2026年1月の青森での大雪災害についてNHKは「受信料の免除について」といった資料を発表した。被災者が2カ月間、NHKの支払いを免除されるというものだが、元NHK党秘書でコラムニストの村上ゆかり氏は「免除されるためには受信契約者から免除申請をする必要がある。
2026年1月、青森県の日本海側を中心に記録的な大雪
2026年1月。青森県の日本海側を中心に記録的な大雪が続き、町は一夜にして白い壁に囲まれた。住宅の屋根には2メートル近い雪が積もり、重みに耐えきれず沈み込む家が次々に現れた。天井にひびが入り、壁がゆがみ、窓が開かなくなった家も多い。
テレビのニュースでは、屋根が傾き、居間に雪が落ち込んだ家の映像が流れていた。布団の上に雪が積もり、住民が呆然と立ち尽くす姿も映されていた。別の地域では車庫が倒れ、車が押しつぶされた。物置が崩れ、生活用品が雪に埋もれた世帯もあった。
NHKの受信料免除制度には、大きな欠陥が存在
災害大国、日本。日本にとっては、地震、豪雨、台風、豪雪、土砂災害は地域によってその種類は違うものの、生活そのものが止まる規模の災害は決して珍しいものではない。
被害の地域は毎回違うが、日本に住む以上、多かれ少なかれどこで暮らしていても被災者になる可能性はあるだろう。だからこそ、日本では災害対応に関する制度や法律が長年かけて整備されてきた。
災害救助法、被災者生活再建支援法、各種減免制度、支援金制度などが用意され、国や自治体が連携して被災者を支える仕組みが築かれている。
日本で暮らしている以上、災害は避けられない。だからこそ、災害時の支援制度は、本来であれば誰にでも確実に届く形で機能することが強く求められる。
NHKにも、災害時に被災者に対して受信料を免除する制度がある。災害で生活が困難になった人の負担を軽減することを目的としている。しかしこのNHKの受信料免除制度には、大きな欠陥が存在している。
日本放送協会は、「『令和8年1月21日からの大雪』における受信料の免除について」という資料をNHKの公式ホームページで公表している。
災害救助法が適用された区域内で、自治体から「罹災証明書」が発行された世帯を免除の対象範囲としており、免除ができる期間は2か月間と定められ、被災者が免除を受けるためには、受信契約者(家族、親族も含む)からの免除申請によるものとされている。
NHK受信規約上、申請がなくても免除する場合もあるそうだが…
放送法第64条第4項では、NHKは総務大臣の認可を受けた受信料の免除基準によらなければ、受信料を免除してはならないと定められている。つまり、NHK受信料を免除するためには、必ず認可された基準=NHK受信規約に従う必要がある。
NHK受信規約を見てみると、第10条には、「免除基準に該当する受信契約については、申請により、受信料を免除する。
つまり、NHK受信料の免除を受けたい人は、NHKが定めた免除申請書に証明書を添えて放送局に提出しなければならないが、災害被災者については、申請がなくても免除することがあるそうだ。
一体どういうケースで申請が不要となるのか、また免除申請ができる期間は限られているのか。NHK公式ホームページを探してみたが具体的な案内が見当たらないため、筆者はNHKに電話で問い合わせてみた。
まず筆者は、NHKの主な問い合わせ窓口とされているNHKふれあいセンターに電話をかけてみた。自動音声案内に従い番号を選択し、5分ほど待ってから、オペレーターの女性が応答してくれた。
NHKふれあいセンターでは制度を教えてくれなかった
オペレーターの女性に対し、「一般論として、今回の大雪災害における免除申請期間はいつからいつまでなのか、申請しなければ免除されないのか」質問してみた。
すると、「被災された契約者様でしょうか」と問われ、「違います。制度を知りたいのです」と答えると、「被災された契約者様、ご家族様、ご親族様以外の方にはそのようなことはご案内しておりませんので、お答えできません」と返された。
取材目的であり、災害時の一般的な制度として知りたいと伝えると、「こちらではお答えしておりません」と言われ、お住まいの放送局へ問い合わせてほしいと案内を受けた。
