碁盤を前に男女ペアで一局を紡ぐ「ペア碁」を舞台に、プロ棋士たちが集った「ゆうきゅう戦 JUNKOKOSHINO CRYSTAL CUP 2026」。この大会は、勝敗を競う場であると同時に、囲碁という文化を“ひらかれた時間”として共有する試みでもあった。
「ペア碁」ってどんな競技?
2026年1月20日(火)、東京・表参道にて「ゆうきゅう戦 JUNKOKOSHINO CRYSTAL CUP 2026」が開催された。本大会は昨年に続いて2回目の開催となり、13路盤によるプロ棋士のペア碁トーナメントとして実施された。
「ペア碁」という競技を、今回初めて知ったという人もいるかもしれない。ペア碁とは、男女1名ずつがチームを組み、盤上に向かう“男女混合ダブルス”の対局形式だ。通常の囲碁と同様に黒番・白番を交互に打っていくが、最大の特徴は、対局中に相談や合図が一切できない点にある。
隣にパートナーがいるにもかかわらず、言葉や視線で意図を確かめることは許されない。自分の番になった瞬間、自らの判断で一手を選び、次の局面につなげていく––––そうした暗黙のやりとりの積み重ねが、従来の個人戦とは異なるペア碁ならではの緊張感を生み出している。
実はペア碁には、日本独自の歴史もある。複数人で交互に着手する「連碁」という前身が以前から存在していたが、そこから男女ペアとして成立する競技へと整理され、正式な種目として定着してきた。男女がペアとなって盤に向かうという発想は、囲碁の楽しみ方を広げるものとして受け止められてきた。
今回行われた「ゆうきゅう戦」は、そうしたペア碁を舞台にした大会の一つだ。名称にある「ゆうきゅう」は、ペア碁の発案者として知られる滝久雄・滝裕子夫妻の名前に由来すると同時に、囲碁という伝統文化が時代を超えて受け継がれていくことを願う言葉でもある。
さらに、本大会にはファッションデザイナー・コシノジュンコ氏の名前が冠されていることにも注目。昨年文化勲章を受章したコシノ氏は、数年前から囲碁を始め、自らの体験を通じて囲碁に触れる人々への関心を広げてきた。「囲碁×ファッション」という異色の演出は、これまで囲碁に親しんできた人々とは異なる層の関心も集めることになった。
今年の優勝は上野愛咲美女流名人・張栩九段ペアに
本イベントの出場者は、「ゲスト棋士」と「藤澤一門棋士」の男女ペアで組まれる。注目の組み合わせは、昨年12月に行われた抽選会により決定。今回は以下の8組、合計16人の棋士がトーナメントに顔をそろえた。
●藤澤ななみ初段・佐田篤史七段ペア
●三島響二段・本木克弥九段ペア
●上野梨紗女流棋聖・井山裕太碁聖ペア
●藤沢里菜女流本因坊・寺山怜六段ペア
●上野愛咲美女流名人・張栩九段ペア
●吉原由香里六段・関航太郎九段ペア
●竹下奈那初段・結城聡九段ペア
●徐文燕二段・広瀬優一七段ペア
決勝へと駒を進めたのは、上野愛咲美女流名人・張栩九段ペアと、上野梨紗女流棋聖・井山裕太碁聖ペア。女性棋士として国際的にも活躍の場を広げる姉妹が、それぞれ別のペアで勝ち上がり、決勝の舞台で向かい合う形となった。
会場のメインスペースでは決勝戦にあわせて大盤解説も行われ、プロ棋士による局面の解説を通して、盤面の動きが来場者に共有された。難解な攻防の末、勝利を手にしたのは上野愛咲美・張栩ペア。見事、優勝を果たしている。
優勝した上野愛咲美女流名人・張栩九段ペアには、賞金30万円(15万円×2名)のほか、コシノ氏がデザインしたトロフィーと、対局時に身にまとっていたGO-FUKUが贈られた。表彰の場では、張九段がこの日46歳の誕生日を迎えていたことも明かされ、「人生で一番幸せな誕生日となりました」と笑顔を見せた。
一方、惜しくも準優勝となった井山碁聖は「上野梨紗さんと組んで優勝間違いないと思っていたのですが、最後に甘さが出てしまいました(笑)」とコメント。上野梨紗女流棋聖は「決勝は姉と戦いましたが、ここで負けておくことで、第29期女流棋聖戦に向けて運を貯めておこうかなと」と語り、会場からは笑いが広がっていた。
