「『日本語ワカラナイ』で逃げる白タク「中国語で怒鳴られ、ひかれかけた」…成田・羽田で横行する外国人違法ハイヤー、現場警備員の悲鳴
「『日本語ワカラナイ』で逃げる白タク「中国語で怒鳴られ、ひかれかけた」…成田・羽田で横行する外国人違法ハイヤー、現場警備員の悲鳴

金子恭之国土交通大臣は20日の会見で、2025年の訪日観光客が過去最多となる4270万人にのぼると発表した。そんななか、海外からの玄関口となる成田空港や羽田空港では違法客引きを巡るトラブルが多発している。

「中国人が運転する違法ハイヤーにひかれそうになった!」と明かす交通誘導警備員などに話を聞いた。

記者の目の前で行なわれた「違法客引き」の一部始終

台湾有事を巡る高市首相の国会答弁の影響もあり、成田国際空港(NAA)における昨年12月1日から20日までの中国線旅客便発着回数は前年同期比で13%減少していることがわかった。

そうは言うものの、ANAやエアージャパンなどの旅客便が到着する第1ターミナルやJAL便が到着する第2ターミナルは、今でも訪日観光客で溢れかえっている。成田国際空港のエアポートタクシーを誘導する警備員は言う。

「訪日観光客の到着が最も多いのは木曜と金曜ですね。昨年から新年にかけて、違法ハイヤーの問題がテレビに出たりニュース記事になったりしましたけど、なーんにも変わってないですよ。空港内で声かけてターミナル前の駐車場まで連れてっちゃうケースもある」

この警備員が話すように、近年、国内の空港における無認可タクシー「白タク」や空港内で違法に客引き行為をする「違法ハイヤー」の横行が問題となっている。無許可で客引きやタクシー営業を行なう彼らの多くは在日中国人で、訪日客をターゲットにしているというのだ。

記者が到着ロビーの様子を見張っていると、観光客を待つツアー会社の添乗員以外に、白いワイシャツに黒いジャケットを羽織りイヤフォンを耳につけた男性や、iPadを持った男性が到着ロビーをウロウロしている様子がすぐに見てとれた。iPadを持った男性は中東系の夫婦に声をかけていた。

「Where are you going?(どこに行くのですか?)」

中東系夫婦の夫が「シンジュク」と答えると、そのiPadを持った男性は「I can go to Shinjuku for 28,000 yen(28,000円で新宿に行けますよ)」と言い、iPadに入力した画面を見せている(ちなみに正規のエアポートタクシーのHPによると東京23区~成田空港の料金は22700円である)。

夫が「OK」と言うと交渉成立したようで、iPadを持った男性はそのままターミナル前の駐車場まで夫婦を誘導していた。

そこは一般車が停める駐車場で、ハイヤーの停留場ではない。

しかも車は事業用車両を示す緑ナンバーではなく白ナンバーのワンボックスカーで、一般車両、つまり白タクだった。

成田空港では「白タク禁止」と大きく看板を出しており、一部報道では「撲滅された」とも報じられている。しかし実際には、いまだ白タクは横行しているようだ。

警察が来たらすーっといなくなるか「日本語ワカラナイ」

成田空港で10年以上、タクシー営業をする運転手に話を聞いた。

「一般車両のレーンには白タクだけでなく、緑ナンバーの黒いハイヤーがズラッと並んで占拠してるんですよ。野田とか成田とか、なかには足立ナンバーも多いね。

運転手は車内で待機してて、警察が来たらすーっといなくなるか『日本語ワカラナイ』などと誤魔化して、到着ロビー内で客引きをしてる人とグルになっている。私らはタクシーレーンでお客様が来るのを待つだけだから、まさに目の前でお客さんを取られてるようなもんですよ」

別の警備員も「成田国際空港警察署の方も毎日のように巡回してますけど、その目をかいくぐって空港内で客引きしてるわけですから。こっちは止めようがないです。NAAが動いてくれなきゃ」と困惑していた。

成田国際空港株式会社に問い合わせると、以下のような回答があった。

「昨年10月に『成田国際空港における白タク行為に係る対策会議』が開催され、千葉運輸支局、成田国際空港署等関係機関と意見交換を行い、関係機関がそれぞれの立場で白タク行為への対策を講じていくことを確認しました。

