〈長寿番組打ち切りラッシュ〉テレビからバラエティが絶滅する? フジの分刻み戦略も1年で成果出ず終了へ…生き残りのカギは「生放送」か
〈長寿番組打ち切りラッシュ〉テレビからバラエティが絶滅する? フジの分刻み戦略も1年で成果出ず終了へ…生き残りのカギは「生放送」か

テレビが1年で最も動く春改編期、各局で番組の打ち切りや再編報道が相次いでいる。今回の「今週のトガりテレビ」では、テレビウォッチャーのノブユキ氏が、各局の動きを考察する。

めざましテレビ』放送枠を拡大も……

テレビが1年で最も華やかな年末年始が過ぎ、いよいよ春の改編期が近づいてきた。2026は各局生放送を重視したタイムテーブルになりそうだ。

なかでも、その動きが特に顕著なのがフジテレビだ。局内外を揺るがす騒動から1年が経とうとするなか、番組編成は大きな転換期を迎えている。

昨春、平日朝の情報番組『めざましテレビ』は放送時間を8時14分まで拡大。同時にワイドショー『サン!シャイン』がスタートしたが、わずか一年での終了が報じられている。

背景にあったのは、『めざましテレビ』から『めざまし8』へ切り替わる際に生じた視聴率の急落だ。NHKの『連続テレビ小説』(朝ドラ)や『あさイチ』への視聴者流出を防ぐため、番組刷新と分刻みの編成が試みられたものの、目論見は外れた形となった。

なお、この改編に伴い、『めざまし8』と『サン!シャイン』で司会を務めていた谷原章介は、平日朝から日曜朝へ移動。7時から9時までの2時間枠で、新たな情報番組を担当すると報じられている。

その余波で、19年続いたトーク番組『ボクらの時代』、そして30年以上にわたり政治討論枠を継承してきた『日曜報道THE PRIME』が終了することになった。

『ボクらの時代』に関しては、ジャンルを問わず各界の有名人が鼎談する、華やかさとゆったりした雰囲気が唯一無二のトーク番組であっただけに、終了を惜しむ声が多い。果たして新番組は、『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)、『シューイチ』(日本テレビ系)、『サンデーモーニング』(TBS系)といった情報番組が並ぶ時間帯で新たな視聴習慣を根付かせられるか。

また、谷原と平日の朝を共にしたカズレーザーは、火曜19時から21時まで2時間生放送のバラエティ番組の司会を務めるという。さらに、平日夕方の報道番組『Live News イット!』を3月末で降板予定の青井実アナウンサーが、土曜17時台で新たに始まる1時間枠の報道番組に起用されるとも。

TBSでは40年超えの長寿番組も終了

近年のフジは、生放送へのシフトを鮮明にしてきた。日曜夜の情報番組『Mr.サンデー』は2時間枠に拡大され、関西テレビ制作の平日午後ワイドショー『旬感LIVE とれたてっ!』のネットも開始。さらに、局内では大規模な組織改編が行なわれ、ジャンルを横断した制作体制へと移行している。

生まれ変わったフジの真価が、この春、問われることになる。

他局の動きはどうか。日本テレビでは土曜22時台の『with MUSIC』が終了。有働由美子と松下洸平が司会を務め、一昨年の番組スタート時は同局で久々となるプライムタイムのレギュラー音楽番組として注目を集めたが失速し、わずか2年で打ち切りとなる。

後番組として浮上しているのは、真裏となるNHKの『未解決事件』を担当し、近々フリーアナウンサーに転向予定の和久田麻由子がキャスターを務める報道番組だ。同時間帯の視聴率は『情報7daysニュースキャスター』(TBS)の独壇場。日テレが敢えて同じジャンルの番組で勝負に出る。

さらにTBSでは、日曜昼の生放送バラエティ『アッコにおまかせ!』が終了。

昨年秋に放送40周年を迎えて盛大に祝われたが、以前より区切りをつけようと考えていた司会の和田アキ子の意思により、この春で長寿番組に幕が下ろされる。

後枠には、上田晋也が司会の情報番組が始まると報じられた。上田は日テレで週末深夜のスポーツニュース番組『Going! Sports&News』のキャスターを務めているが、かつてTBSで土曜の早朝に放送された『上田晋也のサタデージャーナル』でもキャスター経験がある。

報道色の強い『サンデーモーニング』、バラエティ色の強い『サンデージャポン』が並ぶ縦のラインで、上田司会の番組がどのようなカラーを打ち出せるか。

こうした流れから見えてくるのは、テレビが「生放送」に活路を見出そうとしている現実だ。収録番組にはない「鮮度」、SNSを通じて多くの視聴者が一体となれる「臨場感」、何が起こるか分からない「ハプニング性」はテレビの強み。

ネットと差別化できるテレビ独自の強み

加えて、重大ニュースや災害発生時に「いつ報じるか」「どのように伝えるか」という点でも高い注目を集める。SNSなどの普及で誰もが発信できる時代にあって、情報の正確さでテレビは依然として優位性を保っている。オールドメディアと揶揄されがちなテレビ界にとっては、この強みでネット番組との差別化を狙いたいのかもしれない。

さらに今年はミラノ・コルティナ冬季オリンピックにサッカーの北中米ワールドカップ、TBSが独占中継する名古屋開催のアジア大会が控えている。スポーツのビッグイベントが重なる、いわば惑星直列のような年。野球のWBCこそNetflixに放映権を取られてしまったが、テレビが生放送の強みをより発揮できるチャンスになりそうだ。

かたやネットメディアでは、昨年「DOWNTOWN+(ダウンタウンプラス)」が鳴り物入りでサービスを開始したほか、Netflixでは『罵倒村』、Amazon Prime Videoでは『トモダチ100人よべるかな?』、U-NEXTでは『芸人キャノンボール2025』が人気を博した。

テレビ番組よりも予算や人員を投入でき、表現の自由度も高いサブスクならではのバラエティ番組が充実するようになった。

1月3日に放送されたトークバラエティ『令和ロマンの娯楽がたり』(テレビ朝日)では、今のお笑い界を分析して、5年後の未来を予測する一幕があった。バラエティ番組はサブスクに集約され、地上波はニュース・情報番組が増える――地上波テレビの未来は、その方向に近づいているのかもしれない。

文/ノブユキ

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