〈再生回数が1億超〉「高市人気だけじゃない」「数億円では済まない」政党交付金131億円の自民党が仕掛けた前代未聞のネット空中戦のウラ側…参政・神谷党首は恨み節
〈再生回数が1億超〉「高市人気だけじゃない」「数億円では済まない」政党交付金131億円の自民党が仕掛けた前代未聞のネット空中戦のウラ側…参政・神谷党首は恨み節

自民党の公式YouTubeチャンネルに投稿された、高市早苗総理によるPR動画の再生回数が、公開から10日足らずで1億回を超えた。背景には、膨大な広告費の存在があるとみられる。

選挙のSNS戦略にくわしい専門家は「広告予算は数億円では済まないのではないか」とも指摘している。

参政党が苦しみ、自民党が圧倒する“ネット空中戦”

「ネットの空中戦に苦戦しています。他党はめちゃくちゃお金かけている」

2月3日に、自身のXにこう投稿したのは、参政党の神谷宗幣代表。参政党は、昨年7月の参院選において、一挙に14議席を獲得した。神谷氏の演説がショート動画などで拡散され、SNS上で支持を集めたことが、背景の一つと指摘されてきた。

しかし、今回の衆院選では様相が異なる。参政党が1月23日に公式YouTubeチャンネルに投稿した「~日本人ファースト~子供たちの未来のために私たちが出来ること-2026-」は約1300万回再生。

それを遙かに凌駕したのが、1月26日に自民党の公式YouTubeチャンネルに投稿された「【高市総裁メッセージ】日本列島を、強く豊かに。」という動画だった。再生回数は、1億1000万回以上と、異常な回数だ(いずれも2月5日時点)。

自民党の副大臣経験者はこう指摘する。

「夜寝るときに、テレビでYouTubeをつけっぱなしにしているが『高市早苗です。挑戦しない国に未来はありません』という動画がもう嫌になるほど、流れてくる……。

自民党が、これまでにないほど、SNSの広告宣伝費に膨大な金額を使っていることは間違いない」

自民党の公認候補者も「2024年衆院選および昨年の参院選では、SNSが選挙結果に影響を与えることを実感し、自民党本部も方針を見直したのでしょう」と指摘する。

中道改革連合の関係者からは、こんな悲鳴も上がる。

「高市総理の動画広告は、Xにも1日中表示されていたり、YouTubeで中道改革連合の候補者を検索しても表示されたりしていた。お金をつっこめば、いくらでもできてしまうので、結局は物量戦になってしまっています」

「無理矢理まわしているのは明らか」ITジャーナリストの分析

資金力の勝負となれば、議席数に応じて算出される政党交付金を多く受け取っている政党が有利だ。その点、2025年分の政党交付金は、約131.6億円を受け取った自民党が首位だった。

今回の件について、専門家はどうみるのか。ITジャーナリストの三上洋氏が解説する。

「自民党の公式YouTubeチャンネルでは、高市総理の1億回再生の動画を含めて、いくつかの動画に限って、異様に再生回数が多い。広告によって、再生回数を無理やり回しているのではないでしょうか。

実際、SNS上では、クリックしなくても、自動的に高市さんの動画が再生されるかたちでの広告も確認できます。これだけの再生回数を確保するには、数億円の広告費では済まないはずです。

公職選挙法では、候補者個人による選挙運動のための有料ネット広告はアウトの一方で、政党が選挙運動用ウェブサイトに直接リンクした有料インターネット広告を出すことは認められています。

ただ、これだけの広告を出す政党が出てくると、ネット選挙の公平性の観点から問題が出てくる。

物量規制などをしなければ、規模が大きく、資金力のある政党が有利になってしまいます」(三上氏)

2025年成立の改正公選法では、「(SNS活用について)必要な措置を講じる」と附則に記された。しかし、国会で議論が進むものの、いまだに結論は出ておらず、手つかずの部分も多い。

「選挙カーで候補者の名前を繰り返し連呼すれば、認知度があがって得票が増えます。それと同様に、ネットのショート動画と比例して、認知度があがっていきます。そう考えると、いまやリアルとネットでも同様の効果が得られるわけです。

公職選挙法では、戸別訪問の禁止や、ポスターの枚数制限など、選挙活動の平等性について厳しく定められています。ネット広告についても同じようなことは検討されてしかるべきでしょう」(同前)

8000万円の広告費が支えた総裁選

近年、政治とインターネットが切り離せなくなっている。こうした中、高市総理自身、ネットを駆使して、求心力を高めてきた面がある。

「いまや圧倒的な人気を誇る高市総理ですが、初挑戦となった2021年の自民党総裁選では、安倍晋三元総理のバックアップを受け、114の議員票を獲得したものの、党員票は74にとどまった。党員票では岸田文雄元総理や河野太郎元デジタル相に負けた。知名度不足は否めず、決選投票にも進めなかった」(自民党関係者)

2度目の挑戦となった2024年の総裁選で、高市陣営が秘策としたのが、SNS戦略だった。

「同年の都知事選で“石丸フィーバー”を巻き起こした選挙プランナーの故・藤川晋之助氏の支援を受け、SNS部隊を動員。

YouTubeチャンネルの総再生回数は300万回以上と、他候補を圧倒した。党員票も石破氏を上回った」(高市選対関係者)

この年、高市総理の資金管理団体「新時代政策研究会」から、総裁選関連で約8000万円の広告宣伝費の支出があったことが、毎日新聞の報道によって明らかになっている。

「自民党は毎年、党員獲得数が多かった国会議員を発表しています。2023年と2024年はいずれも、青山繁晴氏が1位、そして高市氏が2位という結果でした。ネット上の人気が高い保守系の二人の事務所経由で、党員になる人が増え、自民党員の質も、これまでと変容してきています」(自民閣僚経験者)

ネットが支える“高市人気”。果たしてその行き着く先は――。

取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班

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