風俗店でくも膜下出血を発症した体験を描いた『くも漫。』など実写化作品も持つ漫画家・中川学が、自身の婚活に奮闘する日々を赤裸々にした新刊コミックエッセイ『独りで死ぬのはイヤだ 年収200万円、48歳独身漫画家の婚活記』が発売された。
今回は、作中にも登場する漫画家・敦森蘭との対談が実現。作中で描かれた“告白”の真相から、漫画家同士ならではの距離感、そして結婚をめぐる本音まで──本人たちに改めて聞いた。(全3回の1回目)
初対面の印象は「チャラいなー!」
――漫画ではデート(?)の様子から始まっていますが、改めて、お二人はどういう関係なんでしょう? 出会いのきっかけを教えてください。
中川学(以下、中川) たぶん11~12年ぐらい前、共通の漫画家の知り合いがいて、その集まりで会ったのが初めてだと思います。
敦森蘭(以下、敦森) もうずいぶん昔の話になりますが、東京で会いましたね。二人とも北海道出身なんですよね。だから話したら、「北海道なんですねー」みたいな。
――北海道のどちらですか?
敦森 函館市です。
中川 僕は十勝地方(中札内村)です。
――では、同じ北海道出身で上京してきた漫画家同士ということで、そこから交流が増えたり……?
敦森 増えてもないです。別に(笑)。
中川 増えてない。本当に全然増えてなくて、なんか1年に1回、共通の誰かの集まりで偶然会うぐらい。
敦森 年に1回どころじゃないと思います。ずっと別に会ってない。2回目も、どこで会ったかすら覚えてない。
中川 確か、「下北沢ろくでもない夜」(ライブハウス)でやってた「モテないフェス」(トークライブ)とかですよ。
敦森 あー! そうそう。
中川 放送作家のゴウヒデキさんが主催してるライブで、シンガーソングライターの細身のシャイボーイさんとかも出てた。「モテない」を題材にするライブでしたね。
敦森 モテないエピソードを話す、みたいなやつ。
中川 僕は漫画『くも漫。』で描いた話──モテないから風俗に行って、その最中にくも膜下出血で倒れた話をして。
――敦森さんも出演されたんですか?
敦森 いや、私は友だちとそのライブを観に行っただけです。
――初対面の印象はどんな感じでした?
敦森 年齢を聞いたら意外とすごい離れてて、びっくりしたのは覚えてますね。
――中川さんが若く見えた?
敦森 そうですね。もっと若いかと思いました。でも同じ北海道出身で親近感は湧いたんですけど、中川さんが人見知りキャラなのか、ずっと距離感が掴めない感じで。そのときも、それからもしばらく……。いや、未だにそのイメージはありますね。
――中川さんは敦森さんに対してどんな印象でした?
中川 僕はすごい覚えてて……「チャラいなー!!」って。
敦森 ええ!(笑)
漫画で描かれた“告白”の真相について
中川 生きてきた世界が違うっていうか。最初の集まりを主催した人もチャラい人だったので。
敦森 まあ、それは正しいかもです。
中川 蘭さんは完全にその一派だと思ってました。
敦森 一派じゃないですよ。やめてください(笑)。変な誤解を記事にしないでくださいね。
中川 だから絶対近づくことはないだろうと思ってたんです。「東京に来てこんな貴重な経験できてよかった、はい終わり」みたいな。
――いわゆる“パリピ”みたいな?
敦森 全然パリピじゃないです。その日の会だって、みんなで演劇やろうぜって、根暗の話で……劇団名決めようとか、そんな話ばっかりしてましたよ。
中川 だからしばらくはあまり交流はなかったのですが、別で共通の漫画家の友だちがいることがわかったんです。その漫画家の方は、どっちかというと“僕側”というか。
――その漫画家さんが敦森さんと仲がよかったと…。
中川 そうです。そこで急に安心感が湧いたんですよね。そこから普通に話すようになって。そしたら意外と、恋愛とか結婚に対して生真面目な感じがあって。僕の中の最初に抱いたイメージと全然違ってたんですよね。
敦森 ギャップがあったんですね。よかった。誤解が解けて。
――そこから漫画でも描かれたように、デートをするような関係になったんですか?
