「安全だと思ったのに…」子どもを膝に乗せてすべり台をすべるのは逆にNG!? 日本小児救急医学会が警鐘、日常に潜む幼児の重大リスク3選
「安全だと思ったのに…」子どもを膝に乗せてすべり台をすべるのは逆にNG!? 日本小児救急医学会が警鐘、日常に潜む幼児の重大リスク3選

2026年1月13日、日本小児救急医学会の公式Xに掲載された「大人の膝に滑り台を滑るのは、一見安全なようで、危険です」というポスト。一見、よくある公園での親子でのふれあいの風景だが、そこには重大なケガのリスクがあるという。

いったいなぜなのか。さらに「もっと危ない行為」とは? 日本小児救急医学会に取材した。

大人の体重で足がねじれて骨折する

2026年1月13日、日本小児救急医学会の公式Xが「大人の膝に滑り台を滑るのは、一見安全なようで、危険です」という内容をポストした。投稿には写真とともに「途中で足が側面や段差に引っかかると、大人の体重で足がねじれて骨折することがあります」とある。

これに対し、ユーザーの反応は「盲点だった」「自分が子どものころはそうやって滑っていたし、自分も子どもを膝に乗せて滑っていた」など、ケガのリスクがあること自体初めて知ったというものが多かった。

そこで、集英社オンラインは日本小児救急医学会に詳しく話を聞いた。日本小児救急医学会の担当医師は、良かれと思ってやっているこのような行為は重大事故を招く可能性があると語る。

「すべり台の階段から落ちたり、すべる前の場所から落下したりというリスクについては保護者の方も気を付けていらっしゃると思うのですが、保護者と一緒にすべるということは良かれと思って今までやっていた人が多いと思います。

しかし、膝の上に乗せていたとしても、幼児の足がすべり台の側面に引っかかるという事故が報告されています。引っかかった瞬間に保護者の体重が幼児に一気に加わってしまうことでスネの骨が折れてしまうリスクがあるのです。

Xの反応の中では、『じゃあこれからはちゃんと股の間に子どもの足を入れたらいいんだ』という意見がありましたが、それも誤りです。すべっている最中に足が飛び出てしまう可能性もあります。ですから、すべり台の場合は子どもが一人で滑ることができるようになるまでは利用を避けるべきです」

「ルームランナーによる事故は、皮膚移植を必要とするケガも」

次に担当者が挙げたのが家庭用ルームランナーである。ジムが乱立している昨今、家庭用ルームランナーの普及率はそこまで高くないものの、回転するベルトと床の間に子どもがはさまれる事故による報告が海外では上がっていると語る。

「家庭用ルームランナーの使用にあたり、巻き込みリスクについては気を付けていらっしゃる方が多いと思うのですが、どの程度のけがをするかという認識はそこまで高くないように思います。巻き込まれてしまった場合、深達性熱傷を伴う場合があるのです。

深達性熱傷とは皮膚の深部にまで損傷が及ぶ火傷のことです。ベルトの摩擦によって皮膚が深くえぐれてしまい、皮膚を移植する手術が必要になるという場合も少なくありません。アメリカでは『鏡を置いて幼児がどこにいるか把握できる環境下で使用してください』や『使用する際は部屋に鍵をかけて幼児が入ってこられないようにして使用してください』などの注意書きがされています。

はさまれることだけではなくて、はさまれた後にどのようなケガをして、どのような処置が必要になるのかという点でいえば、家庭用ルームランナーの危険性は的確には伝わっていないように感じます」

スーパーに潜む死亡事故リスク

スーパーやショッピングセンターなど使うカートは買い物客にとってすごく便利なものだ。
しかし、ここにも一歩を間違えると子どもの死亡事故につながるリスクがあるという。

「ショッピングカートも大きな事故につながるリスクがあります。こちらは保護者も危険性を理解して、椅子に座っているときに注意書きにあるような座り方をしたり、暴れないようにしたりという点には注意していらっしゃると思います。

しかし、椅子に座る対象年齢や体重について見落としていたり、子どもが座った状態でハンドル部分に重い荷物を保護者がかけてしまったり、子どもがふとカートのハンドル部分にぶら下がったりなどによって引き起こされる、カートがひっくりかえってしまうという事故が多いです。

そして、自分で操作できる乗り物への興味から『押してみたい』と保護者にせがんだ子どもが、感覚がわからずにスピードが出てしまったり、カートの重さで思うように操作できなかったりして壁や人にぶつかってしまうという事故の事例があります。特にぶら下がりの場合は死亡例も上がっています。

ショッピングカートにおける事故というと、子どもの座り方がなっていないんじゃないかという認識が一般的かと思いますが、椅子の制限重量を知らないうちにオーバーしてしまうことによる事故、少し大きくなった子どもが感覚がわからないまま操作してしまうことによって起こる事故というのも少なくないのです」

担当者はショッピングカートの危険性についてさらに念を押す。

「カートはすごく身近で大人としても便利なものです。しかし、あくまで“乗り物”です。一歩間違えると子どもの死亡事故につながるリスクがあります。ですから、重量についての記載を保護者がちゃんと確認すること。そして、ハンドル部分に何かをかける時にはその重さについても注意すること。そして、子ども単独で操作させないことを一般認識として広める必要があると思っています」

最後に、担当医師は今回のポストの作成経緯と日常生活の意外なところに潜む幼児の重大事故リスクについてまとめた。

「あまり知られていない、遊具でのケガについて、広く知っていただきたいというところから今回のポストを作成しました。例えば、ブランコから落ちてしまうケガのリスクなどは世間的に認知度は高いですし、なくすことは難しいでしょう。しかし、原因を分析することで予防策を練ることができる事故のリスクというのもあると思います。

良かれと思って子どもにしてあげていることや、一つの事故が招くケガの深刻さ、事故に気を付けていても、他にも注意が必要な意外な点など、実は日常生活はリスクであふれています。今回のポストを通じて、より保護者が子どものために適切な予防策を考え、より注意深く観察するようになってほしいと思います」

「良かれと思って…」「そこまで大きなケガではないだろう」ではなく、適切な予防策と保護者の観察を行うことによって、日常に潜む重大事故のリスクから子どもの健康と命を守る必要がある。

取材・文/集英社オンライン編集部

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