任天堂がスイッチ2の記録的売上で市場席巻…大ヒットソフト、円安効果を追い風に驚異の営業利益率…次の一手にポケモンの意欲作も
任天堂がスイッチ2の記録的売上で市場席巻…大ヒットソフト、円安効果を追い風に驚異の営業利益率…次の一手にポケモンの意欲作も

2月3日、任天堂が2025年4~12月期の連結決算を発表。昨年末までのNintendo Switch 2の販売台数が1737万台に達した。

任天堂のゲーム機としては過去最速のペースで数字を伸ばしている。ソフトウェアも好調で、「マリオカート ワールド」は全世界で1403万本、ポケモンの新作はNintendo Switch向けも含めると1230万本に達している。

 

その決算内容からも、任天堂の好調ぶりが見えてくる。特に注目したいのが、本業で稼ぐ力を示す「営業利益率」が上がっている点だ。

メモリ高騰でも営業利益率は20%近くまで上昇

任天堂の2025年4月~2025年12月の純利益は、前年同期間の1.5倍となる3588億円だった。今期は通期の純利益を3500億円と予想しており、第3四半期累計期間ですでに超過している。しかし、任天堂は通期業績予想の修正は行なわなかった。

主要な証券会社や調査会社のアナリストが企業業績予想の平均値を集計して予想したQUICKコンセンサスにおける、任天堂の通期純利益は4086億円だ。市場予想に対する進捗率は現段階で9割近くにまで及んでおり、任天堂の足元の力強さを見せつける結果となった。

任天堂の株価は2025年11月6日に一時1万4630円の高値をつけたものの、その後、続落。2026年2月2日に一時9773円をつけた。下落時に懸念されていたのがメモリ価格高騰による、収益力の低下だった。

生成AIの台頭によって半導体の特需が起こり、2025年の秋ごろからメモリの価格高騰が進んでいた。

それを受けて各パソコンメーカーは次々と価格転嫁を進めていたのだ。いっぽう、Nintendo Switch 2の価格は据え置かれたままだった。

収益力低下の懸念を払拭するように、任天堂の営業利益率は上がっている。2025年10月~12月の営業利益率は19.2%だ。7月~9月は16.7%だった。

原価率も60%程度でほとんど変化しておらず、メモリ高騰の影響を強く受けている様子はない。

利益率が上がっている背景には、ソフトウェアの売上比率が高まっていることがありそうだ。10月~12月のハード売上高比率は65.1%だった。7月~9月は67.2%、発売初月を含む4月~6月は78.8%である。販売から時を重ねるごとにハードの売上比率が下がっているのだ。

そして、利益率が高い自社ソフトの売上比率が高いことも特徴だ。70%以下だった自社比率は80%まで上がっている。

高関税という逆風を円安が跳ね返す構図に

アメリカのトランプ関税の影響を回避している点も見逃せない。

Nintendo Switchが業績にフルで寄与した2018年3月期の営業利益率は16.8%で、今期は15.8%だ。1ポイント低下している。しかし、純利益率は18.8%であり、2018年3月期と比べて5.5ポイントも上昇しているのだ。

要因は2つある。今期は円安が進行した影響で480億円もの為替差益がプラスされていることと、モバイルゲームの「Pokémon Trading Card Game Pocket」(ポケポケ)が大ヒットした影響で、関連会社から650億円近い利益がもたらされているのだ。

円安に振れていることは、任天堂にとって特に追い風である。Nintendo Switch 2の米大陸の販売台数は598万台で、日本よりも120万台多い。任天堂は高関税を価格転嫁せずに原価として吸収するという身を切るような作戦に出たが、それによって販売台数を伸ばすことに成功した。

そして、稼いだドルの価値が相対的に上がっていることで、任天堂の最終的な利益率を伸ばしているわけだ。

任天堂は今期のドル円における想定為替レートを150円としているが、現在は155円前後で推移している。今週末の衆院選で大きく動く可能性は残されているものの、さらなる差益が生じる余地は十分に残されているように見える。

残りの四半期において任天堂は、1月15にリリースした世界的ヒットシリーズ「あつまれ どうぶつの森 Nintendo Switch 2 Edition」をはじめ、バトルをしないポケモンゲームという意欲作「ぽこ あ ポケモン」、海外で根強い人気を持つテニスゲーム8年ぶりの新作「マリオテニス フィーバー」の発売を控えている。

業績のさらなる伸長にも期待できそうだ。

自社ソフトの売上比率が高いことが強みの一つだが…

任天堂のゲーム機を取り巻く環境も今後変化する兆しがある。サードパーティーによる開発の強化だ。

サードパーティーとは、ハードを供給する会社以外のゲームメーカーを指す。日本では、カプコンやコナミ、バンダイナムコエンターテインメント、KADOKAWA、スクウェア・エニックスなどが該当する。

任天堂は自社ソフトの開発に強みを持っていたが、息の長い収益性を保つためにはサードパーティーの協力が必要だ。PlayStationのソニーグループは、任天堂とは真逆の戦略をとっている。

スクウェア・エニックスの人気シリーズである「ファイナルファンタジー」は主にPlayStation向けに開発してきたが、同社はマルチプラットフォーム化へと戦略を転換。今年1月22日にNintendo Switch 2向けの「ファイナルファンタジーVII」のリメイク作品をリリースした。方針を変えたことで、シリーズの新作をNintendo Switch 2でも発売するという未来も視野に入ってきた。

累計3000万本のメガヒット作「エルデンリング」の生みの親であるフロム・ソフトウェアは、Nintendo Switch 2専用ソフト「ダスクブラッド」を今年発売予定だ。

任天堂が良作を作る高い企画力と技術力を持っているのは間違いないものの、IP創出の難易度は上がっており、いつまでも自社でヒット作を出し続ける保証があるわけではない。

ゲーム機のさらなる普及や成長性を獲得するためには、サードパーティーの協力が不可欠だろう。今後の成長戦略としてどのような青写真を描くのかにも注目したい。

取材・文/不破聡

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