「孫の顔見たいに決まってるやん!」オネエタレントゆしん、母を号泣させたカミングアウト秘話…18歳で女性不信から気づいた本心
「孫の顔見たいに決まってるやん!」オネエタレントゆしん、母を号泣させたカミングアウト秘話…18歳で女性不信から気づいた本心

かつてバラエティ番組で強烈な存在感を放っていた、オネエタレントのゆしん。街中にイケメンを探しに行く企画に体当たりで挑むなど、明るいキャラクターでお茶の間を沸かせたゆしんだったが、その笑顔の裏には学生時代から抱えてきた葛藤があった。

〈前後編の前編〉

鑑別所出所後のある出来事で女性不審に

待ち合わせ場所の都内カフェに現れたゆしんは、まつげにはエクステンション、指先にはキラキラとしたネイルがほどこされ、かつてテレビで見た“元気なおネエ”とはまた違う、凛とした正統派の美女になっていた。

「ご自身の心が女性であることに気づいたのはいつ頃でしょうか?」と、記者がド直球の質問を投げかけると、ゆしんはまっすぐ目を見つめてこう答えた。

「自分を“女性だ”と思ったことはないんです。体を女性に変えたいって気持ちはこれから先あるかもしれないですが、今はなくて。ただ、小学生のころから男の子がデジモンに夢中になってる中で、私はセーラームーンとか、レースみたいな可愛いものに惹かれていました。

当時は田舎だったこともあり、ピンクのものを持っているだけで『お前、男だろ!』ってからかわれて。うちは親が離婚して裕福ではなかったので、洋服はいつもお姉ちゃんのお下がり。それがまた恥ずかしくて…。

体育の時、お姉ちゃんのお下がりのブルマを履いていたのをからかわれたのは、本当につらかったですね」

やんちゃな性格だったため、学校では常に目立つグループにいたそうで、意外にも中学ではラグビー部に所属していた。

「先生に『お前ら全員ラグビー部入れ!』って言われて、目立ってる連中がまとめて放り込まれたんです(笑)。仲良しのメンバーで入ったんですが、好きな先輩がいて、初めてみんなで着替えたときすごく恥ずかしかった。

当時は“男は女を好きになるもの”と思ってたから、この気持ちは間違いなのかなって…。バレたくなくて、逆に男らしく振る舞ってました。

でもスクラム組むときにドキドキして、『この気持ちは何なんやろ…』って。その気持ちを誰にも言えずにいました。その時期に女性とも付き合いましたけど、やっぱり違うって感じたんです」
 

しかし、好きになった女性とは悲しい結果で破局を迎えてしまったそうだ。

「その時、自分は少し荒れていて、鑑別所に入っていたこともあったんです。彼女とは結婚まで考えていたんですが、鑑別所から出たら彼女は別の方の子供を妊娠していて結婚することになったんです…」

今の姿からは想像もつかないが、実はゆしんは中学時代、かなりヤンチャをしていたそうだ。

走り屋として鳴らした青春時代

「当時、走り屋のチームみたいなのを作って、みんなでバイクで走ったりもしていましたね。当時、中学では番長争いがあったんですが、他校の番長が学校に来て、『この学校の番長出てこい!』って呼ばれたんです。

当時は校内の目立つグループにい目をいたこともあり、勝手に学校のトップ2に入れられていたんですよね。だけど、身長190センチ以上もある番長の前に、当時160のちびっこの私が出ていったものだから『えっ?お前が番長?』って向こうも驚いて。

番長とケンカするのも面倒だったので『飴ちゃんあげるから帰って』と言ったら、『なんやこいつ?面白いな』と思われたらしくて、その後めちゃくちゃ仲良くなりました(笑)」

まるで漫画のようなエピソードだが、笑い話ばかりではない。

「友達が他校の不良に連れ去られたので、ヤンキー同士で公園で喧嘩することになったんです。こっちが15人に対して、金属バットや角材を持った奴らが50人以上もいて。

私はゴルフのクラブを持って、『誰がこいつしばいたんやコラ!出てこい!タイマンじゃ!』と威勢よく向かって行ったんですが、後ろからでかい北斗の拳のラオウみたいな奴が金属バットをもって襲ってきて、もうボッコボコにやられて。

