「やめろ!」怒号に警察出動…高市自民・維新“新連立”初日の秋葉原で場外乱闘…「裏金いつまで言ってんの?」「税金下げて」の声も
「やめろ!」怒号に警察出動…高市自民・維新“新連立”初日の秋葉原で場外乱闘…「裏金いつまで言ってんの?」「税金下げて」の声も

2026年1月27日、運命の衆院選が公示された。東京・秋葉原駅前には、時代の目撃者とならんとする群衆が押し寄せたが、そこにあったのは単なる熱狂ではなく、怒号と期待、そして冷ややかな視線が交錯する混沌とした光景だった。

「やめろ!」響く怒号、警察出動の波乱

1月27日午前10時、自民党の聖地・秋葉原。しかし、今年の景色はこれまでの選挙戦とは決定的に異なっていた。

選挙カーの上に並んだのは、自民党の高市早苗総裁(首相)と、日本維新の会の吉村洋文代表、藤田文武共同代表である。長年続いた「自公連立」が決裂し、新たに組まれた「自民・維新連立」という歴史的な枠組みでの第一声となった。

しかし、高市首相がマイクを握った直後、その空気は一変した。駅前ロータリーの一角から、割れんばかりの「やめろ!」という怒号が響き渡ったのだ。声の主は、フードを深くかぶり黒マスクをした男性。手にはメガホンが握られていた。

現場は騒然とした。すぐさまボランティアスタッフと思われる男性が「通報」と赤字で書かれたパネルを掲げて制止を試みるが、男の勢いは止まらない。高市氏が演説を続ける中、ヤジと怒号が飛び交う攻防は約10分間にも及び、最終的には警備にあたっていた警察官が男を連行する事態となった。

まさに「場外乱闘」とも言える波乱の幕開け。裏金問題への批判が未だ燻る中での船出を象徴するような一幕だった。

この日、注目を集めたのは高市首相だけではない。連立パートナーとして登壇した日本維新の会の振る舞いにも視線が注がれた。

「自民党と組んだ政党は埋没する」――世間の懸念を打ち消すように、維新の吉村代表は力強く断言した。「我々は絶対に逃げない。高市さんを孤立させない」。

吉村氏は、従来の自公関係を「予算に賛成するだけの無責任な関係」と批判し、維新こそが高市政権の改革を進める「エンジン・推進力」になると強調してみせた。

 しかし、その勇ましい言葉とは裏腹に、聴衆の目にはある「現実」が焼き付けられた。維新幹部の演説時間は、藤田氏と吉村氏を合わせてもわずか約11分で終了したのである。対照的に、その後の高市首相のマイクパフォーマンスは26分間強にも及んだ。

タイトルにあるような疑惑や批判を跳ね返すかのように「逃げない」と宣言した維新だが、選挙戦の主導権がどちらにあるのか、その時間配分が如実に物語っているようにも見えた。

事実、演説を聞いた20歳の男子学生はこう漏らしている。「維新の方は演説も短くて、政策があんまり見えなかったですね。

連立は組んだけど維新自体の支持率はそんなに伸びてないし、これから議席に関わってくるんで大丈夫かな、とは思います」。

「過半数割れなら辞任」高市首相の背水の陣

維新の短い「前座」の後、高市首相は26分間の独演で独自色を前面に押し出した。「責任ある積極財政」を掲げ、植物工場や核融合炉、宇宙産業への投資など、「危機管理」と「成長」をセットにした政策を熱弁した。

さらに、維新との連携によって長年の悲願であった「国旗損壊罪」の提出が可能になったことなど、保守・改革色の強まりをアピール。そして演説の終盤、高市氏は声を張り上げた。

「自民党と日本維新の会で過半数を取れなければ、私は内閣総理大臣を辞める」

現在の不安定な少数与党では政策が進まないとし、自らの進退を懸けて信任を求めたのだ。

この「背水の陣」は、聴衆にどう響いたのか。現場の声からは、政治家の熱気とは異なる、有権者の冷静でシビアな現実が見えてきた。

例えば、メディアや野党が追及を続ける「政治とカネ」の問題については秋葉原に集まった若者たちの反応は冷ややかだ。前出の20歳男子学生がいう。

「裏金問題については、正直『いつまでやってんのかな』って思いますね。選挙のたびに裏金、裏金って。結局何が問題だったのか、根本的な原因が明るみに出ないまま、ただ批判ばっかり続いているのはどうなのかなと」

彼は、野党の姿勢についても厳しい。

「野党、特に立憲とか中道に関しては、何がしたいのかイマイチ分からないですね。くっついちゃって、憲法観とかも結構矛盾してるし、『どっちに行きたいの?』って感じで」と切り捨て、むしろ経済対策や政策のスピード感を重視して自民党を見ているという。

「税金下げて」生活の悲鳴

一方、切実な生活防衛の声を上げる若者も目立った。新潟から観光で訪れ、たまたま演説を聞いたという24歳の社会人男性は、高市氏への期待を寄せつつも、その関心は「税金」にある。

「気になるのは税金面ですね。働き始めたので、どんどん税金が高くなっていったら生活がしにくくなるなど実感していますから。日本人の手取りなんて上がる気配がないので、生活のしやすさという点からも税金下げてほしいです」

現地にいた19歳の女子学生も同様だ。「来年頑張ってほしいなと思うのはやっぱり税金のことですね。自分たちの生活に直接影響するところなので」と語る。彼女は、高市内閣のガソリン税への対応の早さを評価し、「期待は持てますよね。スピード感といいますか」と、具体的な生活支援への即応力を評価基準に挙げている。

一方、古くからの自民党支持層にとっては、今回の「維新との連立」はどう映っているのか。

32歳の主婦は、5年前の総裁選から高市氏を応援してきたという筋金入りの支持者だ。彼女は、連立相手が公明党から維新に変わったことについて、むしろ歓迎の意を示した。

「公明党さんは中国寄りのイメージがあってまだ期待できないので。(維新と組むのは)公明党さんよりは『まあまあ』って感じです(笑)」

彼女が期待するのは、国レベルでの「治安」と「経済」だ。「高市さんに一番期待しているのは、外国人政策というか治安の面ですね。やっぱり早めに手をつけないと取り返しがつかないことになるんじゃないかと思って」と語り、強いリーダーシップを求めている。

ヤジと怒号、そして「裏金」「税金」へのさまざまな思いが交錯した高市・維新連立政権の船出。

現場で聞かれたのは、スキャンダル追及に明け暮れる国会への飽きと、自身の生活に直結する経済・税制への切実な要求だった。ヤジで騒然となった現場を「面白かった」「なるほど、やるんだ」と冷めた目で見る若者たち。彼らの関心は、政治家のパフォーマンスではなく、「誰が手取りを増やしてくれるのか」「誰が安全を守ってくれるのか」という一点に集約されているようだ。

「過半数割れなら辞任」という重い条件を自ら背負った高市首相。そして、「逃げない」と言いつつも影の薄さが否めない維新。

この新たな連立政権は、国民の「生活の不安」という壁を突破できるのか。12日間の激戦の火蓋が、今切って落とされた。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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