「誰かがすべった跡があったから、行けると思った」。新潟県南魚沼市のスキー場で2026年1月、コース外を滑走した外国人客が遭難する事故が起きた。
スキー場には多くの外国人観光客が訪れているが、ルールを逸脱した「コース外滑走」によるトラブルが頻発している。現場の警察やスキー場への取材からは毎週のように繰り返される救出劇と、意図的な立ち入りに対する苦悩が浮き彫りになった。
中国籍の観光客が5人、台湾出身の者1人がコースを外れ遭難
「中国人の友人が遭難したようだ」
1月25日午後2時47分に1本の110番通報が入った。通報者は遭難した当事者ではなく、相談を受けた知人だった。場所は新潟県南魚沼市の六日町八海山スキー場。コースとして管理されていないエリアに、迷い込んでしまったという。
同署によると、遭難していたのは30代から40代の男性6人。内訳は中国籍の外国人観光客が5人、台湾出身の者1人だった。奇妙なことに、彼らはもともと6人のグループだったわけではない。3人組のグループと、それぞれ単独ですべっていた3人が、コース外の同じ場所で偶然鉢合わせ、身動きが取れなくなって「6人の遭難者」となったのだ。
通報時点ですでに夕刻が迫っていた。冬山での夜間捜索は、救助隊にとっても二次遭難のリスクが高いため、警察は非情とも言える判断を下さざるを得なかった。
「今夜はもう山には入れない。そこで一泊しなさい」
警察は電話を通じ、雪に穴を掘って風雪をしのぐ「ビバーク」を指示した。6人は雪山の中で恐怖の一夜を過ごすことになった。
翌26日午前6時半、警察5人、消防6人、さらにスキー場パトロール隊を加えた捜索隊が出動した。午前8時40分に6人と接触した。
幸い全員にけがはなく、自力歩行が可能だったため、捜索隊が雪道を踏み固めて誘導し、午前11時54分、全員が徒歩で下山した。
なぜ彼らはコース外へ飛び出したのか。救助後の聴取に対し、彼らは異口同音にこう主張したという。
「誰かがすべった跡があったので、行けると思って行った」
「コース外だとは知らなかった」
しかし、南魚沼署はこの言い分に懐疑的だ。
「現場には『ここから先は入ってはいけない』と示すネットや規制線が張られています。彼らはその切れ目などから侵入している。警察官の肌感覚として、彼らが『わざと入りました』と認めて頭を下げることは絶対にありません」
同署関係者は、彼らは意図的にコース外滑走をしていると実質的に見ている。
同様の事案は今回の2日前、1月23日にも発生していた。
同じスキー場で20代の中国人男性1人が遭難し、翌24日朝に救助されている。この男性も「ふぶいて視界が悪く、気づいたらコースを外れていた」と釈明したが、担当者は「いくら視界が悪くても規制線は視認できるはずだ」と指摘する。
「毎週のように起きている」見えない遭難
警察が1月に公表した同署管内の遭難事案は3件(上記2件と、11日の自力下山1件)だ。しかし、これは氷山の一角に過ぎないと、同署関係者は明かす。
「警察が認知・出動していない事案を含めれば、毎週のように発生しています」
警察に通報が入る前にスキー場のパトロール隊が発見・救助し、事なきを得ているケースも少なくないという。
トラブルは新潟に限った話ではない。例えば、世界的スノーリゾートである北海道でも深刻化している。
1月26日午後6時30分ごろ、ニセコアンヌプリ国際スキー場とニセコモイワスキーリゾートの中間付近で「コース外でバックカントリーをしていた知人が身動きが取れなくなった」という110番通報があった。
遭難したのは41歳の中国人男性で、食料を持たずに夜の雪山に取り残された。その後、捜索に入った警察と消防により無事救助された。男性にケガはなかった。
北海道警によると、1月1日から21日までのわずか3週間で、道内のバックカントリーに伴う遭難者は29人に上る。
スキー場のコース外滑走による遭難はそのうちどの程度の割合を占めるかは不明だが、関係者は「決して少なくない数字だ」と明かす。
背景にあるのは、やはり外国人観光客の増加だ。スキー場が多い都道府県の観光協会によると、特に中国系の観光客が増加傾向にあるという。
前出の八海山スキー場の担当者も取材に対し、「数字的なデータはすぐに出ないが、去年に比べて来場者に占める外国人の割合が増えている実感がある」と語る。
スキー場側によると、コース外に出る理由はさまざまだ。
「完全に(禁止区域だと)分かっていて行く」悪質な者もいれば、「初めて訪れて地形が分からず、他人のシュプール(滑走跡)につられて意図せず出てしまった」という者もいるという。
「本人が『道に迷った』と言えば、故意かどうかの内心までは確認できません」とスキー場担当者は明かす。
「バックカントリー」ではない、「禁止行為」である
一部の報道やSNSでは、こうしたコース外滑走を「バックカントリー」と呼ぶ向きもあるが、現場関係者はその表現に神経を尖らせている。
「『バックカントリー』という言葉は慎重に使ってほしい」
ある新潟県警の幹部はそう記者に釘を刺した。本来、バックカントリーとは登山届を提出し、雪崩対策などの装備を整えた上で、自己責任において手付かずの自然を楽しむ山岳アクティビティのことを指す。
「今回のように、レジャー気分で遊び半分にコース外に出て遭難した人たちと、真剣に取り組んでいる愛好家をごちゃ混ぜにすると、愛好家の方々からお叱りを受けます」(県警幹部)
八海山スキー場も同様のスタンスだ。
「当スキー場はバックカントリーを推奨しておらず、基本的にはコース外滑走を禁止しています」(スキー場担当者)
ルールを無視した代償は、金銭的にも身体的にも高くつく。多くのスキー場では、コース外で救助を要請した場合、実費請求を行なっている。八海山スキー場も例外ではない。
「パトロール隊が出動すれば、規定に基づき救助費用を請求します」(スキー場担当者)
同スキー場のウェブサイトや場内の掲示板には、遭難捜索費用の負担について明記されている。前出県警幹部によれば、相場は「基本料金が20万円とされ、そのうえで隊員1人につき1時間2万円、スノーモービル出動なら3万円」といった額になることもあり、今回の6人にも相応の請求がなされる見込みだ。
しかし、金銭で解決できるならまだ良い方だ。スキー場担当者は「一番の危険は、命に関わる事故につながることです」と強調する。
コース外では携帯電話の電波が届かない場所や、バッテリー切れで位置特定ができなくなるケースも多い。そうなれば救助に向かうことさえできない。今回の6人のように、極寒の雪山で装備もないまま一晩を明かさなければならない事態も現実に起きている。
「誰かのすべった跡があったから」という安易な動機が、捜索隊を危険にさらし、多額の費用負担を招き、そして自身の命さえも脅かしている。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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