メイン会場では対局観戦に加え、スタンプラリーやゲストを迎えたトークセッション、来場者に景品が当たる抽選会など、本大会ならではのプログラムも展開。トーナメント参加棋士や藤澤一門棋士による指導碁も行われ、盤に向かう来場者の姿も多く見られた。
なお、本大会はチャリティーイベントとして、来場者の会費の一部は囲碁普及および能登半島復興支援のために寄付されている。
大会終了後、対局を終えたばかりの上野愛咲美・梨紗姉妹に話を聞くことができた。注目を集める2人の姉妹女性棋士は、本大会をどのような思いで迎えていたのだろうか。
上野姉妹が語る「ゆうきゅう戦」という舞台
──まずは、本日の大会を振り返って、率直な感想を聞かせてください。
上野愛咲美(以下、愛咲美) まずは「ゆうきゅう戦」に出場できて、とても嬉しかったです。私は張栩九段とペアを組ませていただきましたが、世界一にもなられたことがあり、長年トップで戦ってこられた方なので、隣にいてくださるだけですごく心強かったです。
上野梨紗(以下、梨紗) 私も、現代日本囲碁界の第一人者で、2018年に国民栄誉賞を受賞された井山裕太碁聖とペアを組ませていただいて、本当にすごい方だなと感じながら打っていました。決勝では姉のペアと当たってしまって……。こちらも素晴らしいペアだったと思っている分、悔しさは大きかったです。
──普段、ペア碁を打つ機会はどのくらいあるのでしょうか?
愛咲美 公式の棋戦としてはほとんどないですね。研究会の終わりなどで、少し楽しく囲碁を打ちたいときに、ペア碁を打つことはあります。
梨紗 大会として本格的に打つペア碁は、この「ゆうきゅう戦」と「プロ棋士ペア碁選手権」くらいだと思います。
──今日を迎えるにあたって、準備やトレーニングはされましたか?
愛咲美 13路盤なので、19路盤よりも一手一手が大事になります。だから詰碁をやったり、睡眠をしっかり取ったり、基本的なことを意識して臨みました。あと張栩先生のお宅に呼んでいただいて、実際にペア碁の練習もさせていただきましたね。
梨紗 私は先生が大阪にいらっしゃることもあって、なかなか練習ができなくて……。それが今回の敗因かなと思っています(笑)。
──ペア碁ならではの難しさや面白さは、どのように感じていますか?
愛咲美 やはり相手の手だけでなく、味方の手も予想しないといけないところが難しいです。自分が描いていた図とズレることも多いので、そのときの心の保ち方はかなり大事で。「えっ!」と動揺していると、そのままスルッと負けてしまうこともあるので、「それもありか」とすぐに切り替えるようにしています。
上野梨紗 今日の決勝も姉の1手で、ほかの3人の思考が一気に崩れた場面がありました。私を含め、「なんでそこ?」と全員がびっくりしていたと思います(笑)。
上野愛咲美 狙っていなかったんですけどね(笑)。そう言われることは多いです。
──決勝で姉妹対戦が実現することになったとき、心境の変化はありましたか。
梨紗 私はあまり変わらなかったです。ただ、最近姉に対して負けが続いていたので、そろそろ挽回したいという気持ちはありました。
愛咲美 張栩先生が隣にいてくださるので、とても心強かったです。序盤にいい流れが作れたときに、「これは負けたくない碁になってきたな」とは思いました。
──最後に、「ゆうきゅう戦 JUNKOKOSHINO CRYSTAL CUP」は、お二人にとってどのような大会でしょうか。
愛咲美 まず会場や衣装など、普段の対局ではなかなか経験できない環境で打てることが嬉しいですね。着付けもしていただいて、衣装もコシノ先生のデザインで、普段はまず着る機会がないのでとても貴重な体験です。トロフィーや記念品もすごく素敵で、昨年妹が優勝していろいろ持ち帰ってきていたのを見て、いいなと思っていたんです(笑)。
梨紗 素敵な舞台だというのはもちろんですが、大会が終わったあとに、いろいろな方と直接お話できるのも嬉しいです。囲碁をやっていなかったら出会えなかった方々と直接お話しできることは、本当にありがたいことだなと感じています。

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