人にだけは言われたくない」玉木代表が嫌悪する野党幹部…「不倫疑惑」「優柔不断」を超えて国民民主が何度も復活する2つの理由
〈解散でどうなる?〉「あの人にだけは言われたくない」玉木代表が嫌悪する野党幹部…「不倫疑惑」「優柔不断」を超えて国民民主が何度も復活する2つの理由

2025年、ジェットコースターのような支持率の激しい浮沈を経験したのが国民民主党の玉木雄一郎代表だ。「総理候補」から一転、「決められない男」と揶揄される場面もあったが、昨年末には年収の壁「178万円」で高市早苗総理と合意し、再び上げ潮ムードだ。

解散もささやかれるなか、2026年の永田町のキーパーソンははたしてどう動くのか?

高市早苗総理との合意を交わした玉木氏

「ついにミッションコンプリート!!178万円の壁が実現しました。みなさん、ありがとうございます」

2025年12月18日。高市早苗総理との合意を交わした玉木氏は、その日の夜には自身のユーチューブチャンネル「たまきチャンネル」で喜びを爆発させた。

ただ、コメント欄は悲喜こもごもだった。

「国民のためにありがとうございます」という感謝を伝えるコメントがある一方で、「結局、高所得者は恩恵無く、住民税は手付かずなんだから達成したと喜べる内容ではないでしょう」などと辛辣な意見も。

こうした賛否が錯綜する状況が、2025年の国民民主党と玉木雄一郎氏を象徴しているようだった。

2024年10月の衆院選。「年収の壁」を取り上げて、若者に「手取りを増やそう」と訴えた。

玉木氏の戦略は大当たりした。選挙のデジタルシフトと相まって公示前はわずか7議席だった勢力は28への躍進を遂げた。

玉木氏は一躍、時の人となって民放などに引っ張りだこになった。

「長年売れない地下アイドルだったけど、対決より解決といって愚直に政策を訴えてきた自分たちのやり方は間違っていなかった」

感慨にふけるような表情は自信に満ちあふれていた。

「玉木フィーバー」はわずか1カ月で暗転

そんな「玉木フィーバー」はたった1カ月で暗転する。週刊誌が玉木氏と元グラビアアイドルの女性との「密会写真」を報じた。

玉木氏はすぐに「不倫」を認めて、国会内で謝罪会見を開いた。真っ先に妻への謝罪を口にした。

妻から「一番近くにいる人を守れない人は国を守れない」などと叱責を受けたと明らかにした。「この言葉を胸に刻み、少しでも国益にかなう仕事ができるようにしたい」と述べ、議員辞職は否定した。

報道から素早く対応、言い訳せずに素直に認めて謝罪する、危機管理能力の高さをみせつけた。その一方で、会見の際に手元に置いていた「想定問答」の紙も報じられ、話題になった。

会見では神妙な表情で語るものの、「Smart FLASH 報道対応について」と題されたA4ペーパーを握りしめていて、冒頭には「逃げている印象にならないように」と注意喚起が記されていた。立ち止まって、ゆっくり答えてから移動するように具体的な動き方まで指南する内容も書かれていた。

さらに、「事実関係はおおむね認めます」という謝罪内容や、詳細な事実関係を尋ねられると見越し、「別の女性に好意を持った点については端的に申し上げて事実」と記されており、その部分に下線が引かれていた。

2024年12月には石破自民、公明と「年収の壁は178万円を目指す」

何とも間の抜けた対応だったが、ダメージは最小限だった。側近で「趣味は玉木雄一郎」という榛葉賀津也幹事長が素早く火消し対応したからだ。いち早く「役職停止3カ月」という軽めの処分を主導し、最小限のダメージで代表に復帰させた。

ただ、その後も浮き沈みを繰り返す。

2024年12月には石破自民、公明との3党合意で「年収の壁は178万円を目指す」と明記させたため、与党が示した補正予算に賛成した。少数与党の自公政権を助けたが、約束は反故にされる。

再び対決姿勢に転じて、「手取りを増やそう」というかけ声でネット地盤での支持を集める。その勢いで2025年の夏の東京都議選、参院選を迎えるが、参院の候補に山尾志桜里氏や須藤元気氏を公認すると批判を浴びる。

山尾氏は過去の「不倫疑惑」への説明不足、須藤氏は過去の「反ワクチン発言」などが党の支持者に敬遠されたようだ。政党支持率も一気に半減した。立憲幹部は「玉木は時間がたてば立つほどボロが出て失速していくね」とほくそ笑んだ。

