「子どもたちを食べさせるため…」SNSで中学生の娘の下着や唾液を売る4児のシングルマザーを直撃「古着売るような感覚」法的に問題は? 弁護士の意外な見解
「子どもたちを食べさせるため…」SNSで中学生の娘の下着や唾液を売る4児のシングルマザーを直撃「古着売るような感覚」法的に問題は? 弁護士の意外な見解

1990年代初頭に女子高生の小遣い稼ぎのひとつとして社会問題化したブルセラ(着用済ブルマや制服、下着などを販売することの総称)。当時は店舗型が多かったが、現在でもネットに移行して存続している。


「生活のため」に娘の下着や上履きを「古着」として売る親はいったい何を考えているのか。実際に販売をしているシングルマザーに話を聞いた。

「古着を売るような感覚、リサイクルだと思うようにして売り始めました」

北関東在住のA子(35歳)は4人の子どもを育てるシングルマザーだ。中学生の長男と長女、小学生の次男、さらに年中の次女をパート勤務しながら育てている。A子さんが長女の下着を売るようになったのはコロナ禍がきっかけだった。

「勤めていた会社が時短や休業になり収入が激減しました。なんとかしてお金を稼ぐにはどうしたらいいかとXで探していたら、子どもの下着を販売をしているシングルマザーのアカウントを見つけたのです。

最初は気が引けましたが、古着を売るような感覚、リサイクルだと思うようにして売り始めました」

昨年、複数の教員らが女子児童などを盗撮し逮捕者が相次いだ事件で、教員らはSNS上でグループを作っていたことが報道されているが、A子は「母親たちが娘や息子の日用品などを販売するグループ」をSNSで見つけ、そこに加入したのだという。

「JS(女子小学生)のパン(パンツの隠語でパンの絵文字で記載)販売」といったアカウントを作り、「買いたいです」などとDMしてくる人物とやり取りをして個人販売を始めた。

コロナ禍から2025年初旬頃まで、下着1枚につき3500円~4000円、靴下2000円、唾液2500円で売っていました。月に2、3万円の収益になるのでとても助かりました」

グループでは「SNSで売るよりブルセラサイトで売ったほうが高額で売れる」「でもサイトでは本人確認と販売する子どもの写真も必要だから勇気があるなら試したら」などの情報が飛び交っていた。

娘の下着や靴下を売ることも信じられない話だが、唾液はどのように娘から採取したというのか。

「以前は『感染症の検査で必要なんだよ』と言って採取していました。

でも娘が小学生の頃までは通用していましたが、最近は通用しなくなったのでやめました。

それにSNSも昨年頃から規制が厳しくなってすぐにアカウントが凍結されるようになり、今では当時の常連客3人からコミュニケーションアプリを介して注文が入ったら売る形にしています」

「僕にできることは下着などを買うことだけ」と言われ…

A子のSNSアカウントは当然ながら何度も凍結された。やがて「警察に通報が入って逮捕されるのでは」と不安になり、SNSを介した販売はやめた。

それでも、逮捕を恐れつつも別の手段を考えてまで販売を続けたA子は、「もちろん抵抗感も罪悪感もありますよ…。でも子どもたちを食わせないといけないし」とうなだれた。

「私の実母(60代後半)もシングルマザーでしたが、生活保護で暮らしています。だから母からも『お金が足りないから貸して』とせびられていて、貸しても返ってきません。コロナ禍前からずっと働いていたスーパーは月収22万円でしたが、人間関係のトラブル続きで鬱になりかけて昨年に辞めました。

それ以降は在宅勤務で収入は激減しました。定期的に子どもの下着を買ってくれて手に入る“月4万円の収入”がないととてもじゃないけど暮らせません」

現在、家賃は約4万円、生活費などを工面しても「足りない」とA子は話す。仕事を辞める以前に貯めていた約400万の貯金は120万まで減った。

さらにA子は高校卒業後すぐに元夫と18歳で結婚したため会社勤務歴はなく、元夫からの養育費も「離婚後2年目からもらっていない」とも話す。

「28歳で元夫から『性格の不一致だ』と離婚を切り出され、その後1年ほどは月6万円の養育費をもらっていました。

でも、もう4年ほど入金がありません。電話しても出ないし、LINEもブロックされました。風の便りで他に女がいたから離婚したと聞いたのと、おそらく新しい家庭があるのだと思います」

