「日本を統一教会トップに仕える国に」衝撃の教団文書によると高市首相も籠絡のターゲットに…中道の野田代表に“接触”した疑惑の写真も入手
「日本を統一教会トップに仕える国に」衝撃の教団文書によると高市首相も籠絡のターゲットに…中道の野田代表に“接触”した疑惑の写真も入手

旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の政界工作が書かれた教団内部文書に、自民党議員に具体的な口利きを頼んだ記述があることが分かった。政治家との「ギブアンドテイクの関係」を築くノウハウを積んできた教団は非自民党の政治家にも接触し、故安倍晋三氏が首相を退任した後は高市早苗氏の首相就任を願った。

そして、多くの政治家に近づいたのは、日本を教団トップに仕える国家体制にする目的だったことをうかがわせる記述まであった。教団は一体、日本で何をしてきたのか――。

「ギブアンドテイクの関係性は非常に刺激的だった」

集英社オンラインが入手したのは「TM特別報告」と題された3212ページの文書。これは、韓国での贈賄工作などで逮捕・起訴された韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁に対し、日本教団の会長を務めた徳野英治氏らが2016年ごろから23年4月までに送った報告が整理されている。

韓総裁への捜査で韓国特別検察が入手し、一部は公判に証拠として提出している。

集英社オンラインが翻訳すると、参議院選挙を控えた2019年7月2日に徳野氏が自民党本部で安倍首相(当時)と党幹事長代行だった萩生田光一氏に面談したことなど、政界工作の記述が確認された。(♯1)

具体的な口利き依頼はこの面談の約3週間後の同年7月24日のことだ。「安倍首相から直接依頼を受け、今回選挙でも応援し当選した」と徳野氏がみなす自民党の北村経夫議員が、応援に対する礼を伝えるため教団本部を訪問した時に行なったと書かれている。

その場で徳野氏は北村氏に対し、安倍政権と韓総裁とのパイプ役となることや日韓関係改善に努力することを要請。さらに北村氏が産経新聞政治部長出身であることからメディアと教団とのパイプ役を務めてほしいと求めた。報告書にはこうある。

〈そのメディアパイプを通じ私たちが東京ドームで大会を開催できるよう交渉してほしいともお願いしました。東京ドームは空きがなく遺憾ながら最近は私たち統一グループに否定的で積極的に貸してくれようとはしません。

それを打破し近い将来に東京ドームに韓鶴子総裁をお迎えする大会を開催したく、どうかパイプ役をしてくれとお願いをしました〉

この要請が事実かどうか、また東京ドーム側に教団の使用を求めたことがあるのか、北村議員に質問を送ったが回答はなかった。

このような政治家への接近では日本教団の“技術”は韓国より優れていると自慢する報告を、徳野氏は2018年12月に送っている。

当時の書信では、韓国から訪日した信者らに、政治家に近づいて後援会をつくったり教育したりする方法や、政治家に教団イベントでスピーチをさせたり修練会に参加させたりするやり方を教えたことが記されている。

そして韓国の信者からは、

〈そうしたギブアンドテイクの関係性はまだ韓国では模索中で確立されていないため非常に刺激的だった〉

との反応を得たというのだ。

野田佳彦元氏にも教団との接触が浮上

さらに取り込みを図った政治家は自民党だけではないこともうかがえる。

2019年1月28日の報告では、教団関連団体「天宙平和連合(UPF)」日本支部議長だった梶栗正義氏が同日に野田佳彦元首相(現中道改革連合共同代表)と会い、同年2月に開催予定だった韓国での教団イベントへの参加を求めたと書かれてある。

野田氏に事実かどうかをたずねると、秘書を通じ1月26日夕方に回答があった。

〈(問題の日や前後に)梶栗氏と会ったことがあるかどうかという点につきまして、当時の事務所の記録など確認しましたが、そのような記載はなく、また、野田自身も心当たりはないとのことです。

また、その他過去に旧統一教会との間に選挙支援、行事参加等の関係があったような事実はありません。〉(野田氏事務所)

ただその前日の25日夜には、野田氏が2001年に「佳勝会発足式」と銘打った会合で教団幹部と並んだ場面とされる写真が報じられた。政界関係者は「佳勝会の“勝”の字は統一教会の政治組織『国際勝共連合』を意味している可能性がある」と指摘する。

集英社オンラインも入手したこの写真について野田氏は、26日午前、記者団に「まったく覚えていない。調べたい」とだけ述べた。

さらに教団は2021年9月に韓国で開いたUPFのイベントに大物政治家を呼ぼうと画策。梶栗氏は野田氏や福田康夫元首相、鳩山由紀夫元首相に何度もアプローチしスピーチを打診したものの、

〈社会的評価を心配し私たち(教団)との関係が世間に出ることを恐れ、スピーチを断られてきました〉(2021年9月8日)

と報告している。

ところが首相経験者のなかで安倍晋三氏だけはこのUPFイベントにオンラインで登壇。これが後の安倍氏銃撃事件を引き起こすことになった。

2022年7月8日、安倍氏は奈良市で選挙応援演説中に手製の銃で撃たれ死亡。今年1月21日に一審で殺人罪などで無期懲役の判決を受けた山上徹也被告(45)は、母親の多額献金で家庭を崩壊させた教団の韓総裁を狙ったが、演説動画を見て安倍氏に標的を変えたと供述した。

TM特別報告に32回登場する高市早苗の名前

有力政治家を味方にして教団は何をしようとしたのか。その目的がうかがえる徳野氏の考察報告がある。

2021年10月、秋篠宮家眞子さまの結婚を「皇室の伝統を根底から破壊するもの」と断じながら、徳野氏はこう伝えていた。

〈日本国民が真の御父母様(教団創始者の文鮮明氏と韓総裁)にお仕えできる日本国民になるためには当然天皇制は将来撤廃されなければなりません。したがって今回の女性皇族の結婚問題を通じ、少しずつその伝統が崩れつつあることも摂理的な現象かもしれないという印象を持ちました。

(中略)より自然な形で天皇制が撤廃される方向に進み、そしていつか日本国民が真の御父母様にきちんとお仕えできる国家体制、そしてそのような日本民族を真の御父母様に結びつけられる摂理的な人物として多くの国会議員が誕生したり、二世をはじめとする食口(信者)が国会議員となり、そして最後にはこの日本国の首相にならなければだめだと切実に考えております〉(2021年10月6日、文章の乱れは原文のまま)

こうした思惑を持った徳野氏らは、首相在任中だけで4回会えたとする安倍氏の「次」を探し始める。

菅義偉政権の終焉時から目をつけたのが、現首相の高市早苗氏だ。

〈安倍前首相がわれわれと近いという観点から見れば高市氏が自民党総裁になることが天の最大の望みだと解釈することもできます〉(2021年9月27日徳野氏)

TM特別報告には高市氏の名が32回登場する。報告は23年4月で途切れ、教団が高市氏本人と会ったとの内容は出てこないが、高市氏の最側近である佐藤啓官房副長官(参議院議員)の選挙を応援したことが書かれている。

22年8月7日、安倍首相が撃たれた時に応援演説していたのが佐藤氏だ。そしてこの事件直前、教団は現場近くで佐藤氏の応援集会を開いており、そこに佐藤氏の代理として妻が参加していたのだ。

この事実を認めた佐藤氏は「集会が開催された経緯は承知しておりません」と主張し教団が自分を応援した理由を説明していない。(♯2)

日本を韓鶴子総裁に仕える国に変える――。教団日本組織の最高幹部がそんな目標を持っていたことが分かった以上、接近を許した政治家は付き合いの全容を明らかにするべきではないのか。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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