「総理になる覚悟はある」と意気込んだ。が…

ただ、選挙ではすぐに反転攻勢した。2025年6月の都議選は議席ゼロから9議席を獲得した。参院選も過去最多の17議席を獲得。改選前4議席から大躍進だ。

比例区に至っては、762万票を得て、724万票の立憲民主党をしのいで野党1位になった。

そんな躍進も高市政権誕生で潮目が変わった。高市早苗氏が総裁になって、真っ先に連立政権入りを働きかけたのは玉木氏だった。昨年10月4日の総裁選で高市総裁が選出されると、翌5日には高市氏が玉木氏にアプローチ。2人が密会したという報道が流れた。

ただ、その後に公明党が政権を離脱すると、自民と国民民主だけでは衆参両院の過半数には達しないことから「前提が変わった」と玉木氏は高市自民との連立交渉を打ち切った。

立憲民主党など野党側の枠組みに入って「総理になる覚悟はある」と意気込んだが、日本維新の会が電撃的な交渉スピードで高市自民との連立交渉をまとめた。

玉木氏は「二股をかけられた」と周囲に嘆いてみせたが、世間では「優柔不断」「決められない男」と酷評される羽目にあった。

振り返ると、2024年のブレークから、自身の不倫や参院選の候補擁立での失敗、それでも都議選や参院選での大躍進、そして連立交渉の頓挫から「年収の壁」での電撃合意まで浮沈の激しい1年だった。政党支持率も10%超えて野党1位になることもあれば、半減したこともある。

何度でも復活する秘密は二つある

浮き沈みもあるが、何度でも復活する秘密は二つある。ひとつは野党の中では若い世代を中心に支持をされている経済政策だ。

年収の壁を巡る「手取りを増やそう」というわかりやすいキャッチフレーズはこれまで政治に興味のなかった若い世代から中高年まで幅広く刺さった。

日本の若い世代のサラリーマンなら、税と社会保障の負担率は年収の4割を超える。

だから、手取りがなかなか増えない。そんな若い世代に刺さる政策を掲げて1年間ぶれなかったことが大きい。

二つ目がネット地盤の構築だ。

自身を「永田町のユーチューバー」とする「たまきチャンネル」は登録者数62万人。何でもゆがめて伝えがちなオールドメディアに頼らなくても、自分で政策を支持者に届けることが出来る。

新聞、テレビから、ユーチューブ、SNSへの「メディアシフト」

「ネット地盤」という言葉の生みの親であるJX通信の米重克洋氏は、国民民主党について「SNS上で拡散されやすい具体的なキーワードを徹底して発信し続けたことが、従来の空中戦(メディアを通じた選挙戦)とは異なる、デジタル独自の強力な動員力を生んだ」と分析している。

さらに「有権者の情報接触がテレビ・新聞からスマホ中心に切り替わる『メディアシフト』が進む中で、玉木氏がYouTuberとして自ら発信を続け、党全体でSNS広告や動画を戦略的に活用したことが、2025年の躍進(都議選・参院選での勝利)の決定打になった」と述べている。

新聞、テレビから、ユーチューブ、SNSへの「メディアシフト」。この流れは2026年も不可逆だろう。そうなると、ネットに強い玉木・榛葉コンビの国民民主党は2026年も台風の目になる。

自民・維新の連立政権は参院で6議席足りない。裏を返せば、予算以外のあらゆる法案では参院で6議席以上をもつ政党がキャスティングボートを握っていることになる。

玉木氏は東大卒の元財務官僚だ。2009年、民主党への政権交代のときに初当選した。財務省時代の同期には自民党の木原誠二元官房副長官がいる。

玉木&榛葉が立憲と組むことはない

「自分は大臣も副大臣も、政務官さえ経験したことがない。民主党政権時代に幹部として失敗した政治家は責任を明確にするべきだった」

以前、玉木氏は周囲にそういって嘆いたことがある。旧民主党政権時代の幹部、つまりいまの立憲民主党の幹部たちへの不信感は強い。

2025年秋の総理大臣指名選挙でも、立憲の安住淳幹事長が「玉木君を弟のようにかわいがってあげようと決めた」とつぶやいたことに「あの人にだけは言われたくないよね」と周辺に嫌悪感をあらわにした。

2019年参院選の静岡選挙区。立憲民主党に徳川宗家19代の徳川家広氏を刺客に送られて、落選寸前に追い詰められた榛葉幹事長は立憲幹部への恨みを忘れていない。つまり、玉木&榛葉が実権を握る以上、国民民主党が野党第1党の立憲と組むことはない。

2026年も経済政策とネット戦略という二つの武器で高市自民との交渉にフォーカスするだろう。そんな国民民主党を取り込むために裏では、麻生太郎副総裁と榛葉幹事長が定期的に情報交換の密会を重ねている。

自民党が得意とする野党分断だ。玉木氏は「もう二度と衆参両院で過半数をとる政党は出てこないだろう」と語っている。高支持率の高市自民との間合いを詰めながら、自らの「天下取り」への機会をうかがう。2026年も玉木雄一郎という政治家から目は離せない。

文/長島重治

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