中学生になる娘は自分の下着が次々となくなっていくことに疑問を抱かないのか。

「実は今、娘のパンツを買ってくれている方はある女児向けのアニメが好きで『このアニメのパンツを3日間はき、それを送ってほしい』と指定してくるのです。さすがに中学生の娘はその“女児向けアニメ”のパンツは、はいてくれない。12歳までが限界でした。

(通常の)下着もお気に入りのものがなくなると『あの下着はどこへいったの?』と聞かれることも増えて『わからない』では通用しなくなってきたんです。

だから今は私が3日間はいた物を送っています。3日に一度送れば7000円の収入になるので…罪悪感に苛まれながらも背に腹は代えられずに続けています」

いったい下着を購入している男性とは、どのような職業で何歳なのか。A子に聞くと「プライベートなことは私も聞かないし向こうも言わない」のだという。

「その方は『小学生から中学生くらいの女の子が好き』と言ってました。そして私がシングルマザーで苦労していることは知っているので、『僕にできることは下着などを買うことだけ』と、長女だけでなく次女が小学校に入学したらその下着も買いたいと言われました。

それに娘や息子など4人の子どもたちの誕生日になると『美味しい物でも食べてきて』と1万円送金してくれるので、助かっています」

「子どもを今日明日食べさせるための“最後の手段”だと思っています」

まるで常連客の男性に感謝しているような口ぶりだが、自分の子どもの尊厳を冒しているという意識はないのか。

「その方から『入学式の日にはこのパンツをはいてほしい』とパンツを指定され、それをはかせたことはあっても『写真を送ってほしい』という注文には応じていないし、ウチの住所を知られてもいない。

だから子どもらに身の危険が及ぶことはないと思っています。子どもの尊厳は…子どもを今日明日食べさせるための“最後の手段”だと思っています」

子育てのために高収入の水商売や性産業に従事する母親も少なからずいる。A子は水商売は「自分の近所には子供の預け先がないから無理」だと主張する。風俗は「狭い街なので保護者に会う可能性もある」と考え、一度だけ障害者専用の風俗店に体験に行ったこともあった。

「(風俗業に従事することは)精神的に厳しいと思いました。心身を削り家庭がおろそかになるよりは、娘に悟られないよう下着類を売るほうが良いと思ってしまったのです」

A子は「最近は米が高いので私はここ1年以上、米は一粒も食べていない。子ども達だけに食べさせている。なるべくひき肉料理と麺類で子どもらのお腹をふくらませている」という。

「次女が小学校入学するまであと2年。今の常連客の方にパンツを売り始めてから3年ほどになりますが、さすがにこの2年以内には別の方法で自立したいと思います。

変なことをせずに暮らせるように頑張りたい。しっかりと地に足をつけて頑張りたいです」

A子は子どもたちに隠れてこれらの行為を続けている。だが、子どもたちが気づいてないからといって許される行為ではない。これは子どもへの性的虐待ではないのか。

元検事で現在はレイ法律事務所で弁護士の西山晴基氏に聞いた。すると「販売した親御さんや、親御さんから買い受けた者を直接罰する法はない」という。

「こちらは『青少年保護育成条例』にあたる問題で、各都道府県ごとに若干の制定内容に違いがあります。例えば、東京都では2004年にブルセラ規制の文言が盛り込まれました。そこには『青少年から着用済の下着を買い受けてはいけない』や『(青少年から)売却の委託を受けたり勧誘してもいけない』といった文言はありますが、親が売ることは想定されていないため、親への条例違反の罪は問えません。

買った男性側も青少年から買い受けているわけではないので罪には当たりません。2004年当時とまた時代も変わっているため、今後は子どもを代理して売っている親側の規制の文言も追加すべきと強く思いました。それと共に厳しい現状があることも痛感しました」

日本は先進国の中でもひとり親世帯の相対的貧困率が44.5%(2021年度)と非常に高い。

生活に困窮するあまり判断力を失った母親がこのような行為に手を染める前に、なぜ行政のセーフティネットは機能しなかったのか。この問題から目をそらすことは許されないはずだ。

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取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班

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