参政党はすでに選挙に勝利している…創設メンバー「実は議席数よりも欲しいものは…」“大人のボーイスカウト”としての選挙のエンタメ化
参政党はすでに選挙に勝利している…創設メンバー「実は議席数よりも欲しいものは…」“大人のボーイスカウト”としての選挙のエンタメ化

今回の衆議院選挙は突然の解散や新党の誕生、投票率の不透明さなど、イレギュラー要素が重なり、精度の高い議席予測は困難な状況だ。そんな中で、参政党の創設者の一人で国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は「一つだけ、ほぼ確実と言える結果がある。

それは、参政党が議席を伸ばし、党勢を大幅に拡大するという点だ」と指摘する。渡瀬氏が解説する。

イレギュラーが多い選挙戦、たった一つの明確なこと

今回の選挙は予測が極めて難しく、選挙予想屋泣かせの状況となっている。

票読みとは過去の得票データ、世論調査、投票率、支援組織の稼働状況などを総合的に判断する作業だが、今回の衆議院解散総選挙は、高市首相の突然の解散、中道改革連合の誕生、投票率の不透明さなど、イレギュラー要素があまりに多い。どれか一つでも読み違えれば、予測は簡単に崩れてしまう。

しかし、その中で一つだけ、ほぼ確実と言える結果がある。それは、参政党が議席を伸ばし、党勢を大幅に拡大するという点だ。

もちろん、参政党の神谷代表による高市政権との距離感に関する発言の迷走は、獲得議席数や党勢拡大の勢いを多少鈍らせた可能性がある。

それでも、同党は直近の参議院議員選挙で大きく支持を伸ばしており、その数字を踏まえれば、今回の衆議院選挙で最低でも10~20議席弱を確保するとの見方が強い。

参政党が安定して議席と党勢を拡大している理由は、同党がマーケティング、地上戦、資金調達のサイクルを効率的に回す「選挙集団」である点にある。つまり、風頼みではない強固な組織基盤を持つ組織政党だということだ。

大人のボーイスカウトのような雰囲気

参政党のマーケティング戦略は極めて合理的で、その基本は「マスコミに叩かれた、あるいは無視されたと感じる層」を取り込むことにある。他政党のグリップが弱い支持層を吸収することで、政治に関心はあるものの、自分たちの主張を代弁する政党がなかった人々を獲得している。

同党には、ネット空間で集まった陰謀論者、自然農法やスピリチュアル志向の人々、排外主義的傾向を持つ層などが、マスコミへの不信感を共通項として共存できる仕組みがある。

また、これらの層は意外にも所得や資産が低くない場合が多く、地域の名士的立場にある人も少なくない。そのため、地域のコアメンバーは毎月の党費を支払える層が中心となり、普段は常識的に見える人々が集まっている。

こうした人々は地域支部の活動に吸収されていく。そこには温かなコミュニティがあり、大人のボーイスカウトのような雰囲気で活動が展開されている。この点自体は望ましいことで、政治参加の実感を得られる場となっている。

街頭で旗を掲げてビラ配りをする参政党員を見かけることが多いのは、まさに草の根組織に支えられた政党の姿だ。そして、地方議員の輩出によって地盤はさらに強固になっていく。

エンタメ化された党イベントやグッズ販売

こうして集めた党員が支払う党費というサブスクによって、参政党は強力な資金基盤を確保している。党費があるからこそ、マーケティング、地域基盤づくり、選挙活動のサイクルを回し続けられる。

特定の大口支援者がいるという陰謀論めいた見方もあるが、党員数と党費を掛け合わせれば、十分な資金力があることは明らかだ。さらに、米国式のエンタメ化された党イベントやグッズ販売が収益を押し上げる構造となっている。

参政党の選挙結果は多少の風に左右されることはあっても、組織政党である以上、これまでの新興政党とは異なり、着実に議席を積み上げることができる。

こうした観点からすると、今回の衆議院選挙において参政党はすでに「勝利」していると言える。

理由は、①現有議席より獲得議席は確実に増える、②選挙を通じて党員数が増加し資金力が強化される、③衆院選候補者を統一地方選の候補者として転用できる、の三点だ。これだけで組織政党としては十分な成果である。

衆議院選挙後、さらに存在感を増していく

特に参政党型の政党にとって重要なのは党員数の増加であり、実は議席数の多寡は優先順位が低い。むしろ、一国一城の主としての性格がある小選挙区当選者が増えすぎると、党中央の統制力が相対的に弱まり、党運営上は望ましくないとも言えるだろう。こうした計算ができる点が同党の強みだ。

参政党は今回の衆議院選挙後、さらに存在感を増していくだろう。他党の幹部はその力を見誤っており、このままでは参政党に地盤を侵食され続ける可能性がある。

もし参政党の党勢が衰えるとすれば、それは神谷氏ではなく、自民党からの転向組が党内で主導権を握るようになった場合だろう。今回の議席増によって政党助成金が党費収入を大幅に上回れば、党員政党としての性格が揺らぐ可能性がある。

党員政党としての強みが薄れれば、議席や資金が増えても停滞が始まる。さらに、政策立案能力を補うために元議員を採用し続ければ、党内で台頭するのは元自民党議員となる可能性が高い。

しかし、彼らが神谷氏以上の組織運営能力を持つとは考えにくく、党員政党とはかけ離れた議員中心政党である第二自民党化する恐れがある。

今回の衆議院選挙後、参政党が統一地方選、参議院選、次の衆議院選を経てどのように変化していくのか、注視していきたい。

文/渡瀬裕哉

編集部おすすめ