〈立憲×公明の新党名、実は…〉「池田大作名誉会長の遺志を継いだ流れにある」“中道”は創価学会員に超馴染みの言葉、でも一般には「浸透しづらい」の声…離脱者リストも出回る
〈立憲×公明の新党名、実は…〉「池田大作名誉会長の遺志を継いだ流れにある」“中道”は創価学会員に超馴染みの言葉、でも一般には「浸透しづらい」の声…離脱者リストも出回る

立憲民主党の野田佳彦代表と、公明党の斉藤鉄夫代表が1月16日、国会内で記者会見を開き、新党「中道改革連合」(中道)の設立を発表した。高市早苗総理が「電撃解散」を仕掛ける中、党勢が低迷する2党が突如としてタッグを組んだわけだが、永田町では早くも「離脱者リスト」なるものが出回るなど、その先行きには不透明感も募る。

そして、党名の「中道」という言葉に隠されたメッセージとは――。

合計172人の衆院議員…自民党に次ぐ人数になる可能性

現在、立憲に所属する衆院議員は148人いる。一方の公明党は24人。仮に、離脱者のないまま合流が実現すれば、新党が抱える衆院議員の数は172人となり、196人の衆院議員を抱える自民党に次ぐ人数の政党となる。

「しかし、永田町では、早くも『中道改革連合に加わらないと見込まれるメンバー』という複数人の立憲民主議員のリストが出回るなど、不穏な動きもあります」(野党関係者)

新党の政策について、野田氏は、食料品などにかかる消費税の減税、社会保険料の減免といった政策を掲げる考えを示しているが、党のカラーは今ひとつ見えづらい部分もある。

注目すべきは、斉藤氏がYouTubeチャンネル「公明党のサブチャンネル」で語った内容だ。斉藤氏は「連立離脱して以来、私たちは中道改革の軸になると申し上げていきました」と力説し、あくまで公明党が主導して新党ができたということを強調している。

その上で、集団的自衛権を限定的に認めた平和安全法制や、原発再稼働に賛同しない人は、新党には入らないという見方を示した。さらに、「高市さんそのものを否定する、また困らせたい、足を引っ張りたいなどとはこれっぽっちも思っておりません」と語るなど、高市政権との対決姿勢を明確にしているわけでもない。

そもそも、両党の党勢は決して芳しいとはいえない。立憲民主党は未だ野党第一党ではあるが、2025年の参院選における比例得票数は739万票で、国民民主党や参政党の後塵を拝した。

公明党も2005年の衆院選では比例で898万票を獲得していたが、2024年の衆院選では596万票まで減少し、2025年の参院選では521万票の得票にとどまっていた。

「本音のところでいうと、生き残り作戦ですよね。

労働組合のナショナルセンターである連合をバックに持つ立憲と、宗教団体である創価学会をバックとする公明党が、ひっついたというわけです」

今回の新党結党について、そう分析するのは、公明党の元国会議員である。次期衆院選において、公明党は小選挙区には候補者を立てず、立憲出身議員の支援に回る方針だ。その代わりに比例名簿では、公明出身の候補者が上位となる案が出ている。

「2024年の衆院選では、埼玉14区で出馬した石井啓一前代表が落選するなど、公明党はもはや小選挙区で勝てない状況になってきていた。とはいえ、都市部が多いですが、各選挙区には未だ15000票ほどの“学会票”がある。それを有効活用するための手段でもあります」(前出・公明党の元国会議員)

「世間では“中間”と同義だと思われていますが…」

斉藤氏は前述の「公明党のサブチャンネル」でも、「中道」という言葉を何度も強調し、こう説明していた。

「中道というのは右と左の真ん中という意味ではありません。大きく、包み込む色々な意見がある中で、合意形成を図っていく(中略)。人間の幸せに焦点を当てた政治をしなくてはいけない。これが中道主義だと思っております」

斉藤氏がここまで「中道」と繰り返すのはなぜだろうか。

「実は、創価学会の池田大作名誉会長が公明党をつくった時に、『中道政治で行くんだ』ということをおっしゃっているんですよ。創価学会員はよく知っているんだけども、中道というのは、もともとお釈迦様の言った言葉とされる仏教用語です。世間では“中間”と同義だと思われていますが、内部では、斉藤氏が説明するように、相対立する両極端のどちらにも執着せず偏らない見識・行動と定義しています」(前出・公明党関係者)

信濃町駅付近にいた熱心な創価学会会員(50代・男性)もこう語る。

「イデオロギーじゃなくて、人間を中心とした、人々の幸せを実現するためのっていう意味での中道なんですよ。安保法制にしたって、我々は歯止めをかけたと思っていました。でも野党からすれば『なんで賛成してるんだよ』、自民党からすれば『何ブレーキ踏んでるんだよ』みたいな。どっちにも振れないっていうこともそうだと思うんですよね」

創価学会としても、「中道」という言葉には、特別な意味が込められているということだろう。昨年10月に公明党が連立を離脱し、自民党と決別した後、この「中道路線」を貫くという姿勢が前面に出てきていた。

「創価学会員の中には、イデオロギー的な側面の強い高市総理に対する警戒感もあったし、自公政権を続ける中で『これは人間の生活を根本とする“中道政治”とは離れていってしまっているのではないか』という想いが募っていた面があるのは事実です」(創価学会関係者)

「名前に“中道”を冠したことは池田大作名誉会長の遺志を継いだ流れ」

「今の公明党の斉藤鉄夫代表は、会合などでも『子供たちは未来からの使者であります』などと、池田語録にちなんだ言い回しをしていたこともあった。今回の新党の名前に“中道”を冠したことは、『池田大作名誉会長の遺志を継いだ流れの中にある』ということを印象づけ、学会員を鼓舞する効果もあると思います」(前出・公明党の元国会議員)

とはいえ、高市総理の「電撃解散」を受けて、急ごしらえで作られた政党である。公明党関係者からは「“中道”というあまり聞き慣れない党名が、短期決戦となる今回の選挙期間中に、どこまで国民に浸透するのか。池田先生の言葉だと言うわけにもいかないし……」という懸念の声も上がる。さらに、“選挙の顔”になるような人材にも乏しく、「地味すぎる」といった声は絶えない。

そして、この選挙戦で勝利しなければ、新党がいつまで続くかのも全く見通せない。

取材・文/河野嘉誠  集英社オンライン編集部ニュース班

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