当社においては、白タク対策・ハイヤーの客引き対策として、第1ターミナル・第2ターミナルの1階一般車乗降レーンにおいて警備員による警戒・監視およびチラシ等の配布による注意喚起を実施しているところであり、引き続き関係機関と協力して対応してまいります」

「違法のハイヤーにひかれかけましたよ」

いっぽう、2024年度の国際線旅客数が2382万人を超え、大幅な増加を示している東京国際空港(羽田空港、TIAT)の状況はどうか。国際線が発着する第3ターミナルを訪れ、タクシー乗り場前のベンチに疲弊した顔で休憩する女性警備員に声をかけた。

一瞬迷惑そうな顔をしたが「違法ハイヤーのことで…」と言うと、ここぞとばかりに「この前、違法のハイヤーにひかれかけましたよ」とまくし立てた。

「タクシー乗り場の先の路肩に客引きハイヤーがズラッと待機してるんですよ。『ここに停めちゃダメ』と大きな声で注意すると、向こうも中国語で『ビーズイ!(黙れ)』と口答えするばかりか、目の前までギュンっと急発進して『どけ!』と言わんばかりに脅してきたこともあります。

運転手や客引きの人が何人かなんてわからないけど、中国語で怒鳴ってくることが多いように思うから、やはり中国系の方なんでしょうかね。かなり悪質です」

到着ロビーには、成田空港と同様にイヤフォンをつけてiPadを持った男性らがあちこちにおり、客引きの様子を車内で待機するハイヤー運転手とやりとりしている様子がうかがえる。数名に声をかけたが、舌打ちをして去るか無視をするなどかなり横柄な態度だった。

先ほどの女性警備員によると「昼間もいるけど夕方から夜になるとすごく増える」とのことで、確かに夕方は到着便も多く路肩に停めているハイヤーも多く見られた。

東京国際空港にも問い合わせると、成田と同様の見解を示した。

「到着ロビーには注意喚起の看板を設置しています。看板には客引き行為が禁止されていることを記載し、違法な声掛けを行う車両に乗車するとトラブルに巻き込まれる可能性があることを周知しております。客引き行為は外国人旅客に対して行われているため、旅客向けの注意喚起は英語・中国語のみにしております。

なお、客引き行為は、道路運送法違反にも絡むほか、カーブサイド(ターミナル前乗降場)の違法駐車や周辺道路混雑問題に直結していることから、監督官庁である国土交通省・ 関東運輸局、東京空港事務所、並びに東京空港警察署等と連携し、引き続き撲滅を目指して参ります」

東京国際空港は「ここ最近は関東運輸局や空港警察の取り締まりの効果もあり、確実に減ってきていると思われます」と話すが、現場の声を聞けば「注意はしているが、減りもしない」という状況であることは明らかだ。

中国のSNSには「事業用車両の緑ナンバーの車を貸し出す」という投稿も…

上海在住の観光ライターは言う。

「先日、こちらでも日本の空港で中国人による違法ハイヤー集団が多発しているというニュースをテレビで見ました。でも中国人の誰もが見るSNS『小紅書』とかTikTokから日本の空港でのタクシーが予約できちゃうからね。

観光客からしてみたら悪いことだなんて思ってない。むしろ中国語が話せるから便利だとすら思ってる。美味しい店や流行の店も教えてくれるとの謳い文句もあり、そりゃ使うでしょうという感じです」

また、このライターは『小紅書』で日本の事業用車両の緑ナンバーの車を貸し出す内容の投稿も見たという。

「去年のいつだったか、緑ナンバーの車を借りたい人は連絡くださいといった投稿を見ました。いま探してももう出てこないんですけど、確かに見ました」

昨年8月に国土交通省で開かれた会見では中野洋昌大臣もこの事態を把握しているとし、「(緑ナンバーの)名義貸しは道路運送法違反に当たる」としながら「事実関係をしっかり精査し厳正に対処していく」と述べていた。

危険な目に遭いながらも現場で必死に対応する職員と、撲滅を目指すという空港。この問題が解決される日はくるのだろうか。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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