今回の衆院選で、自民党は派閥パーティを巡る裏金問題に際し、不記載のあった37人を公認している。“裏金議員”と言われた人たちにとっても、高市人気にあやかって国政復帰を果たす好機が到来している。
「高市総理とともに」連呼する丸川珠代氏、裏金問題には触れず
「高市総理とともに日本を飛躍させるのか、それとも大国の思惑に振り回されて、国益すらまともに口にのぼらせられない、そんな国にしてしまうのか」
1月29日午後2時、東京渋谷区内のスーパーマーケット付近には、赤いジャンパーに身を包み、そう力説する丸川氏の姿があった。
「大義なき解散」との批判が渦巻く今回の衆院選だが、高市政権を継続させるかどうかの選挙だと強調してみせた。
「丸川氏は東大経済学部卒業後、テレビ朝日のアナウンサーを経て、2007年の参院選で東京選挙区から出馬し、初当選しました。第二次安倍政権では、環境相や五輪担当相を歴任するなど、知名度も抜群。
しかし、所属していた自民党清和会(安倍派)を巡る裏金事件に関連し、丸川氏も822万円の不記載があったことが発覚し、党の処分を受けた。2024年の衆院選に、参院からの“鞍替え出馬”し、『私自身に使途不明金の類いは一切ない』と釈明を重ねたものの、落選しました」(自民党関係者)
毎日新聞が行なった1月の世論調査では、高市政権の支持率は前回調査から10ポイント減の57%に急落している。自民党が衆院選の看板政策の一つとして掲げた、食料品の2年間に限った消費税ゼロについて、高市総理の過去の発言との整合性が問われるなど、綻びも現れつつある。
それでも、“高市人気”は健在。報道各社の序盤情勢によれば、自民党は今回の衆院選で、選挙前の198議席から、定数465の過半数を占める233議席を上回る勢いを保っているという見方も出ている。
丸川氏もこの日、10分ほどの演説の中で、「私は高市総理とともに、強くて豊かな日本を作りたい」と繰り返した。
「高市総理が今回、“財務省の壁”を乗り越えて、日本人の命と暮らしを守るために必要な予算は、たとえ巨額の予算になっても絶対に実現しなきゃいけないと言ってくださったことに賛同しています」
そう、積極財政を旨とする“サナエノミクス”への賛同を示したかと思えば、
「高市総理と、(財務相である)片山さつきさんを支えて、いざという時に日本人の命を救う薬がない、そういうことにならないように、命に関わる薬の国産化を進めていきたいと思います」
と、薬品の国産化に注力していきたいという決意を語ったりもした。
途中でマイクが不調になるトラブルがあったが、動じることもなく、マイクなしで演説を続けた丸川氏。
演説終了後に、集英社オンラインの記者が、「高市さんと直近で何か話をした?」「裏金問題の影響は?」などと声をかけたが、丸川が質問に応じることはなかった。
丸川氏を猛追する中道・松尾明弘氏「どっちが無駄で、どっちが自分勝手なんだと」
そんな丸川氏と戦うのは、中道改革連合の松尾明弘前衆院議員(51)である。共同通信の序盤情勢調査によると、東京7区では、丸川氏を、松尾氏が激しく追う展開とされる。
結党直後の中道は、党名が浸透してないことなどから勢いを欠き、苦戦が伝えられている。公示前から議席を減らす可能性を指摘する報道も出ている。
集英社オンラインの記者は、1月29日午後に、麻布十番駅近くで行われた松尾氏の街頭演説も取材。松尾氏は高市政権の「大義なき解散」を厳しく批判した。
「自民党も維新も『衆議院の定数を削減しよう』と言い出しました。(中略)それによって削減できる歳費の額って大体年間34億円ぐらいなんですね。今回、1回の選挙で数百億円ですから、実に27年分ぐらい、この歳費削減(分)のお金を選挙で使ったわけですよ。前の選挙から1年3か月しか経っていないのに。
そんな松尾氏は、立憲民主党の出身だが、演説会には公明党の港区議も参加し、「東京7区では松尾明弘候補を全面的に応援させていただいております」と力説。政治とカネの問題に取り組めるのは、「クリーンな政党である中道改革連合」とアピールしていた。
演説会終了後、集英社オンラインの記者は松尾氏に話を聞いた。
――丸川氏に一歩リードされていると報じられたが?
「みんな、やれることを全力でやってくれていますよ。今のところ順調です」
――自民党では、裏金議員も多数公認された。
「私の相手がどうこうと言うよりも、そういう問題を一つ一つ解決できない、決着をつけることができない自民党の政治そのものの象徴的な問題だと私は思っています。一度裏金で処分されたのに、すぐに公認を出す。そうやって問題をだんだんとうやむやにしていく。そういうやり方は絶対良くないし、おかしいですよ。私はそういう政治を終わらせたいと思っています」
――公明党と立民は安全保障など、立場が違った面がある。本当に、まとまっていけるのか?
「多様性に寛容でセーフティネットが充実した社会を作り、イノベーションが生み出せる社会をつくる、という私の目標を、新党の中でも実現していけると判断し、入党した。もし党の中で意見が割れたり、私と意見が異なったりしたら、まずは反対側の言い分を聞いてしっかりと議論を進めていきたい」
東京7区では、ほかに日本維新の会・渡辺泰之氏(53)、国民民主党・入江伸子氏(63)、参政党・石川友梨香氏(29)、チームみらい・峰島侑也氏(35)が出馬している。
2月8日の投開票日まであと10日を切ったとはいえ、選挙戦はまだ序盤。高市人気にあやかった自民党が勝利するのか。それとも、野党の巻き返しはあるのか、最後まで目が離せない。
取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班

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