〈高市自民300議席超も〉もはや野党は敵じゃない! 人気政権、本格始動へ…増税派自民議員・積極財政ブレーンとどう対決すべきか
〈高市自民300議席超も〉もはや野党は敵じゃない! 人気政権、本格始動へ…増税派自民議員・積極財政ブレーンとどう対決すべきか

高市早苗総理による奇襲作戦で幕を開けた解散総選挙だったがその狙いどおり高市・自民党は圧勝した。対照的に立憲民主党と公明党の電撃的合併によって誕生した「中道改革連合」にとってはかなり厳しい選挙結果に。

経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏は「高市首相はこれから2つの敵と戦わないといけない」と語る。その敵とは?

つまり、もはや野党は敵ではない

高市早苗首相率いる自民党が、大勝した。維新の会との連立維持を前提としつつも、自民単独でここまでの数字を叩き出した意味は重い。選挙戦終盤に各社が報じた「自民の大勝」という情勢調査は、現実のものとなった。

これにより、高市政権の足元は盤石となる。参議院では依然として少数与党の状況が続くものの、これだけの民意という「後ろ盾」を得た今、野党側が高市首相の政策に正面から反対し続けることは政治的な自殺行為に等しい。当面の間、野党は高市政権の決定を追認せざるを得ないだろう。

つまり、もはや野党は敵ではない。高市首相にとっての「本当の戦い」は、まさにこの瞬間に幕を開けたのである。

戦うべき相手は、外にいるのではない。身内にいる。具体的には、党内で虎視眈々と増税を狙う「財政規律派議員」、甘い言葉で国債発行を唆す「積極財政ブレーン」だ。

経済学の最先端の知見は、緊縮財政の主張を明確に否定

これからの数年、日本が復活できるか、それとも衰退の道を転げ落ちるかは、高市首相がこの「2つの敵」といかに戦い、勝利するかにかかっている。

第一の敵は、経済を殺してきた「増税派」自民議員だ。

選挙戦で高市首相は「消費税減税」を公約に掲げ、国民の信認を得た。しかし、自民党内には依然として、財務省の振り付け通りに「財政健全化のためには増税が不可欠だ」と信じて疑わない議員が多数存在する。

彼らは選挙が終わったこの瞬間から、「減税の見直し」や「将来的な増税」を画策し始めるだろう。高市首相によって勝たせてもらったからといって増税を捨てるほど、自民党の増税議員はヤワではない。

だが、経済学の最先端の知見は、緊縮財政の主張を明確に否定している。

ハーバード大学のアルベルト・アレシナ教授らが2019年に発表した名著『Austerity: When It Works and When It Doesn't(緊縮財政:うまくいく時、いかない時)』における実証研究が決定的だ。

「増税して財政再建」は愚策中の愚策

アレシナ教授らは、1970年代後半以降の先進16カ国における数千もの財政措置を詳細に分析した。その結果、明らかになった事実は衝撃的である。

財政再建を行う際、「増税」を中心に行った場合と、「歳出削減」を中心に行った場合では、経済へのダメージに決定的な差が出るのだ。データによれば、増税による財政調整は、歳出削減によるものと比較して、GDP(国内総生産)成長率に対する阻害効果が数倍も大きい。

具体的には、増税は投資を冷え込ませ、消費を減退させるが、歳出削減はむしろ将来への安心感を生み出し、民間投資を刺激する「拡張的緊縮」をもたらす可能性があると指摘されている。

つまり、「増税して財政再建」というスローガンは、経済成長を自ら放棄する愚策中の愚策なのである。

増税を口にする前に、やるべきことは山ほどある。

徹底した歳出削減だ。日本には、効果の疑わしい補助金や、硬直化した予算配分が山積している。そもそも、自民党議員たちは何のために年間3000万円もの歳費を受け取っているのか。

それは、国民に新たな負担を強いるための言い訳を考えるためではなく、自らの身を削り、既得権益に切り込んで無駄を排除するためではないのか。「増税」という安易な選択肢に逃げる議員には、高市首相は断固として「NO」を突きつけなければならない。

