2026年の衆院選を前に、与野党再編の動きと連動して浮上したある経済政策が波紋を広げている。公明党と立憲民主党が結成した新党「中道改革連合」が公約に掲げた「ジャパンファンド」構想だ。
高市首相は満面の笑みで「すごく明るい気分になった。夢が持てた」と答弁
中道改革連合が2026年の衆院選で掲げるジャパンファンド構想は、国の保有する何百兆円もの資産を積極的に運用して新たな財源を生み出し、それを消費税減税などの財源に充てるというものだ。
一見、増税に頼らない「夢のある」話に聞こえるが、その原資として私たちの年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資金を含めて検討していることが明らかになり、「年金の流用ではないか」「現役世代が納めた保険料を高齢者へのバラマキに使うのか」といった批判が噴出している。
そもそもこのジャパンファンド構想は、公明党が昨年の参院選から重点政策として提唱してきたものである。現在、日本の公的部門が運用しているお金は総額650兆円を超えるとされるが、これらは省庁ごとの縦割り管理となっており、効率的な運用がなされていないと公明党は指摘する。
そこで、これらの資産を一元管理し、プロの投資家による積極的な運用を行うことで、新たな利益を生み出そうというのがこの構想の骨子だ。そのモデルとされているのが、厚生労働省所管のGPIFである。GPIFは過去24年間で年率4.51%の収益率を達成し、約180兆円の累積収益を上げてきた実績がある。
公明党は公式HPの中で、仮に500兆円規模の資産を運用し、年1%の利益が出れば5兆円の財源が生まれ、これは「消費税の軽減税率をゼロにするほどのインパクト」があると主張している。
この構想が具体的な政策論争の場に登場したのは、2025年11月11日の衆院予算委員会であった。公明党の政調会長である岡本三成議員は高市早苗首相に対し、ジャパンファンドの創設を提案。
その際、岡本議員は、
「日本が持っている厚生労働省の年金(積立金の)基金、財務省の外為特会、日銀のETFなどをジャパンファンドに運用委託し、全体最適の中で運用する」
と言及した。
これに対し高市首相は、「すごく明るい気分になった。夢が持てた」と笑顔で評価。5兆円規模の恒久財源が確保できた場合の使い道として、「例えば、食料品の消費税軽減税率をずっとゼロにするという手もある」と答弁した。
片山さつき財務大臣も「超党派の議員連盟が立ち上がるようで非常に期待している」と後押しする姿勢を見せた。
年が明けた2026年1月19日、公明党と立憲民主党が合流して設立された新党「中道改革連合」は、基本政策発表会見において、このジャパンファンド構想を正式に公約として掲げた。
基本政策には、「政府系ファンド(ジャパン・ファンド)の創設や基金の活用などによる財源確保と、食料品消費税ゼロ」が明記された。岡本政調会長は会見で、GPIFのノウハウを活用することで安定的なリターンを生み出し、「増税に頼らない『令和の財政改革』を実現する」と強調した。
「流用」「泥棒」とSNSで非難殺到、公明党側は「デマが飛び交っている」
しかし、この発表直後から、ネット上では厳しい批判の声が上がり始めた。批判の核心は、年金積立金という「使途が限定された資金」から生じる利益を、消費税減税という「一般財源」の代替として使うことへの是非にある。
SNS上では、「現役世代が積み立てたお金を運用するGPIFが出した利益を、高齢者に恩恵の大きい消費税減税の財源に流用するのか」といった指摘が相次いだ。消費税の減税は全世代に恩恵があるとはいえ、その原資となる運用益を生み出している元本は、現役世代が負担した年金保険料である。
「GPIFの運用で得た余剰金は年金保険料の削減に使うのが筋。
こうした批判を受け、公明党のいさ進一氏(元衆議院議員)は1月21日、自身のYouTubeチャンネルで「デマが飛び交っている」と釈明を行なった。
いさ氏は、「年金を取り崩して財源に充てるわけではない」と強調した上で、次のようなロジックを展開した。
GPIFの運用利回りは年4.51%と好調だが、もともとの運用の目標は「賃金上昇分」の確保であり、この賃金上昇分以上に増えた利益については、年金以外の使い道を議論しても良いのではないかという主張である。
また、いさ氏は、年金の基金は現段階ではあくまで資金の候補の一つであるという考えを示した。
しかし、これに関しては国会答弁と矛盾するとSNSで指摘されている。また、「投資元本は使わず、利益の一部を使う」という説明は、批判派が指摘する「流用」の本質的な問題に対する回答にはなっていない。
「利益が出ているなら使ってもいいではないか」という意見もあるかもしれない。しかし、年金制度の仕組みと法律に照らすと、この主張には重大な問題がある。
第一に、法律上の目的外使用にあたる可能性がある点だ。厚生年金保険法第79条の2には、積立金の運用は「専ら被保険者の利益のために」行うものと明記されている。
第二に、「過剰な利益」という認識の誤りである。いさ氏は「賃金上昇分だけ確保できればよい」という考えもあると言及したが、GPIFの積立金は、少子高齢化で現役世代が減少する将来において、給付財源の不足分を補うための「備え」である。現在の運用益は、将来の現役世代の負担が重くなりすぎないようにするための貴重な原資であり、いま余裕があるからといって別の用途に使ってしまえば、将来の不足時にそのツケが回ってくることになる。
現役世代が納めた年金保険料の「果実」を奪う行為
また、GPIFは超長期の視点で運用を行っており、短期的には大きな損失が出るリスクも常に抱えている。過去の利益を「余剰」とみなして別財布に移してしまえば、将来の市場暴落時にクッションとなる資金が不足する恐れがある。
GPIFも「市場の一時的な変動による短期的なリスク」ではなく「長期的な収益が得られないリスク」を重視しており、一時的な好調を理由に資金を抜き取ることは、この長期的な安定性を損なう行為である。
ジャパンファンド構想において、GPIFのノウハウを活用すること自体は議論の余地があるかもしれない。しかし、その運用益を年金財政の外に持ち出し、消費税減税などの別財源に充てることは、現役世代が納めた保険料の「果実」を奪うことに他ならない。
公明党のいさ進一氏は、自身のXで「年金に必要な分は戻し、大きな規模で運用した余剰を減税に回す」と説明する。
しかしこれは運用益もまた元本が生み出した被保険者の資産であるという事実を覆い隠すものである。
運用が好調で想定以上の利益が出たのであれば、それは将来の年金給付水準の向上や、保険料負担の抑制に還元されるのが筋である。政治家が選挙目当ての政策財源として、年金の財布に手を付けることは、「流用」との批判を免れないだろう。
取材・文/集英社オンライン編集部

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