元「男闘呼組」、現在は「Rockon Social Club」「NARITA THOMAS SIMPSON」でボーカル&ギターを務める成田昭次の著書『人生はとんとん―成田昭次自叙伝―』が発売された。『Myojo』10000字インタビューを手がけ、今回の書籍の構成を担当したライター水野光博が、幾度となくインタビューを重ねる中で垣間みた、等身大の成田昭次について綴る。
成田昭次の第一印象
穏やかで端正な顔立ち。言葉数こそ多くはないが、丁寧な口調に好感が持てる。それが、成田昭次の第一印象だった。ただ、時折見せる表情は、どこか寂しそうでもあり、どこか陰があるようにも見えた。
幾度インタビューを重ねても、どんな質問に対しても成田は口淀むことなく包み隠さず答えてくれた。
大人になれば誰しも、語りたくない過去や、開けたくない記憶の扉もあるだろう。過去に男闘呼組として輝かしいスポットライトを浴び、その後、大麻所持により逮捕、一時は芸能界から姿を消すという過去を持っているのならなおさら。
それでも成田は、恵まれたとは言い難い幼少期の家庭環境を、兄の背中を追いギターを始め芸能界に足を踏み入れたことを、そしてファンに衝撃を与えた男闘呼組活動休止の内幕をも赤裸々に語った。さらに最愛の兄の死についても。その死の一因が自分にあるのではないかと長年悩み続けた苦悩も。
思わず、「なぜそこまで話すのか?」と聞くと、成田は言った。
「僕は事件後、ファンにも関係者にも、メンバーにすら説明と謝罪をせずに地元の名古屋に戻ったんです。もう二度とギターは弾かないと思ったこともありました。
ただこれまで、多くのファンの方、関係者の方にきちんと説明と謝罪の場を設けてこなかったのが、ずっと心苦しくて。もちろん、謝罪したからといって過去の過ちが消えることも、多くの人を裏切り傷つけた事実もなくなりはしません。
それでも、この本を出すと決めたからには、当時何があったのを、自分の言葉で少しでもお話しできればと思ったので」
「もう一度、真っ当な人生を歩めるのだろうか?」
自叙伝の書籍化にあたり、成田がその思いを託したのが集英社の編集者だった。その編集者は『明星』で男闘呼組を担当していた過去を持つ。
成田は事件後、地元・名古屋で生活し、男闘呼組のメンバーでさえ連絡先を知らなかった期間が10年近くある。
問わず語りをさせてもらうと、筆者はその編集者に『Myojo』の10000字インタビューという企画のインタビュアーを打診され、2011年からすべての回を担当させてもらっている。
これまで多くのアイドル、多くのグループをインタビューしてきたが、成田と男闘呼組が描いた軌跡は、「時代が違う」の一言では済まされないほど異端だった。
アイドルでありながら、男闘呼組は本物のロックバンドを目指したこと、成田が人気絶頂のタイミングで結婚したこと、メンバー4人中3人がタトゥーを入れていたこと、何よりチケットは既に完売した全国ツアーの直前に活動休止を発表したこと。
男闘呼組が活動休止後、成田はソロで音楽活動を始めている。しかし、活動は軌道に乗らず、離婚も経験。次第に生活は荒み、ついには事件を起こす。
成田は「もう一度、真っ当な人生を歩めるのだろうか?」と不安を抱きながらも、地元名古屋でハローワークに足繁く通い、大工、材木屋、工場などで働く。
それでも成田はできる限り、誠実に日々を過ごした。芸能界に身を置いていた日々と比べれば、魅力的なイベントや、驚くような事件が起こるわけではない。ともすれば、“平凡”という一言で片付けられそうな日々を、くさすことも、嘆くこともせず、淡々と丁寧に成田は過ごした。
とんかつを揚げ続け、ギターを練習
その後、前述したように編集者から連絡先を聞いた岡本健一、高橋和也、前田耕陽、男闘呼組のメンバーが成田と連絡を取り合うようになる。本書は、成田のみならず、岡本、高橋、前田にも長時間のインタビューを行っている。
同じ出来事でも、視点が違えば見える景色は違う。
メンバー4人、誰もが男闘呼組の復活を願った。しかし、最初から一枚岩だったわけではない。特に高橋、前田のふたりは当初、成田の音楽活動再開に懐疑的だった。それは、成田の才能を疑ったからではなく、成田への愛情からだった。
当時の様子を高橋はこう振り返っている。
「今、昭次がどんな生活をしているのかも、その生活を手に入れるために、どんなことをやってきたかも聞いた。
成田自身にも迷いがなかったわけではない。それでも成田は、「男闘呼組を再始動させてケジメをつけたい」と50代にして音楽活動再開を決断し上京する。
もちろん10年のブランクがある成田が、すぐに音楽だけで生活できるはずはない。
成田はとんかつ屋の厨房に立ち、男闘呼組の再始動直前まで、とんかつを揚げ続け、忙しい業務の合間を縫っては、寸暇を惜しんでギターの練習に励んだ。
自分が誰かの背中を押したい
インタビュー中、ここまで赤裸々に語る必要はあるのだろうかと何度も思った。しかし、成田は、本書の「はじめに」でこう書き綴っている。
「人生とは『人』が『生きる』と書くけれど、僕の場合は『人』に『生かされる』が正解だ」
成田は立ち止まりそうになるたびに、ギターに、音楽に、ファンに、兄に、母に、そしてメンバーに背中を押された。
成田は、きっと今度は、自分が誰かの背中を押したいと願っている。
どこかで今が人生のどん底だと嘆く誰か。どこかで夢を諦めてしまった誰か。そんな誰かの背中を押すために、全てをさらけ出したのではないだろうか。
「この瞬間まで、人生の選択をすべて間違えてきたようにも思う」と語る成田が、この自叙伝を介して、「大丈夫だよ」と語りかけているように思えてならない。
そして、悪いことばかりに思える人生も、諦めず挑戦を続けることで、「人生は良いことも、悪いことも、同じ数ずつ起こる。とんとんなんだよ」と証明するために。
何度目かのインタビュー後、成田が働いていたとんかつ屋で昼食をご馳走になった。その店のとんかつは本当に美味しかった。そう感想を伝えると、成田は嬉しそうに微笑み、とんかつを揚げるコツを、美味しい豚汁を作るにはタイミングが大切なことを熱心に教えてくれた。
最後に、かつて一度でも成田昭次に声援を送ったことがある人たちが、今もファンであり続ける人たちが、この自叙伝を読み終えた時、成田昭次というアーティストが、愛されるべき人物であり、声援を送るに値する人物だということを再確認していただけたら幸いです。
文/水野光博 写真/井村邦章

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