「中道改革連合が公明票を2万喰えば…」「維新はお荷物、切るのが正解なのに」“前代未聞”の大義なき解散、高市首相の不安要素
「中道改革連合が公明票を2万喰えば…」「維新はお荷物、切るのが正解なのに」“前代未聞”の大義なき解散、高市首相の不安要素

読売新聞が「高市早苗総理の解散検討」を報じてから1週間。高市総理(64)は徹底した「秘密主義」で解散戦略を進めた。

そのハレーションは極めて大きく、党内にはしこりが残りそうだ。「電撃解散」の裏側では、先行きの不透明感も高まっている――。

「選挙に勝ったとしても茨の道、長期政権は難しい」

高市総理は1月23日召集の通常国会の冒頭で衆院を解散し、「1月27日告示、2月8日投開票」の日程で選挙が行われる見込みだ。この間、高市総理は自民党幹部にすら根回しせず、徹底した秘密主義で、一連の解散戦略を進めてきた。

「第二次安倍政権で総理秘書官を務めた今井尚哉内閣官房参与、木原稔官房長官など、ごく少数にしか情報共有はされていなかった。官房副長官はもちろん、高市総理の後ろ盾の麻生太郎副総裁の義弟・鈴木俊一幹事長以下、党幹部も誰も何も知らなかった」(自民党重鎮)

西日本新聞の報道によると、麻生氏は同紙の取材に「(解散は)ないでしょうね」と否定的な見方だったという。その後、高市総理から事後報告を受けた麻生氏は、不満を持ちつつも「最後までやりきれ」と言ったという。

「総裁選で派閥をあげて高市総理を支援し、キングメーカーとなった麻生氏としては、事前に話がなかったことは面白くないでしょう。“義理人情”が重視される世界だけに、今後に禍根を残しかねません」(自民党関係者)

麻生氏だけではない。党内では「ここまで根回しがないのは前代未聞」との声が相次ぎ、しらけムードが蔓延している。

高市総理は、「気配りが得意とはいえず、人づきあいや仲間作りが苦手」(総理周辺)と言われてきた。政調会長時代から、自民党部会が策定した公約などにも、自ら細かく手を入れ直すことで知られており、「何でも自分一人でやらなきゃ気が済まない性格」(同前)とも言われてきた。こうした懸念点が、象徴的に現れてしまったとも言えそうだ。

自民党のベテラン参院議員は筆者の取材に、こう本音を吐露した。

「ここまで根回しせず、独断専行で物事を進めていく高市さんを、本気で支えようとする人は党内で少ない。今後、政権の支持率がひとたびダウントレンドに入れば、“ポスト高市”の議論がすぐにはじまる。選挙に勝ったとしても茨の道で、長期政権は難しいと見ています」

日本維新の会の連立合意について「国民の信を問う」

そもそも、1月解散で選挙を行えば、国会審議が後ろ倒しになる。そのため、2026年度予算や税制改正法案の年度内成立は困難になり、4月から予定されている高校教育の無償化や、軽油の暫定税率の廃止などにも支障が生じかねないという問題もある。

“大義なき解散”との批判が高まる中、高市総理は1月14日に総理官邸で、自民党の鈴木俊一幹事長、連立パートナーの吉村洋文代表らと会談し、選挙戦では高市政権が掲げる「責任ある積極財政」に関する政策のほか、「自民と日本維新の会の連立合意」について、国民の信を問う意向を示したという。しかし、この方針については“悪手”とみる向きが強い。

連立合意政策には、衆院議員定数の1割を目標に削減をするという維新案が含まれている。しかし、日本はOECD加盟国の中で、100万人あたりの議員定数が下から3番目と、議員の数は決して多いといえない。維新案は、合理的ではないとの意見が与野党から相次ぎ、臨時国会でも成立しなかった経緯がある。

「維新との連立合意に含まれている国会議員の定数削減とかそういう話は、そもそも間違っているし、選挙の争点になりようがない。経済政策にしても、維新なんか全く何も分かってないし、お荷物でしかないから、さっさと切るのが正解なのに……。

解散戦略を通じて、官邸内で今井氏の発言力が強まり、高市政権の政策の方向性が見えづらくなることを心配する人もいます。

今井さんはかつて安倍政権時代を振り返り、『私の最大の仕事は、反大蔵省軍団との対決でした』と語るなど、高市総理に近い自民党内の積極財政派とは距離があるからです」(高市氏に近い自民ベテラン議員)

見過ごせない問題は、他にもある。高市総理の夫の山本拓氏の長男・山本建福井県議(41)が次期衆院選に福井2区から出馬する意向を表明したのだ。

「高市総理自身は“世襲ではない叩き上げ”です。ただ、わざわざ自身の総理在任中というこのタイミングで、親族が立候補することは、世襲にこわだわる“古い自民党”のイメージを強めかねません」(前出・自民党関係者)

日本テレビが132選挙区の内、72選挙区で敗北するという試算を報じ…

そして、立憲民主党と公明党が新党結党(名称は「中道改革連合」となる見込み)で合意したことも、選挙の結果をより一層不透明なものにしている。

「創価学会を支持母体とする公明党は、選挙区ごとに2万票程度あるとされています。この票が立憲民主党にのっかった場合、激戦区で自民候補に逆転する可能性が出てくるのです。日本テレビは1月15日に、仮に公明党支持者が自民党の候補者ではなく、立憲民主の候補者に投票した場合、前回衆院選で自民党が小選挙区で勝利した132選挙区の内、72選挙区で敗北するという試算を報じています。

もちろん、実際には、こうした単純計算通りにはならないでしょう。選挙区事情により、支援関係は異なってくるとみられるからです。ただ、公明党の連立離脱後も、支援をアテにする自民候補は数多かっただけに、不安感が高まっています。とはいえ、高市政権の支持率は6~7割と堅調ですし、『中道改革連合』の顔ぶれを見ても、今ひとつ“選挙の顔”になるような人材に乏しく、ブームを巻き起こすとも思いにくい。高市人気で、自民党が議席を大幅に回復するという強気の見方も未だ根強いです」(前出・自民党関係者)

数々のハレーションを巻き起こしながらも、解散に突き進む高市総理。

果たして、政権の命運を左右する“賭け”に勝利することはできるだろうか。

取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班

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