衆議院選挙で改選前の172議席が49議席になった中道改革連合。特に旧立憲民主党系の幹部が次々と落選し、壊滅的な打撃をこうむった。
8時の投票締め切り数時間前から党内は真っ青
中道は2月に入ってから報道各社の世論調査で大敗する予測が出ていたが、立て直しもできないまま大雪の投票日に突入。予想をさらに上回る惨敗となった。
「某大手メディアの午後2時時点の出口調査の結果が夕方には関係者に出回りました。そこには、安住淳共同幹事長(宮城4区)や馬淵澄夫共同選対委員長(奈良1区)が自民候補にダブルスコアで突き放され、岡田克也・元外相(三重3区)、枝野幸男・立民初代代表(埼玉5区)、逢坂誠二選対事務局長(北海道8区)ら旧立民の重鎮らも逆転不能にみえる差がつけられているとの結果が並んでいました。
なので、投票締め切りとなる午後8時の数時間前から党内の人たちは真っ青で、野田、斉藤両共同代表の引責辞任も当然という空気、まるでお通夜のようでした」(党関係者)
そして迎えた午後8時。党幹部が開票状況を見ながらメディアの質問を受けるため設けられた党開票センターでは、関係者が固唾を飲んでテレビを見守っていた。そんな中で、NHKが「自民過半数上回り300議席達する可能性」と報じる。
さらにNHKは8時5分までに自民の獲得議席数を224に積み上げた。開票率ゼロで当選確実を打つ「ゼロ打ち」で、小選挙区の場合はそれだけ他候補を引き離す「楽勝」であることを意味する。中には宮城4区の森下千里氏も含まれ、同選挙区で立候補していた安住共同幹事長はこの時点で小選挙区は落選確実となった。
安住氏がどこにいるのかも「わからない」「聞いていない」
この時間帯、開票センターでは旧公明系の中野洋昌共同幹事長が壇上の席に着き、テレビ各社のスタジオからの質問に順に答えていた。
中野氏は「しっかりと謙虚に重く受け止めていかないといけない」と言いながらも、「開票を見守っていきたい」とし、敗北を前提にした責任論をかわしていく。
通常は考えにくいドタキャン劇はこのあたりから始まっていた。実は中道は午後8時台のテレビ・ラジオ中継対応は中野氏が、9時台は安住氏がそれぞれ担当し、10時台から野田佳彦、斉藤鉄夫両共同代表が対応することで調整していた。開票センターで配布された「番組表」にもそのスケジュールが書かれていた。
しかし安住氏は落選確実が分かった8時過ぎ、なぜか地元宮城県石巻市のホテルにおり、そこからのオンライン中継で「(落選は)私の不徳の致すところ。SNSの発信で後れを取った」とのコメントを出していた。
「都内の開票センターでは9時台になっても中野氏が壇上で一人頑張っていたので記者団から党職員に、なぜ安住氏に代わらないのかと質問が出ました。すると職員は『(安住氏は)来ない』『開票センターが開かれる前には来ないことが決まっていた』と言い始めました。
ではなぜ、番組表に安住氏が出演すると書いてあるのかと聞いても要領を得ない答えで、最後には安住氏がどこにいるのかも『わからない』『聞いていない』と言い出したんです。
安住氏は党を代表してこれまで政策を訴えてきたのに選挙で負けると地元にこもって東京で説明しなかったことになります。安住氏は公明と立憲が手を組むべきだと、一番に声をあげてきた“当事者”であり、反対派を押し切ってきた。野田代表に敗戦の会見を丸投げして“逃げた”と見られても仕方ない」(政治部記者)
「中道」という党名を斉藤氏が連呼、野田氏は…
さらに党は、候補者名簿の中で当選者の名前の上に花をつけていくイベントを予定していたが、これもやめたとアナウンス。あまりの負けっぷりにきまりが悪いと感じたとみられる。
しかし自民党ならこれまで、選挙で大敗した時も花がまばらな名簿の前で幹事長が苦々しい表情を浮かべるのをメディアに撮らせてきた。中道はこれと対照的な態度に見える。
22時台になり野田、斉藤両氏が並んで壇上に座り、テレビ各局の中継に応じ始めた。責任の取り方を問われた野田氏は大勢が判明していないことを理由に明言を避けたが、「腹は決まっている」と辞任を示唆。
各局の中継リレーが終わった後の9日未明には、開票センターに集まった記者を相手にした会見で「これだけの大敗を喫した。万死に値する大きな責任だと思っています」とかなり明確に辞意を示した。
野田氏は大敗の原因を「新しい党を作る動きは去年の秋からやっておりましたけども、まさか国会召集日に解散をする事態までは想像しておらず、そのぶんコアな支持層への説明等が十分できないままにぐっと押し込まれた」と分析。
さらに「なんとも言えない独特の空気」にのみ込まれたとも説明した。説明を求められると、
「総理に対する期待感、熱狂ではないんだけど、なんかもう空気として『総理は高市さんじゃなきゃね』『だとすると自民党を応援しなきゃね』という……。自民党が何を考えてるかとか、政治と金の問題とかっていう個別の問題を超えたところで、何かもうすごい空気が漂って、抗いがたいという状況の中で今日を迎えたなということです」
と、高市旋風になすすべがなかったと吐露した。
いっぽう会見では野田氏も斉藤氏も新党結成は間違っていなかったと強調しながら、微妙な温度差を感じさせた。「中道」という党名を斉藤氏が何度も挙げたのと対照的に、野田氏は一度も口にしなかったのだ。
「ボロ負けの選挙でも2人の損得は明暗を分けています。各ブロックで比例名簿の上位で優遇された旧公明系候補は次々と当選し、公明系だけでみれば改選前の24議席が28議席に増えています。負けたのは旧立民系だけとも言えます」(政治部記者)
会見で斉藤氏は、旧公明系が党を割って公明党に戻ることはないのかと聞かれると、逆に「今後参議院、そして地方議員も1つ、中道という党に結集していくという方向性です」と返し、党合併を深化させることに意欲を見せた。野田氏は押し黙っていた。
「こんなはずではなかった…後ろ盾もなく従うしか道はなかった」ある立民の若手候補者は敗戦後、記者の電話に声を震わせた。
幹部だけが決めた新党移行。それなのに小選挙区で公明票の上積みを実感できないまま落選した旧立民系の候補者は、比例復活の道も最初から閉ざされるに等しい状況で選挙を戦わされたわけだ。
それを見ても立民の参院議員や地方議員は公明と一体化するのか。それともこの総選挙に懲りて分裂の動きが出るのか。立民側にとってはどちらに向いてもいばらの道になる気配だ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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