近年、中高生の受験当日に電車内などでの痴漢行為が問題となっている。これは単なる迷惑行為ではなく、受験生の人生の節目を狙い撃ちする「性暴力」だ。
文部科学省は、「痴漢被害等にあった場合などを理由に受験できない場合は、追試験の対象とする」など被害に遭った受験生への配慮を示しているが、試験に遅刻できない受験生の心理につけ込む痴漢とそれをあおるSNS投稿は決して許されない行為だ。
「遅刻できない」心理が、加害の“武器”になる
「受験日は絶対に遅刻できない」
受験生のこうした心理が人生を左右する特別な日という緊張感もあり、被害者に申告・通報をためらわせる。実際、受験シーズンになるとSNS上で“受験生は通報しづらい”と踏んだ悪質投稿が出回ることが報道され、問題視されてきた。
この問題が社会的に可視化された契機の一つが、2020年の大学入学センター試験期(大学入学共通テスト)に広がった“見守り”の動きだ。黄色い物を身につけて「受験生を守る」意思を示し車内で周囲に目を配る「#withyellow」などが広がり、渋谷では抗議アクションも報じられた。
一方で、こうした連帯の動きが生まれるほど、受験生を狙う痴漢と、それを面白がる空気が根深いことも浮き彫りとなった。今年1月の大学入学共通テストの時期にもSNSで「痴漢チャンスデー」「痴漢祭り」などと犯罪をあおる投稿が拡散されたが、こうした投稿には同じSNS上で批判の声が多く上がっている。
「痴漢チャンスデーとかいう最悪単語気分悪いしそういう悪いことする人本当嫌い」
「受験の日に痴漢したら相手が時間を気にして訴え出ないから痴漢チャンスデーとか言ってる人がいるらしいが、人生を狂わすようなことをしているので通常の痴漢よりも厳罰に処してほしい。」
「共通テストの日を痴漢チャンスデーとか言ってる男らのSNS特定して、そのままち○こ切落し罪にならないかな」
「去年より今年の方が『痴漢チャンスデー』という投稿を見かける気がする。軽犯罪法違反で検挙された例は、警察の警告にも従わずに投稿を続けたのが理由だったはず。悪質なアカウントには同じように対処して欲しい」
近年、悪質投稿そのものが「業務妨害」として扱われる事例も出ている。2024年には、共通テスト直前にSNSで受験生への痴漢をあおり、警察業務を妨害した疑いで男性が書類送検された(軽犯罪法違反)。逮捕された男性は「注目を浴びたかった」などと供述していたという。
泣き寝入りだけはしないように
受験生にとって最も切実なのは、「被害に遭ったら終わり」にならないことだ。大学入試センターは、痴漢被害で試験場に向かう途中に影響が出た場合、追試の対象になり得るとして、受験票記載の大学への報告を呼びかけている。
文科省も同趣旨で、試験時間の繰り下げや別日程への振替など、受験機会確保の柔軟対応を求めている。この「救済がある」周知は、被害者に“声を上げる選択肢”を戻す。加害者が最も利用するのは、受験生の沈黙だからだ。
政府は2023年に「痴漢撲滅に向けた政策パッケージ」をまとめ、痴漢を重大犯罪と位置づけたうえで、重点的取締り、防犯アプリ普及、鉄道事業者の取り組み共有、車内防犯カメラ、学校での安全教育などを列挙している。
また、「被害者は一切悪くない」「被害者を一人にしてはいけない」と明記し、二次被害を生まない姿勢も打ち出している。
さらに1月14日には警察庁が公式Xで「受験生の皆さんが安心して会場に向かい、これまで頑張ってきた成果を十分に発揮できるよう、受験期の警戒・取締りを強化するなどしています。痴漢被害に遭われた方や痴漢を目撃した方は迷わず110番通報をしてください」と投稿した。
行政が対策を強化している一方で、受験生当事者ができる対策として、次の3つが挙げられる。
・時間に余裕のある行動計画(一本遅い電車でも間に合う設計/集合場所の共有)
・受験票の連絡先(問合せ大学)をスマホに登録し、いざという時すぐ連絡できるようにする“救済ルート”の準備。
・警視庁の「デジポリス」には、痴漢撃退表示や防犯ブザーなど、声を出しづらい状況で助けを求める機能がある防犯ツールの活用:
さらに、痴漢は“現場の空気”に依存する。加害者を取り押さえることだけが支援ではなく、「大丈夫ですか?」など、被害者側に立つ声かけが抑止になる。
目撃時は、危険を冒して単独で対峙するより、駅員・乗務員への通報、被害者への声かけ、周囲に助けを求めるなど、複数で安全に介入することが重要だ。
SNSの悪質投稿も卑劣な行為
また、「痴漢チャンスデー」をあおるようなSNSの悪質投稿は「冗談」ではなく、恐怖をばらまき被害を誘発し得る。これまでには実際に書類送検に至った例もある。
プラットフォーム側は通報導線の改善と迅速な削除、社会側は“面白がり”を許さない規範形成が不可欠だ。文科省がSNS上のあおりを問題として明記したことは、教育・試験実施側が「二次被害も含めて対策すべき課題」と認めた点で重い。
受験当日の痴漢は、受験生の努力と人生を人質に取る卑劣な犯罪だ。そしてSNSのあおりは、被害を現実化させる“環境”そのものになる。
だからこそ対策は明確で、①受験機会の柔軟救済を徹底周知し、②交通・警察・学校が警戒と支援を厚くし、③周囲の第三者が介入し、④SNSのあおりを放置しない——この4つを同時に回す必要がある。
政策パッケージが掲げる「被害者は一切悪くない」という原則を社会の標準にし、受験生が“声を上げても損をしない”環境を作ることが、最も実効性の高い痴漢対策になる。
取材・文/集英社オンライン編集部

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