敦森 あれは……デート……ですか……?
中川 僕はそう思ってます!
――作中で描かれていた、中川さんからの“告白”は覚えていますか?
敦森 覚えてますけど……ここでちゃんと弁解したいですね。脚色されてます(笑)。言ってないセリフとかあります。
――具体的には?
敦森 私が中川さんに告白されて、「“好き”ってより、“イケる”と思っただけじゃないですか?」みたいなことを言い返していますけど、そんなセリフ、言ってないです。
中川 そうですか?
敦森 盛ってますよ。
中川 でも、だとしても、そこ以外はかなり事実ベースじゃないですかね!? 確かに、時間が結構経っていたので、どうだったかなって考えながら描いていました。本当は確認したいけど、蘭さんにわざわざ確認するなんて絶対できないから……。
敦森 そうです。大体、無断で載せられてることは公に言いたいです。
中川 そこはね……(最終的に許諾いただき)ありがとうございました。あのあとのご飯のときにもいろいろ指摘をくださって。セリフもピンポイントで覚えていて、「さすが漫画家だな!」って思いました。
敦森 だって私はあんなセリフ言わないですもん。
「もっと脈はあるかなって思ってました」
――もしかしたら中川さんが“告白ーズ・ハイ”に入っていて、脳内でどんどん変化した可能性もありますよね。
中川 そうですね。なんなら、僕の言動とかはもっとキモかったと思いますけど、そこは描いてませんからね。
――では、敦森さんは“告白”に対して、率直にどう思いましたか?
敦森 告白の前から「近くまで送りますよ」って何回か言われて、それがすごいめんどくさいなって思ってて……。私、早く一人で帰りたかったので、何回か「いいですいいです」って断ったんですが、それでも「送りますよ」ってついてくるのがしつこくて。なんか「やだなー」っていう印象で……。
――中川さん的には、告白の“感触”はどうでした?
中川 蘭さんの今の口ぶりよりは、もっと脈はあるかなって思ってました。今、答え合わせができました。暗い気持ちになりました。
――敦森さん的には、ほかにご指摘したい箇所などは?
敦森 私の家の方面を出してるの、めっちゃアウトですね。
中川 でも僕、実際に蘭さんの家は知らないですよ。
敦森 でも、住んでるエリアがなんとなくバレるような描き方してるじゃないですか。女性って結構そこシビアで、どの辺に住んでるかも隠してるというか。あれで「どっち方面」って分かっちゃう。配慮が足りないなって思いました。もう引っ越しましたけどね。
中川 それは本当にすみません。
独りで死ぬのはイヤだ 年収200万円、48歳独身漫画家の婚活記
中川学
累計5000万PV突破!(2025年12月現在)
「集英社オンライン」の大人気コミックエッセイ連載が単行本化!
デビュー作『僕にはまだ友だちがいない』がNHKで実写ドラマ化。自身のくも膜下出血体験を描いた壮絶実録漫画『くも漫。』が実写映画化するなど、常に話題を呼ぶ漫画家・中川学。
コロナ禍のある経験がきっかけとなり、年収200万円、48歳の独身漫画家が婚活に目覚めた! 「友人や知人」「マッチングアプリ」「婚活パーティー」「お見合い」……いろんな形で本気の婚活に挑む実録コミックエッセイ! その結末は?
マンガのほか、各婚活で学んだコラムや誌上お見合いのレポートなど読み物も充実。
#2「漫画家2人の語る“結婚観”…家族と結婚の違い」へつづく
取材・文/集英社オンライン編集部 撮影/井上たろう

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