この件で警察に捕まって、鑑別所に入ることになりましたね。って、恋愛の話から大分それちゃいましたけど」

結婚を約束していた彼女から裏切られたことで女性不信になり、男性しか愛せないと気づいたのは18歳の時だった。

「当時流行っていた掲示板、今でいう出会い系サイトで19歳の男の子と鶴橋で会いました。今までは、男性が男性を好きになるのは間違いなのかなと思っていましたが、その方と何度か会って悩みを相談してるうちに特別な感情を抱くようになってしまって。初めての経験を通してそのとき初めて“これは間違いじゃないんや”って思えたんです」
 

さらに、YouTube番組『ガイ録チャンネル』では“小6で初体験”と衝撃のカミングアウトもしていた。

「実は性には貪欲で、初体験は小6でした。同じグループでよく遊んでいた女の子がいたんですが、ある日その子の家にお泊りに行ったら、部屋に2人きりになった時、コンドームを出してきて『使い方、教えてあげる』って、そのまま…。その子のお母さんと妹も隣の部屋にいたんですが、初体験は無事に終わりました(笑)」

話の流れに乗り、記者はさらにセンシティブな質問にも切り込んだ。

「自身の心が女性であることについて、ご家族にカミングアウトした時の反応はいかがでしたか?」

するとゆしんは少し考え、こう答えた。

母親を大号泣させたカミングアウト

「上京していろんな人と出会って、改めて母親の苦労がわかったんです。だから、自分が男性を好きだと伝えたら親不孝なんじゃないかって思ってしまって、ずっと母には内緒にしていました。その気持ちを抱えたまま、どうしていいかわからない時間が続いていました」

テレビ出演当初は女装もしておらず、ゆしんを紹介するテロップには“??キャラタレント”と書かれており、完全なオネエではなく曖昧な立ち位置だった。

「お母さんに、『周りから、テレビ出てるわよって言われたけど、あのキャラはどういうこと?』と聞かれた時には、あれはああいうキャラクターを演じてるだけだよって。長い間、本当のことは言えなかったですね」

しかし、転機となったのは日本テレビのバラエティー番組『深イイ話』だった。

「それまで実家に帰る時は、わざわざ男性の格好をしてネイルも外していたんですが、お母さんに女装姿で会いにいくというドッキリ企画で本当にアポ無しで行ったら、お母さんと再婚したパートナーとお姉ちゃんが家にいて。

突然カメラが回っているわけですから、家族はみんな驚いていたんですが、その時初めてお母さんに”男性が好き”ということを伝えたんです。実は『わかってたわ』という反応がくるかと思いきや、まさかの号泣されてしまって。

全く想像と違う反応に、わたしも涙がでてきてしまって、『おかん、孫なんていらんわと言うてたやん』と言ったら、『孫の顔、見たいに決まってるやん!』と言われて…。私、お母さんの気持ちを全然わかってなかったんです」

その後30分の沈黙の時間を経て、母の口から「親は親やし、子は子やからな。あんたが幸せならそれでええわ」という言葉が出た瞬間、涙が止まらなかったという。

「この時は周りのスタッフさんもみんな、大泣きしていました。あまりにも大泣きしてしまったので、スタッフさんから『これは、バラエティーとして放送するのは勿体無いから』と、企画はお蔵入りになるほどでした。

次の日母親に、『ごめん、テレビやからキャラ作ってもうたわ』とウソをついたら、『あんた、お詫びに旅行にでも連れて行きなさい!』と言われました。

だけどその後に姉から、『どれだけお母さんが”息子がオカマ”と言われてるか知らないでしょ、あなたが芸能界にいるのは勝手だけど、家族を巻き込まないで』と、メールが来ていて、その言葉がグサっとささってしまって。

でもその後は、テレビに出続けることで、サイン欲しい人がいる、と家族に頼まれることも増えて、お母さんも少しずつ受け入れてくれるようになって。今では、あんたは息子か娘どっちなの?とネタにされています(笑)」

(後編に続く)

取材・文/佐藤ちひろ

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