〈中道大混乱〉「池田大作先生の政治論を読ませて頂いた…」学会票にすがる野田代表と「原発について答えろ!」“共産・社民支持者”に詰められタジタジの立憲議員〈集会ルポ〉
〈中道大混乱〉「池田大作先生の政治論を読ませて頂いた…」学会票にすがる野田代表と「原発について答えろ!」“共産・社民支持者”に詰められタジタジの立憲議員〈集会ルポ〉

共同通信が行なった1月の世論調査において、新党「中道改革連合」の政党支持率は10.1ポイントで、自民党(30.1)の3分の1程度だった。中道が掲げる「現実路線」の政策を巡り、これまで立憲候補を野党共闘路線で独自応援してきた共産党や社民党の関係者からは、反発の声もあがっている――。

次世代ホープの筆頭格も悩む「中道」政治のジレンマ

「(公明党の機関誌である)公明新聞で池田大作先生の中道政治論を読ませていただいた」

1月23日に、公明党の両院議員総会に出席した中道改革連合の野田佳彦共同代表はこう述べ、「世界の中で中道政治が間違いなく必要」と力説した。

党名にもなった“中道”は、創価学会の池田大作名誉会長がたびたび言及してきた言葉。野田氏がわざわざ池田氏の名前に言及したのは、創価学会からの支援を確かなものにしたい気持ちもあるのだろう。

とはいえ、こうした姿勢が功を奏するかは未だ不透明だ。中道の結党には、これまで野党共闘路線で立憲候補を支援するケースもあった社民党や共産党などが反発しているからだ。

「リベラル層の中には、公明主導ともいわれる中道の基本政策を受け入れがたいと感じる人も少なくない。条件付きながら、原発再稼働を容認したり、平和安保法制を一部合憲と認めたりする内容だからです。

沖縄の米軍普天間基地の名護市辺野古への移設を巡っても、立憲は反対を唱えてきたのに対し、公明は『抑止力として必要』と支持してきた経緯があり、中道の方向性は揺れている。政策面でのすりあわせは大きな課題です」(野党関係者)

中道の基本方針に合わせつつ、これまでの支援者もつなぎとめないといけない――。選挙の現実と政治理念の間で、ジレンマに悩まされている候補者もいる。その一人が、立憲で代表代行も務めた吉田はるみ氏(54)である。

「立憲では2024年の代表選に出馬し、その後は当選2回ながら代表代行を務めるなど、次世代ホープの筆頭格です。

外資系航空会社の客室乗務員や経営コンサルタントなどを経て政界入りしたものの、3度の落選を経験。

その後、粘り強い活動が実を結び、2021年の衆院選で東京8区(杉並区)から出馬すると、石原伸晃元幹事長を破り、初当選した。昨年の衆院選でも、小選挙区で勝利しています」(野党関係者)

ただ、今回は状況がこれまでと異なる。吉田氏は、野党共闘で、共産党や社民党支持者の実質的な支援を受けてきたが、両党とも政党としては、中道は応援できないという姿勢になっているからだ。

中道への応援は…共産党や社民党支持者の本音

「吉田氏が難しい立場にあるのは否めません。1月23日に中道改革連合のYouTubeチャンネルで公開された動画で、吉田氏は、公明党出身の伊佐進一氏と対談。

その中で伊佐氏は中道の基本政策について『私はこれに賛成じゃないですとか、とにかくまず中道でやるけど当選したら違うこと言いますとか言うのはやめてほしい』と発言。

これに対し吉田氏は『ある意味、ウイングの広い、寛容なところは必要。ただ、選挙互助会なんて言われたら、それはいかん』と応じていました。

党のガバナンスは重要ですが、急な新党結党だっただけに、多様な意見を受け入れる素地がないと、現実論として、まとまっていかないということでしょう」(前出・野党関係者)

集英社オンラインの記者は、1月24日に阿佐ヶ谷地域区民センターで行われ、吉田氏がゲストとして招かれた集会を取材。

主宰は「政治を変える8区」。これまで野党共闘路線で、吉田氏を応援してきた社民党や共産党の関係者などが集まっていた。

集会ではまず、社民党の地元関係者から、中道の玉虫色的な政策を問題視し、問うとしては支援しない方針だという説明がなされた。

その一方で、「杉並では吉田さんを応援したいということを社民党に言いました」とし、その理由として「8区の会で掲げている10の項目、これを本当に守ってやっていこうと約束された」ことを挙げた。

10の項目の中には、「原発ゼロの一日も早い実現で、エネルギー・気候対策を転換します」や「安保法制は、立憲主義および憲法の平和主義に基づき、違憲部分は廃止する等、措置を講じます」「民意を反映した地方自治を推進します。沖縄ごとを自分ごとに」といった内容が含まれている。

一方、中道の基本政策は、「将来的に原発に依存しない社会を目指しつつ、安全性が確実に確認され、実効性のある避難計画があり、地元の合意が得られた原発の再稼働」や「平和安全法制が定める存立危機事態における自国防衛のための自衛権行使は合憲」といった内容。

「10の項目」と、トーンがやや異なっている面は否めないだろう。

社民党関係者に続いてマイクを握ったのは、共産党の地元責任者だ。

「今回、吉田さんが中道改革連合に入られるという選択をしたことを、とても残念に思っています」と語り、今回の東京8区については「自主支援、自主投票」になったと明かした。

その次に登壇した吉田氏は、「私は立憲民主党で次の総選挙を戦うんだと思ってきました(中略)苦しい苦しい決断でございました」と気持ちを吐露した。それでも、高市政権と対峙するために、自身への支持を呼びかけた。

集会後、吉田氏を直撃「野党側が分断されてはならない」

次の予定があるため、吉田氏が会場を後にしようとすると、「何のための会なんだ」「原発について答えろ」などとヤジが飛び、急遽、質疑応答の時間が設けられた。

吉田氏は質疑応答の中で、「(原発は)当たり前ですけれども、新設は認めません。そして、再生可能エネルギーの最大活用と、将来的に原発へ依存しない社会、つまり原発のない社会を目指すということできちんと確認をしております」などと説明。

その後も、会場からの多数の質問に答え続けた。

集会後、集英社オンラインの記者が直撃すると、吉田氏はこう語った。

「今日の会場から出てくる時にも言われたのが、選択的夫婦別姓とか同性婚といった政策をむしろ実現してほしいということです。憲法の一番大事なところ、やっぱりそういう大きい視点というところを大事にしながら(やっていきたい)。

高市政権の今回の奇襲的な衆院選のやり方に対して、野党側が分断されてはならない。そこはしっかり戦っていかなきゃいけないと思っています」

高市政権が仕掛けた「大義なき解散」の結果、生まれた中道だが、内部には大きなハレーションを抱えている。

果たして、これまでの野党共闘路線とは異なったかたちでの“大きなかたまり”をつくる試みは、うまくいくのか。候補者たちには、超短期決戦の中で、粘り強い説明が強いられている。

取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班

編集部おすすめ