案内通り、筆者が住んでいる地域管轄の首都圏局(視聴者リレーションセンター東京東オフィス)へ電話をかけた。先ほどと同様に災害時の免除申請はいつまで受け付けるのか、申請しなくてよいケースとはどういうケースなのかを質問したところ、以下の回答があった。
・免除は申請ベースが原則である
・自治体が罹災証明書を発行した住民リスト(個人情報)をNHKに提供してくれればその情報をもとに免除するケースがある
・罹災証明書を発行した住民リストをくれるかどうかは自治体次第
・自治体から罹災証明書を発行されていない被災者は原則として免除対象外
・災害の免除申請の場合はいつ申請しても遡って免除することができる
受信料免除のために、被災者に申請を求めるのは妥当なのか
1月に大雪災害による災害救助法の適用を受けた地域の管轄である青森放送局(経営管理企画センター)に電話で問い合わせたところ、自治体から罹災証明書リストを得ることについて「個別具体的な回答は控えるが、個人情報をもらうことはハードルが高い」「基本的には個人で申請してもらっている」という説明を受けた。
つまり、制度上は自治体連携による免除も想定されているものの現実的には難しく、実際の運用は原則とされている“被災者等による免除申請により免除制度の運用が行われている可能性が高そうだということがわかった。
大雪災害の直後、被災者は住む場所の確保、食料や燃料の調達、家の修理、家族の健康管理に追われている。屋根が壊れ、壁が割れ、避難生活を続けながら将来への不安を抱える人も多い。
このような状況で、NHKは受信料免除のために申請することを求めるのは妥当なのだろうか。申請という手続きは被災者にとって過度な負担ではないか。
被災者への配慮を無視するNHKの横暴
被災者への配慮が必要な点は公的資料でも繰り返し指摘されている。例えば、総務省消防庁が2022年にまとめた『災害対応検証報告書』では、「被災初期においては、住民が行政手続に十分対応できないケースが多数確認された」「申請主義による支援制度は支援漏れを生みやすい」と指摘されている。
東日本大震災後に内閣府が2014年に公表した『被災者支援制度の検証報告』でも、「申請を前提とした制度は高齢者や単身者にとって大きな障壁となった」と記されている。
つまり、災害直後の被災者に支援のための申請を求めること自体が過度な負担となり現実的でないことを示している。NHK受信料の免除制度はこれらの公的資料の指摘を無視して、申請をベースとした免除制度になっているのだ。
NHKが申請をベースとした免除制度を採用しているのは、自己保身のためではないか。申請制にすれば免除件数を抑えやすく、受信料収入の減少を最小限にできる。対象管理や事務処理もしやすい。NHKにその意識がなくとも、NHK都合の免除制度を俯瞰してみれば被災者の生活よりも組織の都合が優先されているように見える。
マスメディアの立場でありながら、この自らの制度の欠陥には気づかないのか
災害時にNHK受信料の免除制度を申請する被災者は、これまでNHK受信料をまじめに支払い続けてきた視聴者でもあり、長年NHKを支えてきた国民である。
災害によって家を失い、収入を失い、生活の基盤を失ったとき、本来であればNHKが最も手厚く支えるべき立場の人たちだ。
しかし現実には、申請できなければ免除されない制度によって、多くの被災者が支援からこぼれ落ちている可能性や、被災者となった国民に過度な負担をかけて苦しめている可能性がある。
被災者が弱ったときほど支援にたどり着きにくくなる––申請をベースにした受信料免除制度は、形式上は公平であるように見えるが、実際には情報力、体力、時間のある人ほど有利になる構造を持つ。高齢者、独居者、障害のある人、避難生活中の人ほど不利になる。
NHKは自らが取材をするマスメディアの立場でありながら、この自らの制度の欠陥には気づかないのか。NHK受信料の免除制度は、NHKが受信規約を変更すれば変えられる制度だ。
災害大国と言われる日本の公共放送を名乗るのであれば、被災者の立場に立った現実的な免除制度に改めるべきではないか。NHKが一日も早く国民と向き合って受信料制度を根本から見直すことを、筆者は心から願っている。
文/村上ゆかり

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