高市首相の周囲に群がる「積極財政」ブレーン

第二の敵は、無責任な「積極財政」ブレーンだ。

増税派と同様に、いや、ある意味でそれ以上に厄介なのが、高市首相の周囲に群がる「積極財政」を信奉するブレーンたちだ。彼らはこう囁く。

「自国通貨建ての国債なら、いくら発行してもデフォルト(債務不履行)はしない」「インフレにならない限り、財政出動は限界まで行うべきだ」と。

一見、国民にとって耳障りの良いこの主張は、アヘンのような甘い毒を含んでいる。国際通貨基金(IMF)が2024年4月に発表した『Fiscal Monitor(財政モニター)』は、この楽観論に冷や水を浴びせている。

報告書は、2024年が世界的な「大選挙イヤー」であったことに触れ、選挙目当ての放漫財政が繰り返されるリスクに警鐘を鳴らした。

IMFの分析によれば、選挙のある年は、ない年に比べて財政赤字がGDP比で平均0.3%悪化する「政治的予算サイクル」が確認されている。

金利上昇という形で返ってきて、将来の国民生活を圧迫する

さらに深刻なのは、高債務国における無規律な財政支出が、中長期的な経済成長を0.1~0.3%抑制し、金利上昇リスクを高めるという事実だ。

現に、米国の長期金利は2020年の1%未満から、2023年には一時5%まで急騰した。IMFの実証分析では、米国の金利が1%上昇すれば、他の先進国の金利も連動して上昇することが示されている。

借金で賄った財政出動は、短期的には景気を浮揚させるかもしれない。高市首相の任期中は、それで経済が回っているように見えるだろう。しかし、そのツケは確実に金利上昇という形で返ってきて、将来の国民生活を圧迫する。

「借金は借金」なのである。魔法の杖ではない。

ブレーンたちが提案する巨額の財政出動の中身を見ると、生産性の低い公共事業やバラマキが散見される。経済産業省のデータなどが示す通り、成熟した日本経済において、かつてのような公共投資による高い経済効果は望めない。

もし国債を発行するというのなら、それは将来の成長を生む「投資」か、あるいは「減税の原資」に限定すべきだ。IMFも、基礎研究などへの投資には高い乗数効果(リターン)があると認めている。

逆に言えば、それ以外の、単なる延命措置のようなバラマキ予算には、一円たりとも国債を使ってはならない。

将来世代にツケを回すだけの「借金依存」は、無責任の極みである。具体的には、造船業に莫大な補助金をだす?…はぁ?というわけである。

 高市圧勝…このニュースはゴールではない

今回の総選挙における自民党の圧勝は、単なる一政党の勝利ではない。それは、日本政治が「その場しのぎの対症療法」から、「数年、数十年先を見据えた改革」へと脱皮できるかどうかのラストチャンスを意味している。

実証データが示す通り、安易な増税も、無制限の国債発行も、どちらも日本を滅ぼす道だ。

高市首相が歩むべきは、第三の道である。すなわち、公約通り「消費税減税」を断行して国民の可処分所得を支えつつ、徹底した「歳出削減」で無駄な贅肉を削ぎ落とし、成長分野(科学技術・防衛・教育)へ資源を集中させることだ。

そして、忘れてはならないのが「国家の背骨」である。経済合理性だけでは、国は守れない。国民が国家に誇りを持ち、自らの国を自ら守るという気概を取り戻すことが必要である。

盤石な政権基盤を持つ首相が恐れるものは何もない

諸外国や一部メディアが批判しようとも、もはや盤石な政権基盤を持つ首相が恐れるものは何もない。

高市圧勝。このニュースはゴールではない。

日本を取り戻すための、長く険しい、しかし希望に満ちた「本当の戦い」の始まりなのだ。

改めて言う。高市首相が対峙すべきは、もはや死に体の野党ではない。それは、国民に負担を強いることを正義と勘違いした身内の「増税派」であり、あるいは心地よい響きで財政規律を麻痺させる「積極財政」の甘言である。データが示す通り、増税は経済を壊し、放漫なバラマキは次世代の希望を奪う。

今、高市首相に求められているのは、ポピュリズムとも官僚主導とも決別した道だ。消費税減税という国民との約束を果たしつつ、聖域なき歳出削減という身を切る改革を断行できるか。

今、歴史の針が大きく動き出した。日本を取り戻す戦いは、まだ始まったばかりだ。

文/小倉健一 写真/shutterstock

 

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